下水道管路メンテナンス年報/実施率は累計73%に/5年に1回以上点検を/令和元年度版/国交省

 国土交通省下水道部は、令和元年度に実施された下水道管路の点検状況を「下水道管路メンテナンス年報」としてとりまとめ、公表した。点検が実施されたのは、対象となるマンホールの約26%、管渠は対象の約25%。下水道法改正により5年に1回以上の点検が義務付けられて以降、令和元年度までの4年間の累計はマンホール、管渠とも73%の実施率となった。昨年12月末時点ではともに90%を超えているといい、今年度までの1回目の点検実施のラストスパートがかかる。

好事例を広く紹介/応募5月17日まで/インフラメンテナンス大賞

 第5回インフラメンテナンス大賞の募集が15日から開始された。応募は5月17日まで。国内の社会資本のメンテナンスに関する優れた取り組みや技術開発を表彰する。好事例を広く紹介することでインフラメンテナンスに関係する事業者や団体、研究者などの取り組みを促進し、メンテナンス産業の活性化を図ることを目的としている。

ガス譲渡と上下水道包括委託/JFEエンジら優先交渉権/来年4月事業開始へ/妙高市ガス上下水道局

 新潟県の妙高市ガス上下水道局は、事業者を募集していた「ガス事業譲渡及び上下水道事業包括的民間委託」の優先交渉権者に、JFEエンジニアリングを代表企業、北陸ガスと国際石油開発帝石を構成企業とするグループを決定した。ガス事業と上下水道事業の一体的な経営を行うことにより、効率的な経営基盤を構築し、ガス・水道・下水道の持続的な運営を図るもので、期間は令和4年4月から令和14年3月までの10年間となる。今月中に基本協定を締結し、詳細協議を経て8月に新会社を設立、来年4月から事業を開始する予定となっている。

 上下水道包括委託の対象事業は、市が所管している水道事業(水道事業、簡易水道事業、小規模水道事業)、下水道事業(公共下水道事業、特定環境保全公共下水道事業)、農業集落排水事業。対象施設は、市が整備し管理する管路を含めた全ての施設。

災害時の汚泥処理を共同化/東京都下水道局、埼玉県下水道局

災害時の汚泥処理を共同化/東京都下水道局、埼玉県下水道局

 東京都下水道局と埼玉県下水道局は11日、「災害時等における下水汚泥処理の共同事業に関する協定」を締結した。災害時などに、流域下水道の処理区内で汚泥処理ができなくなった場合に、処理の一部を共同で実施し、危機管理体制の強化を図ることが目的。具体的には、脱水汚泥を車載して輸送し、受け入れ先のセンターで焼却処理する。都県を越えた汚泥処理の連携に取り組む全国初の協定事例であり、注目される。

 共同処理の対象となる施設は、埼玉県の新河岸川水循環センターと、東京都の清瀬水再生センター、北多摩一号水再生センター、北多摩二号水再生センター、多摩川上流水再生センター。

月島機械グループが落札者/DBOで西谷排水処理再整備/横浜市水道局

 横浜市水道局は、「西谷浄水場再整備事業(排水処理施設)」の落札者を、月島機械を代表者とするグループに決定した。西谷浄水場排水処理施設の耐震化と能力増強をDBO方式により行うもので、設計・工事の期間は令和3年7月から11年3月までで、運転・維持管理期間は4年4月から29年3月まで。選定は総合評価落札方式により実施し、入札金額は157億5500万円(税抜)。

 落札者の構成は、工事企業が月島機械(機械器具設置)、日立製作所(電気)、馬淵建設(土木・水道施設)、大日本土木(建築)、あきら(管)、設計企業が日水コン(建築設計・設備設計・土木設計)、運転・維持管理企業が月島テクノメンテサービス(施設運転管理・保守)横浜緑地(同)、武松商事(廃棄物処理)。

江戸川第一処理場が一部供用開始/東京湾の富栄養化防止へ高度処理/千葉県下水道課

 千葉県県土整備部都市整備局下水道課は1日、江戸川左岸流域下水道の流入汚水量の増加に対応するため整備を進めてきた、江戸川第一終末処理場の一部施設の供用を開始した。

 江戸川左岸流域下水道は、千葉県内の8市(市川市、船橋市、松戸市、野田市、柏市、流山市、鎌ケ谷市、浦安市)の汚水を処理している。処理区域の下水道普及率は令和元年度末現在81%で、未普及人口は約28万人となっている。昭和48年に事業に着手し、56年に江戸川第二終末処理場の供用を開始。その後、関連8市の下水道整備に合わせて施設を増設してきたが、流入する汚水量の増加に対応するため、平成18年度から江戸川第一終末処理場の用地買収に着手し、23年度から施設整備を開始した。

脱水汚泥含水率をAIで予測/汚泥処理全体の省エネに貢献/国内2カ所でシステム本格稼働/三機工業

 三機工業は9日、下水汚泥脱水機の脱水汚泥の含水率をAIで予測するシステムを開発し、国内2カ所の下水処理場で本格稼働を開始したと発表した。脱水汚泥の含水率をリアルタイムに予測し、この予測値を用いて汚泥燃焼・汚泥燃料化工程での運転条件を最適に管理することで、汚泥焼却炉や汚泥固形燃料化施設の安定稼働、汚泥処理設備全体の省エネルギー化への貢献が期待できる。

過トルクでの部品破損防ぐ/仕切弁など新製品を発表/清水工業

 清水工業はこのほど、新製品として、キャップ用過トルク防止ユニット「トルクリミッター」、新型ソフトシール仕切弁「エクセルプロ」を発表した。両製品とも過トルクによる部品破損対策が施されている。4月以降、本格的に販売を開始する。

 トルクリミッターは開栓器の先端に取り付け、バルブのキャップ部を覆う形で使用するもので、設定トルクを超える過大な締め付け力が加わるとカチカチ音とともに空回りし、弁棒やめねじこまなどバルブの内部部品の破損を防ぐ。作業者のトレーニング用としての需要を見込んでいる。

CYDEENの提供を開始/AIでインフラの劣化状態を見える化/日立システムズ

 日立システムズ(柴原節男社長)は、インフラ施設や機械設備などを管理する団体向けに、点検・補修計画の策定を支援する「CYDEEN(サイディーン)劣化要因分析支援サービス」の提供を開始した。既存の維持管理データを、AIを活用した独自の手法で分析し、施設・設備の損傷状況や健全度を予測。劣化状態を〝見える化〟し、計画作業のDX推進を強力にサポートする。

 今後、上下水道設備の老朽化が進み、技術者不足も予想されるなか、ICTの活用による維持管理業務の効率化や、技術継承が急務となっている。一部の維持管理業務では、車載カメラやドローンなどの活用が進められているが、施設や設備によっては、車両が通行できない、またはドローンが飛ばせないため、ICTの活用が難しく、また、個々の施設・設備の異常状態を示すデータが少ないため、ビッグデータを用いたAI分析で損傷や健全度を予測することは、困難とされていた。