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第4203号   12月 22日発行




18年度予算財務省原案を内示/国費 水道823億円 下水道7,862億円 簡水337億円 工水35億円
 財務省は平成18年度予算財務省原案を20日、各省庁に内示した。水道事業費は公共事業費合計で対前年度比94.1%の1160億円が計上された。簡易水道と上水道の統合を促進するための国庫補助の拡充が認められたほか、石綿セメント管などの更新事業に重点的な予算措置がなされた。下水道事業費は対前年度比95%の7862億円。公共事業費の削減が続く厳しい中、国民の安全・安心を確保することを目的に、新規事項として総合浸水対策と緊急地震対策が認められるなど、下水道事業の重要性はさらに高まっている。

<水道>簡水統合で補助拡充
 18年度水道関係予算案のうち厚生労働省計上分は、上水道560億円(92.4%)、簡易水道289億円(98.2%)で合わせて849億円(94.3%)。
 国庫補助制度の拡充措置として、簡易水道再編推進事業で簡水の統合先の上水道事業を「給水人口5万人未満」とする補助要件が撤廃された。つまり、簡水が上水道と統合する場合、全ての統合整備事業を補助対象とすることが認められたことになる。
 一方、上水道はライフライン機能強化等事業費に対前年度比108.3%の68億円(内訳=緊急時給水拠点確保等事業費に対前年度比103.0%の23億円、基幹管路耐震化整備事業費に対前年度比100.0%の1億円、水道管路近代化推進事業費に対前年度比111.7%の44億円)が計上され、石綿セメント管等の更新や、緊急時用連絡管や大容量送水管の整備を推進する。

<下水道>浸水と地震に重点
 平成18年度の下水道事業予算内示額は、汚水処理施設整備交付金510億円を含め、国費で対前年度95%の7862億8600万円となった。しかし、特債償還など事業に直接関係ない項目を除くと、対前年度97%となっている。
 新規に認められた事項は、(1)下水道総合浸水対策緊急事業の創設(2)下水道地震対策緊急整備事業の創設(3)高度処理共同負担事業に係る国庫補助対象範囲の拡充(4)新世代下水道支援事業の拡充(5)都道府県過疎代行制度の拡充と、概算要求時の要望が全て認められた。
 下水道総合浸水対策緊急事業はこれまでのハード対策に加え、ソフト対策の充実を図ることで浸水被害の最小化を目指す制度。
 下水道地震対策緊急整備事業は、地震時において下水道機能を確保するため、施設の耐震化とバックアップ対策を進める制度。
 新規採択箇所は公共下水道8箇所、特定環境保全公共下水道4箇所、都市下水路2箇所の計14箇所。
災害マニュアルを発刊/管路管理協
 日本下水道管路管理業協会はこのほど、「下水道管路施設災害復旧支援マニュアル」を発刊した。
 同マニュアルは、過去の災害による下水道管路施設の被害状況を整理した上で、災害発生後に被災自治体が災害復旧を進める際に、協会員が復旧支援に携わる場合のあり方や必要な情報収集内容とその伝達方法、被災状況調査及びその判定基準などについて記述されている。
下水道補正予算100億円/災害・アスベスト対策
 国土交通省は20日、平成17年度補正予算を発表した。下水道では水害等再度災害防止対策、緊急震災対策に80億円、アスベスト対策に20億円が計上された。
工水関係予算は35億円を計上/経産省分は31億円
 平成18年度工業用水道関係予算案は総計で35億600万円(前年度比73%)が計上された。
 経済産業省計上分は31億600万円で、内訳は工業用水道事業調査費が5500万円、工業用水道事業費補助が30億5100万円となった。工水事業費補助のうち、水源費補助には1億8300万円が計上されている。
 なお、国土交通省計上分は3億4500万円、内閣府計上分は5500万円となっている。
小規模膜ろ過採用進む/多摩地区都営水道
東京都水道局では、小規模施設の更新時期に合わせて浄水施設の統廃合とリニューアルを効率的に実施しているが、その処理性能と管理面での効率性から有効なツールとして積極的に採用しているのが膜ろ過技術だ。
 同局では、平成12年に完成した深沢浄水所(施設能力=日量500立方メートル)、14年完成の大久野浄水所(同3100立方メートル)に続いて、今年11月には乙津浄水所(同200立方メートル)、御岳山浄水所(同250立方メートル)で膜ろ過設備が相次いで稼動している。先月22日に通水式が開かれた御岳山浄水所は、山間の傾斜地に立地する“山岳浄水施設”で、いわば立地的に水運用面で孤立した格好になっているために沢水を原水とする既存施設では緩速ろ過施設と併せて容量1千立方メートルの原水貯留槽を配備して高濁度時等に対応していた。
PI活用事業体相次ぐ/水道事業ガイドライン
<埼玉県企業局>埼玉県企業局は、水道用水供給事業としては初めて、水道事業ガイドラインに基づく業務指標(PI)の試算結果をまとめた。平成5年度、10年度、13年度~15年度のデータを基に137項目のPIのうち85項目について試算することができた。
 同局では、PIについて、「客観的な分析や評価、独自の構想・計画に活用できる」とし、「受水団体でもPIを公表すれば、県営水道の果たすべき役割が見えてくる」と期待を寄せている。
<京都市上下水道局>
災害対応の小型浄水装置を購入/松江市水道局
 松江市水道局は災害時の飲料水を確保するため、プール水を利用した小型浄水装置を2基購入した。同市では小・中学校を中心に緊急用地下貯水槽を整備してきたが、費用対効果などを勘案して方針転換した。
 同市が購入した小型浄水装置は、特殊活性炭と中空糸膜フィルターで色度・臭気などを除去し、1時間で2千リットル処理できる。
管更生修理技術を導入/ティーエス・サデ
 ティーエス・サデ(本社・東京、柴田飛鳥社長)はこのほど、管更生修理技術としてスエッジライニング工法(ポリエチレンライニング非開削工法)を導入し、上下水道事業をはじめとする各種パイプの更生需要に応えていくことを明らかにした。同工法は既設管内部に縮径させたポリエチレン管を引き入れ、管更生を行う工法。管種は問わず、対象口径は100ミリから800ミリで、1工程500メートルまでの施工が可能だ。
太陽光発電で新工法/京セラ
 京セラ(本社・京都市、西口泰夫社長)は14日、浄水場や下水処理場向けの公共産業用太陽光発電システムに、新しく「太陽光発電システム一体型防水アンカー工法」を追加、来年1月から市場展開していくことを発表した。新システムでは、防水工事と太陽電池の設置を同時に行うことができるため、工期やコストの大幅縮減が期待できる。
 今回の新システムでは、太陽電池設置工事と防水工事が一体化しているため、専用基礎が不要。重量も従来比約70%減と軽量化を実現しているため、躯体に負担がかからない。また、既存防水層を撤去することなく、太陽電池を設置できるため、工期は約40%短縮できる。
金門製作所をグループ化/山武
 山武は19日、金門製作所の優先株式を譲り受ける株式譲渡契約を締結した。これにより同社は金門製作所の実質的な経営権を取得、山武グループの企業として協業を推進する。
研修・講習会開く/水道用鉄蓋工業会
 水道用鉄蓋工業会は15日、東京都千代田区の日本水道会館で研修・講習会を開いた。
 講習会では、日本水道工業団体連合会の坂本弘道専務理事が『日本の水道の現状と産業界』と題して講演し、水道事業ガイドラインを中心に説明を行った。