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2021年(令和3年)12月2日(第5543号)
基盤強化へ産官学連携で/維持修繕・更新、浄水場再構築を軸に/浄水新プロジェクト「Aqua―MODELS」/JWRC
水道技術研究センター(JWRC)は、新たな浄水技術部門の産官学共同プロジェクト「水道の基盤強化に資する浄水システムの更新・再構築に関する研究」を本格始動させた。今年9月に研究期間を終えた「多様な社会・技術に適応した浄水システムに関する研究(A―Dreams)」に続くもの。水道の基盤強化や脱炭素社会の実現といった情勢の変化に対応することで、施設を良好な状態に保ち、水道システムとしてのレベルアップを図る狙いがある。研究の軸には、「維持修繕・更新」と「浄水場再構築」という2本のテーマを設定した。研究期間は令和6年9月末までの3年間で、その後の1年間は成果普及期間にあてる。
米子市とパートナーシップ協定/再構築事業を包括的に支援/JS
日本下水道事業団は11月10日、鳥取県米子市と「下水道施設再構築事業支援に係るパートナーシップ協定」を締結した。JSにおいて、下水道事業の計画から施設の設計、建設までの一連の取り組みを包括的に実施することを定めた協定は、全国初の試みとなる。パートナーシップ協定は、下水道事業の持続可能な運営を目指し、処理場の老朽化対策や維持管理体制などの検討を進める自治体を包括的に支援するもの。
ラオスで水道拡張工事受注/浄水場改修や管網整備など/クボタ建設
クボタ建設は11月24日、ラオス北部のルアンパバーン市「上水道拡張計画」の建設工事を受注した。日老両政府が2019年10月に調印した無償資金協力の一環で、契約金額は16億円。来年1月から2024年3月末まで26カ月の工期で、ナムカン浄水場の改修改築、配水池の建設、配水管網の整備の各工事に取り組む。
ラオス政府は2030年までに都市部の水道普及率90%を目標としている。ルアンパバーン市はこの目標を達成しているものの、既設の配水池や配水管路は老朽化し、漏水の発生と給水水圧の不足が常態化している。また、ナムカン浄水場の浄水能力が不足することで、浄水水質の確保も困難となるなどの課題を抱えている。
「オゾン可溶化反応装置」を開発/濃縮余剰汚泥の分解を促進/三菱電機、日鉄エンジニアリング
三菱電機と日鉄エンジニアリングは、下水処理場向けの「オゾン可溶化反応装置」を開発した。独自の攪拌技術と高濃度オゾンの適用により、散気方式によるオゾン処理の課題とされていた、下水汚泥とオゾンガスの反応効率を高め、余剰汚泥中の難分解成分を改質し、消化槽で分解しやすくする。夏季に実験室で行った試験では、消化工程で発生するバイオガスを従来比で22%増産できることを確認した。カーボンニュートラルの実現に向け、バイオマス資源の活用拡大と、温室効果ガスの削減に貢献する新技術として注目される。
バイオマス資源の活用拡大に向け、汚泥を減容化するための消化工程で発生するバイオガスを用いた消化ガス発電などのエネルギー回収技術が期待されている。新たな装置は、最終沈殿池から発生する余剰汚泥に多く含まれる微生物などの難分解成分をオゾンと接触させ、分解しやすくするための前処理(オゾン処理)に用いる。大規模なシステムを新たに構築する必要がなく、既存の余剰汚泥濃縮装置と消化槽の間に容易に設置ができることも導入のメリットの1つとなっている。
AIでRO膜の運転最適化/環境省の実証事業に採択/運転費用4割減とCO21割減へ/フラクタリープ、栗田工業
Fracta Leap(フラクタリープ)と栗田工業はこのほど、環境省の「革新的な省CO2型感染症対策技術等の実用化加速のための実証事業」に応募した「AI運転操作判断システムによる逆浸透膜(RO膜)装置の運転最適化」が採択されたと発表した。実証期間は令和4年度末までの約1年半。半年間をかけて実証実験を行い、従来と比較して運転コストを約4割、CO2排出量約1割を削減できることを実証していくほか、運転の長期安定性などを検証する。