わが国の月探査衛星「かぐや」から昨年11月に送られてきた地球の姿は、青く美しく輝いていた。地球が「水の惑星」であることを実感させる映像だった。 水は太陽をエネルギーとして大気、陸地、海を循環する貴重な資源だ。動植物の生命を育みながら水蒸気として空に帰り、雨や雪として戻ってくる。水の一滴に、壮大な地球の水循環を思う。 その「水の惑星」の水循環に異変が起きている。 氷河の後退や酷暑、頻発する渇水と洪水、台風など、すでに世界各地で温暖化は現実の脅威となっている。動植物の生息域の移動など生物界の異常も顕著だ。1970年以降、干ばつに悩まされる地域の面積は2倍近くも増えた。温暖化は氷河期以来、人類が直面する最大の気候変動といえる。 地球に生息する全ての生命を維持していくには、清らかな水環境を守り、将来の幾世代にもわたり継承していく努力の積み重ねが求められる。 水は限りある資源だが、管理を適切に行うことができれば、持続的に利用することが可能だ。日々深刻化する水危機を防ぐには、国、自治体、企業、個人が水危機の現状をしっかりと認識し、力を合わせて取り組む必要がある。 水道と下水道は地球の水循環系の中に位置づけられる。水道で使われた水は下水道できれいにされ、川や海にもどされる。水道事業の主目的である「清浄にして豊富低廉な水の供給」、下水道の「公共用水域の水質保全」を達成し、水循環を良好に保つためにも、両事業を持続的に発展させ、より健全な姿で次世代に引き継がなければならない。 古代中国に端を発する五行思想では、木・火・土・金・水の元素が互いに影響を与えあい、その生滅盛衰によって万物が変化し循環すると考える。その中で十二支の「子」は水を表す。「水の時代」といわれる21世紀の中で、2008年は「水の年」といえる。7月には水と環境を主テーマとした洞爺湖サミットも開かれる。 今年が、地球の水循環の異変を食い止めるための一歩を踏み出し、国内の上下水道界が活気を取り戻す明るい年となるよう祈りたい。 |
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