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2009年(平成21年)  3月 30日(第4477号)






「流動化処理土」を施工に/下水道 未普及解消クイックプロジェクト
 “ローカルルール”が全国へ―。国土交通省下水道部が全国で社会実験を進めている「下水道未普及解消クイックプロジェクト」で、浜松市で行った「流動化処理土の管きょ施工への利用」での効果の検証を終え、技術評価書を取りまとめた。未普及解消技術を一般化し、全国の自治体で採用できるものにした。同プロジェクトから誕生した新技術の第1号となる。21年度は他にも1.管きょの露出配管2.改良型伏越しの連続的採用3.道路線形に合わせた施工4.発生土の管きょ基礎への利用―といった、現在実験を進めている技術の評価を急ぐ方針。一般化した技術について“技術ガイド”を作成して活用を呼びかけていく。また、日本下水道協会で改定作業が進められている「下水道施設計画・設計指針」にも反映していくという。下水道未普及解消の道が大きく開けてきた。

リン酸緩衝液、問題なし/日水協
 シアン化物イオンと塩化シアンの検査方法の改正案について日本水道協会の水質試験方法等調査専門委員会は、試薬等の取り扱いに問題がないことを確認した。23日、今年度3回目の委員会を開き、検討結果を取りまとめた。近く厚生労働省に報告する。検査法の改正案は、緩衝液を酒石酸緩衝液から「リン酸緩衝液」に変更しようというもの。従来の検査法では、想定以上の結合残留塩素やアンモニア態窒素濃度が高い研水の場合、次亜塩素酸ナトリウム溶液の添加により結合残留塩素を増加させ、酒石酸緩衝液の添加で多くの塩化シアンが検出される事例が指摘されていた。

温暖化防止へ 計画策定手引き公表/国交省下水道部
 国土交通省下水道部は27日、「下水道における地球温暖化防止推進計画策定の手引き」を公表した。この手引きは委員会(委員長=花木東大大学院教授)でまとめられたもので、委員会では旧手引きの改訂作業が進められてきた。
 手引き改訂のポイントは、1.中長期的な目標設定2.排出量原単位などによる目標設定3.多様な主体と連携した取組みの推進となっている。

検査工場3区分に/日水協
 日本水道協会の検査制度が4月1日から、新制度のもと実施される。昨年10月に改正された「検査工場の登録に関する規則」と「水道用品検査通則」が施行されるもので、これまで駐在検査登録工場(指定検査工場)と一般検査工場の区分だったものが第1種・第2種・第3種検査工場の3区部になる、など多くの変更点がある。

大垣教授が国環研理事長に
 大垣眞一郎・東京大学大学院教授が退官し、4月1日付でつくば市の独立行政法人国立環境研究所理事長に就任することになった。

水道PRコンテストを企画/水道技術研究センター
 水道技術研究センターのe―Pipeプロジェクト(持続可能な水道サービスのための管路技術に関する研究、委員長=小泉首都大東京教授)は「水道事業PRコンテスト」の開催を企画している。これは第2研究委員会(委員長=細井鳥取大教授)の、市民に対する更新PR手法に関する研究の中で考えられているもの。老朽化した管の更新及び管路耐震化の必要性などをテーマにポスター、ビデオ、イベント、教育といった部門別に募集が行われる予定。現在、準備中。

浸水対策など58件/下水道機構理事会開く
 下水道新技術推進機構は12日、理事会を開き平成21年度事業計画及び収支予算について了承された。21年度は58件の研究を行うが年度途中でさらに増える見込み。主なテーマは浸水対策、資源・エネルギー循環、適正なストック管理。

MIEX(R)でオゾン注入率が低減/千葉県水道局
 千葉県水道局が平成19年度から行ってきた「印旛沼原水の凝集改善に関する共同研究」の研究成果が明らかになった。研究内容は「帯磁性イオン交換樹脂(MIEX(R))による凝集改善」(前澤工業)と「バネを用いた特殊フィルター(モノMAXフィルター)による凝集改善」(モノベエンジニアリング)の2件。両研究では、オゾンや凝集剤の注入率の削減などの成果が認められたことから、処理水質のさらなる向上や後段処理への負荷を大幅に低減できる技術として注目が集まる。

市内全戸に鉛レスメーター/志木市水道部
 志木市水道部は、市内全世帯(約3万1千戸)の水道メーターを鉛レスのエコメーターに切り替えたと発表した。同市によると全世帯に鉛レスの水道メーターを完備したのは全国初だという。
 同部は、水道器具からの鉛の浸出を低減するため、「人と環境に優しいエコメーター全世帯切替え事業」として、水道メーターに鉛を含まないエコメーターを全国に先駆けて導入。

用水供給の受託を提案/大阪市水道局
 大阪市水道局は25日、府市水道事業統合協議の組織運営形態に関して、コンセンション型の指定管理者による「用水供給事業の包括受託」を新たに提案した。大阪府に用水供給事業の資産所有を残し、同市が水道法上の事業認可を受け、地方自治法上の指定管理者制度を活用するとしている。

流入・放流きょを耐震化/静岡市上下水道局下水道部
 静岡市上下水道局は平成20年度より、国土交通省の下水道地震対策緊急整備事業を実施している。この事業は「静岡市下水道地震対策緊急整備計画(平成20年度~24年度)」に基づき、下水処理場・ポンプ場の流入きょ・放流きょ接続部の耐震化工事を行っているもので、円形管の耐震化にマグマロック工法NGJ(平成20年度下水道新技術推進機構建設技術審査証明取得)を採用している。同工法は、もともと管きょの継手部やマンホールの直壁の継手部を耐震化するために開発されたが、その新たなポテンシャルを示す事例として、大きな注目を集めている。
誘導目地切削の様子

コールセンターを開設/新潟市水道局21年度予算
 新潟市水道局がこのほど明らかにした21年度予算によると、総事業費に270億8,227万9千円(対前年度比14.1%減)を計上し、お客さまコールセンターの運用開始や職員技術研修センター(仮称)建設などの新規施策も含めた主要事業を進める。

マイナス20℃冬の取水対策/旭川市水道局
 旭川市の冬は氷点下20度以下になる日もあり、河川が凍結することがある。そのため水道局では地域特有の取水対策を行っている。同局主力の石狩川浄水場は石狩川の水を浄水場から4キロ上流の永山取水施設より取水。浄水能力10万9,970立方メートル/日で市内約7割の地域へ給水している。
 冬の取水場では氷塊やアイスジャム(シャーベット状の氷塊)流入による取水障害を未然に防ぐため望遠カメラや水温度計による河川状況の監視、流入防止イカダ・水中ミキサーを設置している。また、取水施設での監視は民間に委託して24時間体制で行っているほか、重機を常に待機させ、緊急時に即座に対応できるようにしている。

アイスジャムが流れる石狩川

区域外処理施設など整備/広島市下水道事業21年度予算
 平成21年度広島市下水道事業会計予算は、総事業費988億3,200万円(対前年度当初予算比13.1%減)、建設改良費210億4千万円(同4.4%減)を計上。公共下水道や排水設備をはじめ、市街化区域外汚水処理施設などの整備を推進する。

東京都市大学に名称を変更/武蔵工業大学
 武蔵工業大学は4月から、校名を「東京都市大学」(略称:都市大)に変更し、工学部、知識工学部、環境情報学部に都市生活学部と人間科学部を加えた5学部となる。

スレッド普及へ活動開始/省エネろ過装置研究会
 スレッド式ろ過装置の普及を目的に、昨年12月1日付で暫定的に発足した「省エネろ過装置研究会」(会長・梅木義則アルテック専務)は3月26日、東京都新宿区のアルテック本社で第1回通常総会を開き、4月1日から正式に活動を開始することを決めた。また、梅木会長も正式に就任した。スレッド式ろ過装置は自動洗浄式糸巻きフィルターを使った装置で、濁度低減やクリプトスポリジウムを99.9%除去できることから注目されている。

経産省支援で実験本格化/民活機構
 民間活力開発機構(星敏行理事長)は、「移動型飲料水化システム実証実験」が、経済産業省の公募案件「低炭素社会に向けた技術シーズ発掘・社会システム実証モデル事業」に採択されたことを明らかにした。低電圧で高圧送水が可能なポンプと納豆菌由来の凝集剤の活用により、海水や湖水の飲料水化を図るシステムで、電源には太陽光発電や風力発電を採用。水道インフラが未整備の地域や干ばつなどで毎年水不足になる国内外の小集落(人口数百人~5千人程度)での使用を想定している。

新型目地継手の販売強化/日本ヴィクトリック
 日本ヴィクトリックは、ヴィクトリックジョイント・クローザージョイント等の止水性の高いシール技術を応用した耐震目地伸縮可とう継手「VKRH型」(特許出願中)の販売を21年度から強化する方針を明らかにした。
 同社では、開水路などの目地補修に用いる角型補修継手「VKR型」で高い実績を持つが、「VKRH型」は、高圧対応を睨んで新たに開発されたもの。老朽化した配水池や下水道管廊の改築更新において、目地部分の水密性の確保を実現する事で、施設の機能維持や長寿命化に寄与する。

札幌管工組合が高い関心/阿南電機
 阿南電機(本社・大阪市、長尾正信社長)は12日、商品講習会を札幌市管工事業協同組合会議室で開催した。配管補修材「ウルトラパッチ」などの説明や施工デモが行われ、出席した木村英世・同組合専務理事(元同市水道局給水部長)や会員各社の関係者ら約80名が、機能性に高い関心を寄せた。

1位に近藤武氏/技能グランプリ
 第25回技能グランプリが20日から23日までの4日間、神戸市の神戸国際展示場などで開催され、31の職種で過去最多参加の554名の選手が熟練技能者日本一をかけて熱戦を繰り広げた。
 建築配管職種には9名が参加し、新潟県(株)千代田設備の近藤武氏が1位に輝くと共に、厚生労働大臣賞が贈られた。

建築配管職種の表彰式