今週の紙面
2026年(令和8年)08月20日(第5939号)
- 水道管路システムの健全化・高度化を/「E―MIRAIプロジェクト」発足/JWRC
- 国交省「上下水道支援チーム」の対応
- 協業で地域課題の解決を/水インフラの高度化へ/メタウォーター、NTT
- 下水道管きょ損傷リスク診断高度化/JS、静岡市と共同研究/天地人
- ブルーカーボン実証へ協議会/茨城県の港湾インフラ活用/日立製作所、日建工学、三井住友信託銀行
- 垂直統合へ覚書を締結/2031年度を目途に/山形県企業局・庄内広域(企)
本号の特集
2026年(令和8年)08月17日(第5938号)
- 各地の復旧活動が軌道に/8月末の断水解消見据え一丸で/熊本地震
- 会津若松市がダブル受賞/個人表彰に豊田市の岡田氏/日本DX大賞
- インタビュー PFAS対策を念頭に置いた浄水処理の今後/~米国における先進事例を踏まえ~/北海道大学名誉教授 松井 佳彦氏
- データ整備の負担最小限に/水道料金改定案試算ツール「AQUA―Simulator」/第一環境
- 早期に社会実装の本格化を/金子国交大臣へ提案/下水サーベイランス2団体
- MABR併用型活性汚泥法の実証開始/省エネ化、LCC縮減に/横浜市栄第二水再生セで/三機工業
- 宇宙水道局下水道向けサービス開始/管きょ点検・調査の計画策定支援/天地人
- 樋門管理の負担を軽減/管理システム「Eba―GatesTM」を発売/荏原実業
- 官民連携、新技術の活用などで情報共有/維持管理の将来像を展望/3社の最新技術を紹介/スペシャルセミナー「インフラDXが拓く下水道の未来」
- AI活用で担う力の確保を/「AIは敵か味方か」テーマに/FJISS
本号の特集
水道管路システムの健全化・高度化を/「E―MIRAIプロジェクト」発足/JWRC
水道技術研究センター(JWRC)は、第9期となる新たな管路共同研究プロジェクトとして「希望ある未来の実現に向けた水道管路に関する研究(E―MIRAIプロジェクト)」を立ち上げた。5日に都内で発足式を開催し、研究の概要や体制について説明した。老朽管の増加や耐震化の遅れ、人手不足に伴う職員の業務負担増加などの課題解決に向けて、水道サービスを維持・向上させることを目指し、水道管路システムの健全性を確保するための手法や最新のデジタル技術を活用した維持管理業務の高度化に関する手法を明らかにすることを目的として、産官学が連携して研究に取り組んでいく。
国交省「上下水道支援チーム」の対応
熊本地震の被災地では上下水道の復旧に向けた活動が急ピッチで進む。国土交通省上下水道審議官グループでは発災以来、先遣部隊を皮切りに現地に「上下水道支援チーム」を派遣し、情報収集や応急給水に関する調整をはじめとした各種の支援活動を行っている。今回、応急給水、水道・下水道の応急復旧について、現地で初動段階から対応にあたった若公崇敏・上下水道事業調整官、草川祐介・水道強靱化対策官、石川剛巳・下水道事業課課長補佐に、対応状況などについて聞いた。
協業で地域課題の解決を/水インフラの高度化へ/メタウォーター、NTT
メタウォーターは7月30日、持続可能な水インフラの実現に向けて、NTTと業務提携契約を締結したと発表した。両社の強みを融合するとともに、地域パートナー企業との連携を推進し、上下水道や通信を起点にインフラ運営の高度化、地域の課題解決に取り組んでいく。
提携をもとに1.上下水道事業運営の高度化・効率化 2.地域のニーズに応じた地方創生への貢献 3.「地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)」における多分野連携―の領域において協業を推進するとともに、さらなる課題解決に向けた新事業創出の可能性について検討を進めていく。
下水道管きょ損傷リスク診断高度化/JS、静岡市と共同研究/天地人
天地人は4日、静岡市上下水道局、日本下水道事業団(JS)とともに、下水道管きょの損傷リスク診断技術の高度化に向けた共同研究に取り組んでいることを発表した。JSの専門的知見と、天地人が展開する水道DXサービス「宇宙水道局」を融合させるもので、静岡市上下水道局が実証フィールドを提供している。
ブルーカーボン実証へ協議会/茨城県の港湾インフラ活用/日立製作所、日建工学、三井住友信託銀行
日立製作所、日建工学および三井住友信託銀行は、茨城県常陸那珂港でのブルーカーボン実証の推進を目的とした「常陸那珂港区ブルーカーボンフィールド試験協議会」を設立し、このほどキックオフ会議を開催した。
同協議会は、港湾インフラを活用した藻場造成による脱炭素社会への貢献と地域経済活性化の可能性を検討する実証試験を円滑に進めるために設置されたもので、行政機関、研究機関、民間企業など多様な主体が参画する連携基盤として位置付けられる。従来、ブルーカーボンは沿岸域を中心とした取り組みが主だったが、取り組みでは港湾インフラという人工構造物を積極的に活用する点が特徴となっている。
垂直統合へ覚書を締結/2031年度を目途に/山形県企業局・庄内広域(企)
山形県企業局と庄内広域水道企業団はこのたび、「庄内広域水道用水供給事業と庄内広域水道企業団水道事業との垂直統合に係る覚書」を締結した。覚書の内容は、▽垂直統合の時期は2031年度を目途とする▽垂直統合前後に県企業局と企業団が相互に職員を派遣する▽企業団に庄内広域水道用水供給事業の資産(有形及び無形固定資産など)を無償譲渡し、負債(企業債未償還残高)を承継する―。垂直統合に向けて同企業団では、今年度以降は財政シミュレーションの実施や各種許認可等に係る事前協議、2028年度以降は垂直統合に係る基本協定書の締結、国土交通大臣への水道事業創設認可申請、各種許認可等の承継手続き、施設の運転管理に関する引き継ぎを行うこととしている。
【特集】上下水道事業における維持管理の高度化に向けた取組/電気学会・公共施設技術委員会
デジタル技術の導入や新たなマネジメント手法の活用を進める官民のこれから
わが国の水道・下水道事業は、施設の老朽化や生産年齢人口の減少、大規模災害や異常気象への対応など、施設稼働に際してのリスクは増加している。限られた人材・財源のもと、持続的かつ効率的な施設の維持管理は、喫緊の課題とされている。9月1日(火)~9月3日(木)の3日間、リアル(岡山大学・津島キャンパス)とオンラインのハイブリッド方式で開催される「2026年電気学会産業応用部門大会」では、公共施設技術委員会が「上下水道事業における維持管理の高度化に向けた取組」をテーマに、シンポジウム開催を予定している。そこで、シンポジウムに先立ち、同じテーマで座談会を開き、公共施設技術委員会の電気学会での活動を紹介していただくとともに、上下水道分野の維持管理の高度化に寄与する技術やソリューションの最新動向などについて、自治体、企業、それぞれの立場から発言をいただいた。
各地の復旧活動が軌道に/8月末の断水解消見据え一丸で/熊本地震
令和8年熊本地震発生から2週間あまりが経過し、被災各地では上下水道施設の被災状況の確認を経て、応急復旧活動が進展、全戸断水に見舞われた八代市をはじめ、全般に復旧が軌道に乗ってきた。本紙では、取材班が8月12~13日に各地を取材し、復旧活動の進捗状況を確認した。
会津若松市がダブル受賞/個人表彰に豊田市の岡田氏/日本DX大賞
7月22、23日に都内で開催された日本DX大賞で、過去最多となる186件の応募の中から会津若松市上下水道局がサスティナビリティ部門の優秀賞と、部門の垣根を超えた「オーディエンス賞」をダブル受賞した。また、個人表彰としてDXリーダー賞を豊田市上下水道局企画課の岡田俊樹氏が受賞した。
インタビュー PFAS対策を念頭に置いた浄水処理の今後/~米国における先進事例を踏まえ~/北海道大学名誉教授 松井 佳彦氏
現在のわが国の水道事業における最大の水質的課題の1つがPFOA・PFOS等に代表される有機フッ素化合物(PFAS)であることに論を待たない。そして、この問題への対応については、米国をはじめとする諸外国で先進事例が目立つ。浄水処理を専門分野とする学識者の中でもとりわけこの問題に造詣が深い松井佳彦・北海道大学名誉教授は昨年11月の訪米の際に当地の浄水施設や研究機関を視察するなど最新の知見の収集に努めている。本紙では、松井名誉教授のインタビューを実施することで、この問題の解決に向けた考察を試みた。
データ整備の負担最小限に/水道料金改定案試算ツール「AQUA―Simulator」/第一環境
第一環境は水道料金改定業務の効率化を支援する新ツール「AQUA―Simulator(アクア・シミュレーター)」を開発した。同社の水道料金システムに蓄積された調定データを活用することで、データ整備の負担を大幅に抑えながら実務に即した料金改定シミュレーションを実現する。
早期に社会実装の本格化を/金子国交大臣へ提案/下水サーベイランス2団体
全国下水サーベイランス推進協議会(会長=片山浩之・東京大学教授)と日本下水サーベイランス協会(会長=村上雅亮・NJS社長)は6日、「骨太の方針2026」に下水サーベイランスの社会実装が明記されたことを受け、国土交通省を訪問、金子恭之・国土交通大臣に対し、下水サーベイランスの社会実装推進に向けて提案を行った。面談には同協会特別顧問の尾身茂氏(公益財団法人結核予防会理事長)も同席した。
MABR併用型活性汚泥法の実証開始/省エネ化、LCC縮減に/横浜市栄第二水再生セで/三機工業
三機工業は7月31日、国土交通省の「上下水道一体革新的技術実証事業(AB―Cross)」に採択された「脱炭素化に資するMABR併用型活性汚泥法」の実証事業を開始したと発表した。同事業は、同社と日本下水道事業団、横浜市からなる共同研究体で実施するもので、横浜市下水道河川局栄第二水再生センターの既設反応タンク(1系列3池、処理能力:約3万5000立方m/日)にMABR(膜通気式活性汚泥法)を組み込んだMABR併用型活性汚泥法について実規模で実証実験を行い、処理性能、省エネ性・温室効果ガス排出量削減効果、経済性などを検証する。
宇宙水道局下水道向けサービス開始/管きょ点検・調査の計画策定支援/天地人
天地人は、下水道管きょの点検・調査の計画策定を支援する「宇宙水道局 下水道向けサービス」の提供を開始した。同社は2023年から上水道分野で、衛星データとAIを活用したDXソリューション「宇宙水道局」を展開してきた。サービス開始から3年で累計契約自治体数は60以上に拡大し、管路の状態把握や漏水リスクの高いエリアの絞込みによる点検の効率化、更新対象の優先順位付けや予算配分の最適化を支援している。下水道向けサービスは、これまでに確立した衛星データとAIによる診断技術を、下水道管きょにも応用したものとなる。
樋門管理の負担を軽減/管理システム「Eba―GatesTM」を発売/荏原実業
荏原実業は、蓄電池とIoT技術により、遠隔地から樋門を監視・操作する新製品「蓄電池駆動式樋門管理システムEba―Gates TM(エバゲーツ)」の販売を開始した。Eba―GatesTMは、「蓄電池」を電源とした電動化と「クラウド管理システム」を用いた遠隔化を行うことで、現地に赴くことなく、PCやタブレット等の操作端末から安全かつ迅速なゲート操作を行える。
官民連携、新技術の活用などで情報共有/維持管理の将来像を展望/3社の最新技術を紹介/スペシャルセミナー「インフラDXが拓く下水道の未来」
下水道展26東京の特別企画として5日に開かれたスペシャルセミナー「インフラDXが拓く下水道の未来」では、AIを活用した道路空間の異常検知システムを共同開発した燈とインフロニア・ホールディングス、上下水道施設の運転維持管理の効率化に向けた総合プラットフォームの開発を支援したアイ・ビー・エムの3社によるパネルディスカッションが行われた。モデレーターを務めた野中賢・日経BP総合研究所上席研究員からは、ディスカッションのテーマとして1.下水道・インフラの維持管理の課題 2.課題解決のための取り組み 3.下水道維持管理の将来―が示された。
AI活用で担う力の確保を/「AIは敵か味方か」テーマに/FJISS
持続可能な社会のための日本下水道産業連合会(FJISS、会長=野村喜一・日水コン会長)は4日、セミナーを開きた。同協会副会長の中村靖・メタウォーター会長が「AIは敵か味方か?~上下水道業界にも来るAI進化の波~」をテーマに講演し、定員100人の約1・5倍の参加者があった。
【特集】さらなる飛躍へ事業を展開する岡山市水道・下水道
岡山市の水道事業は1905年7月の送水開始以来、不断水の歴史を継続するとともに、7回の拡張事業や4次の基幹施設整備事業などに取り組み、施設整備などを展開している。一方、同市の下水道事業は1963年1月の処理開始以降、人口集中区域などで重点的に整備を進めるとともに、未普及対策や浸水対策、地震・津波対策、環境問題などに対応した取り組みを展開している。本紙では今年4月に就任した同市水道局と同市下水道河川局の幹部職員のインタビューとともに、同市水道・下水道事業の施設整備、技術開発、計画策定などの取り組みを紹介する。