進化と持続 その先の上下水道へ/上下水道政策あり方検討会が初会合/国交省

 国土交通省が設置する「上下水道政策の基本的なあり方検討会」(委員長=滝沢智・東京大学大学院教授)の第1回検討会が11月29日、省内で開催された。「2050年の社会の姿を踏まえた上下水道」を議題に、事務局が示した論点をもとに、学識経験者らによる委員が意見を交わした。人口減少に伴う収入減や職員の減少、老朽化施設の増加、頻発化・激甚化する自然災害への対応など取り巻く環境は厳しさを増す。一方で脱炭素や経済・食料安全保障への対応など新たな課題への対応が求められ、その役割は拡大している水道・下水道。進化・持続と、その先へ―。今後の上下水道政策の方向性を導き出すべく議論が始まった。

目標値超過ゼロも未実施多く/対策事例も公表/PFOS・PFOA実態調査/環境省・国交省

 環境省と国土交通省は11月29日、全国の水道事業者に対して実施していたPFOS・PFOAに関する調査結果を取りまとめ公表した。それによると、2020~23年度までに暫定目標値50ng/Lを超えた全14事業あったが最新の検査結果ではいずれも暫定目標値を下回っていた。なお、国交省では同日、「水道事業者等によるこれまでのPFOS及びPFAS対応事例」も併せて公表している。

官民の下水道関係者が一丸/下水道事業促進全国大会開く/予算確保と新規制度の実現を/下水協ら4団体

官民の下水道関係者が一丸/下水道事業促進全国大会開く/予算確保と新規制度の実現を/下水協ら4団体

 日本下水道協会、流域下水道都道府県協議会、全国流域下水道促進協議会連合会、全国町村下水道推進協議会の4団体は1日、「下水道事業促進全国大会」を東京・平河町の砂防会館別館シェーンバッハ・サボーで開催した。全国から首長ら自治体関係者、下水道関係企業関係者に加え、国会議員も駆けつけ、約500人が集結した。来年度の下水道関係予算の大幅な増額確保や強靱化予算の継続的・安定的な確保、上下水道一体となった管きょの耐震化などを支援する個別補助制度の創設や交付金制度の拡充など7項目の大会決議が採択された。

境浄水場で高度浄水施設築造/送配水管の耐震強化358㎞/来年度主要事業計画を公表/東京都水道局

 東京都水道局は、2025年度主要事業計画を公表した。給水収益は3215億800万円で、コロナ禍による収入減からは回復基調を継続しており、計画値とほぼ同額で前年度より20億5500万円増加を見込んでいる。資本的支出は対前年度比90億6500万円増の1769億2200万円、このうち建設改良費は同130億2200万円増の1654億800万円を計上している。労務単価の上昇や原材料価格の高騰など厳しい事業環境にあるが、企業債や積立金の活用などにより必要な事業費を確保し、2021~25年度を計画期間とする東京水道経営プラン2021の最終年度として、大規模浄水場の整備、送配水管の耐震強化やネットワークの強化などの事業を着実に推進する。

無収水対策、水質管理で技術協力/ベトナム・フンイエン省と覚書/神奈川県企業庁

無収水対策、水質管理で技術協力/ベトナム・フンイエン省と覚書/神奈川県企業庁

 神奈川県企業庁は11月15日、ベトナム・フンイエン省と「水道分野における技術協力に関する覚書」を締結した。水道分野における技術協力を進め、互いの水道事業のさらなる発展を目指す。同日、ハノイ市で覚書締結式を開催、神奈川県からは黒岩祐治・知事、高澤幸夫・企業庁長ら、ベトナムからはグエン・フン・ナム人民委員会副委員長、グエン・ヴァン・キン農業農村開発局副局長らが出席した。

能登半島地震の教訓を整理/被災地と支援事業体が合同で/金沢大学地震防災研究会

能登半島地震の教訓を整理/被災地と支援事業体が合同で/金沢大学地震防災研究会

 金沢大学の宮島昌克・名誉教授が主宰する「地震防災研究会」の今年度第3回会合が11月22日、金沢市内の金沢大学サテライト校舎で同大学など学界関係者をはじめ、産官学の水道関係者も含めて約50人を集めて開催された。水道分野に特化するとともに能登半島地震の教訓をテーマとする今回の報告・発表は、輪島市、七尾市、珠洲市の関係者の発表と各市を支援した事業体を代表して東京都、名古屋市、新潟市も併せて発表する形で進行し、さらに宮島名誉教授をファシリテータに会場の参加者も交えて質疑応答・意見交換が行われた。

森ヶ崎水再生セに準高度処理施設導入/北多摩一号水再生セに省エネ型炉/来年度主要事業計画を公表/東京都下水道局

 東京都下水道局は2025年度主要事業計画の概要を公表した。将来的な人口減少などにより下水道料金収入が長期的に逓減傾向にある一方、支出面では物価上昇などの影響により、維持管理費、建設改良費ともに必要経費が増加傾向にあり、事業を取り巻く経営環境が厳しい状況下にあるが、次年度が最終年度となる「経営計画2021」に掲げた事業を着実に推進するとともに、新たな課題にも積極的に取り組むとした。また、事業の実施にあたり、最少の経費で最良の下水道サービスを安定的に提供する観点から、経費の圧縮を図るとともに、技術開発などによるコストのさらなる縮減や、資産の有効活用など、不断の経営効率化に努め、将来に向けて経営基盤の強化に取り組むとしている。

モジュールで水路データ取得/香川用水をAIで高度管理/岡山大と共同開発し実証/ハイドロヴィーナス

モジュールで水路データ取得/香川用水をAIで高度管理/岡山大と共同開発し実証/ハイドロヴィーナス

 河川センシングサービスや予測ソフトウェアなどを提供しているハイドロヴィーナス(本社:岡山市、上田剛慈・代表取締役)は、流水発電技術を活用した河川センシングモジュール「ハイドロヴィーナス(HV)」を、岡山大学と共同開発している。2022年10月から流量や流速・水位などのデータを取得する実証実験を香川用水施設で行うとともに、AI予測による水門操作の検証試験も、今年8月から水資源機構香川用水管理所と共同で実施。上田代表取締役は「AI解析で水路全体の流量や流速の見える化などを図り、水路管理技術の高度化につなげていきたい。将来的には水害予測など防災でも貢献したい」と話している。

多様な官民連携、強い上下水道へ/予算確保など国交省に提案書/水コン協

多様な官民連携、強い上下水道へ/予算確保など国交省に提案書/水コン協

 全国上下水道コンサルタント協会(会長=間山一典・日水コン社長)は11月27日、国土交通省に対し、来年度の上下水道事業予算の確保と課題解決に向けた施策・支援の推進に関する提案書を提出した。