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第3976号    4月 21日発行




下水道で排出枠取引を検討/国交省
 国土交通省下水道部は18日、東京湾流域を対象に下水道高度処理の排出枠取引制度を導入した場合、汚濁負荷削減に関する全体の費用削減率が最大10%程度期待できると発表した。都県別では枠を売却する側の東京都で約10%、購入する側の埼玉県と千葉県で約10%、神奈川県で約20%の削減効果があるという。下水道部では引き続き、排出枠取引の対象範囲や環境基準達成のあり方などについて検討を進めていく。

排出枠取引
 国などが一定期間での汚染排出総量の目標水準を設定し、それに見合った排出許可枠を割り当て、一定の配分方法で各主体に配分する。これを初期排出枠として認め、その排出枠を自由に取引させ取引後に所有する排出枠の枠内で実際排出を認めるもの。汚染排出量が初期排出量を超えている場合には、自らが排出量を削減するか、排出枠を買い取るかの選択をすることになり、取引を通じて効率的な排出削減が期待される。米国のノースカロライナ州で実施されている。
管路損傷し1,400万人断水/東南海、南海地震
 中央防災会議の「東南海、南海地震に関する専門調査会」は17日、今世紀前半にも発生する恐れがある「東南海」「南海」地震が同時に発生した場合の被害想定をまとめた。
 地震の規模はマグニチュード8.6。関東、東海、中部、近畿、四国、九州にいたる地域が震度6以上の強い揺れに見舞われる。建物の倒壊は62万棟、死者は時間帯などにより異なるが最大で1万7,000人、経済的被害は56兆円に達する見通しだ。
 水道は、強い揺れと液状化により供給施設や配管が損傷し、長期間にわたり断水する。地震直後の断水人口は1,400万人。復旧作業により断水人口は2日後に890万人まで減るが、1週間経ってもなお690万人が水道を使えない状況という。地震後1日目の飲料水は備蓄等で賄えるものの、2日目には6,800キロリットルが不足。7日目には1万3,000キロリットルが足りないい。
初の地方講演会開催へ/水団連
 日本水道工業団体連合会は5月13日午後3時から、名古屋市昭和区鶴舞1丁目1番3号の名古屋市公会堂で講演会を開く。講師は厚生労働省の谷津龍太郎水道課長で「水道行政の最新動向と産業界への期待」をテーマに講演する。地方での講演会の開催は水団連でも初めての試みで注目される。
円借款事業で意見交換/下水道新技術推進機構
 下水道新技術推進機構は11日、同機構会議室で「第206回技術サロン」を開いた。
 「円借款事業での下水道分野での動向」と題して、国際協力銀行プロジェクト開発部の山本賢一・調査役が講演。円借款のプロジェクトや審査、有償資金協力調査について意見を交換した。
オランダ製膜で実証実験/岡山市水道局
 岡山市水道局が三野浄水場で共同実験している水平設置型UF膜処理装置が注目を集めている。このシステムは、RO用標準圧力容器に充填可能な膜モジュールを用いることにより標準化を図っている。膜モジュールが横方向に装着できるためコンパクトなうえ、全量ろ過方式により運転費用の低減などが期待できるもので、同市では富士電機(株)および(株)水環境総合研究所と共同実験を行っている。今回の施設が実用化すれば、1万立方メートル/日を超える膜処理施設の導入などに弾みがつきそうだ。
「処理場」名称変更へ/東京都下水道局
 東京都下水道局は下水道のイメージアップに関する諮問機関「地域に愛される下水処理場検討委員会」を設置し、14日に葛西処理場で初会合を開いた。委員長に北野大・淑徳大学教授を選出し、「下水処理場」の名称見直しやPRのあり方について討議していく。
飲用井戸からヒ素検出/茨城県神栖町
 茨城県神栖町の飲用井戸から水質基準値の450倍のヒ素が検出された問題で、茨城県は学識者などで構成される専門委員会を開催し、検査結果の報告を受けると共に今後の対応策についても話し合った。
 神栖町では、先月17日、付近の民家に住む2人が原因不明の手足のしびれを訴えていたため、保健所が井戸水を検査。その結果、基準値の450倍となる1リットルあたり4.5ミリグラムのヒ素を検出した。その後の県衛生研究所や外部検査機関の分析で、ジフェニルアルシン化合物と判明した。
 地域住民に対しては、随時説明会や健康診断を実施し不安解消に努めると共に、飲用井戸の適正な維持管理と上水道への加入を指導していく。ヒ素検出が米英によるイラク攻撃の時期と重なっていたため、地域は「テロか?」と一時騒然としていた。
 16日には、橋本昌・茨城県知事が首相官邸や環境省を訪れ、原因究明と今後の対策を求める要望書を提出した。政府は事態の早期解決をめざし、環境省を中心に厚生労働省と防衛庁で設置している検討委員会で対応を協議する。
通水と市制60年祝う/高槻市
 高槻市水道部は3日、通水60周年記念事業を市制施行60周年、中核市移行と併せて高槻市立生涯学習センターで実施した。市民ら約1,450人が参加するなか、展示ホールで『遊水の広場』を開催したほか、女優の石井苗子さんによる記念講演会などを行った。
ブロック会議が開幕/簡水協中四国
 全国簡易水道協議会の平成15年度ブロック会議が17日、中国・四国ブロックの鳥取県からスタートした。会議は残る5ブロックで順次開催され、6月に岐阜県で開催される全国簡易水道大会で提出議題がまとめられる。また、課題の解決に向けて、国に財政支援などを強く要望していく。
 鳥取市で開催された中国・四国ブロック会議は、木村肇・鳥取県簡易水道協会会長が「良好な水質確保を」と挨拶。来賓の内田稔・厚生労働省健康局水道課課長補佐らが祝辞を述べた後、木村会長を議長として議事に移った。
優秀論文8点を表彰/水問題研究会
 水問題研究会(西尾武喜会長)は先ごろ名古屋市中区の名古屋都市センターで優秀論文表彰式を行い、名古屋市上下水道局、緑政土木局などから選出した8論文の表彰を行った。
 同研究会は、21世紀のあるべき水政策について長期的・総合的に考察し、都市基盤に関わる水問題を解決、さらに名古屋市の発展を目的に設立。市民からの寄付を基金に積み立て、その運用金によって水問題の研究・交流活動を支援している。
デザイン一新し水缶備蓄PR/横浜市水道局
 横浜市水道局はこのほど、災害備蓄用保存飲料水『はまピョンの水缶』(写真)のデザインを一新、一般家庭や事業所に飲料水の確保を呼びかけている。
 同局は全国に先駆け、昭和52年から缶入りの保存飲料水を製造している「元祖」。このたびそれを広くアピールでき、また港町横浜の象徴である「赤レンガ倉庫」をあしらった親しみやすいものに変更した。
 賞味期限は5年。1缶350ミリリットル入りで、販売価格は50円。市内配達サービスも1ケース(24本入り)から行っている。
せせらぎを一般開放/大阪市
 大阪市都市環境局は1日から、同市大正区の千島下水処理場内で「千島せせらぎの里」を一般開放した。同市では快適な都市環境の形成とアメニティ空間の創造を図るため、水辺空間の整備を進めており、今回のせせらぎで市内7カ所目となる。施設内では高度処理水や下水汚泥を活用するなど、下水道資源の有効利用を図っている。
記念館をリニューアル/神奈川県営水道
 神奈川県企業庁水道局の「神奈川県水道記念館」が3月20日、リニューアルオープンした。動きのある参加体験型展示に、初日から子供たちの歓声で賑わった。基本コンセプトは、『水と遊び』『水と学び』『水と憩う』。
 大きな特徴は『水道カードラリー』。様々なアトラクションを体験したりクイズに正解していくと、入館の際に受け取るカードにポイントが加算され、退館時に順位が発表される仕組みだ。
新潟県安田町でプラント完成/日本ガイシ
 日本ガイシ(松下雋・社長)は3月31日、新潟県北蒲原郡安田町(本田富雄町長)の安田浄化センターに処理能力200キログラム/時(脱水汚泥wetベース)の下水汚泥直接炭化プラントを完成した。下水汚泥の炭化設備は全国的にも未だ数例しか稼働実績が無く、同プラントは「汚泥直接炭化設備」としては国内初となり、関係者の注目を集めている。
 同プラントは、炭化炉・ケーキ前処理装置(混合・破砕)・排ガス処理装置・篩分機等から構成されている。従来の汚泥炭化設備は、高水分の下水汚泥に対し、前処理プロセスとして乾燥工程を備えるのが一般的だが、完成した「汚泥直接炭化設備」は、生成炭化物を循環使用する等の工夫により、乾燥プロセスを省いて脱水ケーキを直接炭化することを可能とした。
15年度定時総会開く/ポリテック
 水道用ポリエチレンパイプシステム研究会(略称=ポリテック、会長=卜部クボタ合成管事業部長)は16日、東京の事務所で平成15年度定時総会を開き大都市圏事業体への採用促進活動の展開、施工後のポリエチレン管のメンテナンスに関する検討など新年度事業を決定した。
民活テーマに講演会開く/水団連
 日本水道工業団体連合会は15日、東京・市ヶ谷の日本水道会館で、「民活事業への我が社の取り組み」をテーマに講演会を開いた。講師はジャパンウォーターの水谷重夫・社長が務めた。
15年度総会開く/全国コンクリート水槽防食協会
 全国コンクリート水槽防食協会(本多利郎・会長)は15日、東京市ヶ谷のグランドヒル市ヶ谷で平成15年度第11期定期総会を開き、平成15年度事業計画などを決めた。
 同協会が普及を進めている水道用池状コンクリート構造物の内面防食工法である「WICCビーバー工法」の実績は、平成13年度は6,592平方メートルだったが、平成14年度は1万9,623平方メートルと大幅に実績を伸ばしている。
 こうした背景から、平成15年度事業計画では工法の普及促進と工法標準化、規格化を確立していく方針だ。また、地方準会員の増強を進める。