近代水道創設120周年を迎える本年は、奇しくも昭和32年6月15日に制定公布された「水道法制定50周年」の年でもある。今年は水道事業体と水道行政(法制度)が共に節目を迎える記念すべき年なのだ。 そればかりではない。指折り数えれば水道水源開発施設整備の補助制度の創設(昭和42年)から丁度40年目。広域的水道整備計画や簡易専用水道を定めた水道法の第3次改正(昭和52年)からは30年。さらに指定給水工事事業者制度を盛り込んだ第9次改正(平成9年)からも10年目となる…といった“節目の年”である。これらを背景に『水道ビジョン』を踏まえた21世紀の水道運営が着々と進められていく。
年の瀬の12月16日(土)の朝7時30分、横浜市水道局の『水源を訪ねる旅』がスタートした。創設水道の水源地・道志村に向かう38キロのうち約16キロを踏査する“水道創設120周年記念事業プレイベント”である。大谷幸二郎水道局長ら局員21名が参加し、日頃から続いている道志村との交流を一段と深めた行事だった。 横浜市水道局では明治20年10月17日の給水開始を記念して、この日を近代水道創設記念日にしているが、これは同時に我が国近代水道の創設記念日でもある。横浜創設水道の水源となった道志川の源流から迸る清流は、我が国近代水道の黎明を告げるものである。 “循環のみち”を打ち出し『下水道ビジョン2100』の新たな展開を始めた下水道事業も、今年は『大きな節目の年』である。ビジョンの3本柱である「水のみち」「資源のみち」「施設再生」を軌道に乗せなくてはならない。 「水のみち」では他事業とも連携して下水道総合浸水対策緊急事業を拡大し、流域管理小委員会も発足。「資源のみち」では下水汚泥と合わせて他のバイオマスとの一体化による新世代下水道支援事業制度を拡充する。 そして両者の支えとなる「施設再生」ではストックマネジメントのもとに技術面の体系化を目指したガイドラインを作成する。 昨年11月には下水道未普及解消検討委員会を立ち上げたし、これらの取り組みの集大成となる社会資本整備審議会都市計画部会下水道小委員会の「中長期的な下水道整備の考え方」も今年3月には明らかになる。
こうした流れのもとで地方自治体では「地域水道ビジョン」、下水道では「地域中期整備ビジョン」(仮称)が策定されていく。 水道・下水道はもっぱら都道府県・市町村の責任で進められていく。上下水道事業者は公共事業費の縮減や2007年問題に晒されながら、住民共働のもとでの事業運営に取り組んでいく。 今年の干支である「亥」は十二支の最後だが、亥の字づらを眺めていると、いかにも「いのしし」の猪突猛進ぶりを思わせる。そのような1年を目指したい。 |
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