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2009年(平成21年)  6月 29日(第4498号)






新技術・製品に高まる期待/下水道機構
 下水道新技術推進機構は、今年度の第1回目となる水処理新技術実用化評価委員会(委員長=古賀憲一・佐賀大教授)と建設技術審査証明委員会(委員長=楠田哲也・北九州市立大教授)を開催した。施設再構築や水質改善、地球温暖化対策など、下水道の課題解決に向け新たな技術・製品の登場が望まれる中、それらに直結する同機構の成果に期待が集まる。
23日の審査証明委員会で
石川理事長(右)が楠田委員長に諮問

カドミウム0.003mg/Lに強化/厚労省
 厚生労働省はカドミウムの水質基準改正に向けた準備を進めている。現行の0.01mg/Lを0.003mg/Lに強化するというもので、25日に開かれた平成21年度第1回水質基準逐次改正検討会(座長=眞柄泰基・北海道大学客員教授)で過去の検出状況や新基準に基づいた給水装置等からの溶出に関するデータが示され、基準改正の方向が確認された。厚労省では8月ごろにパブリックコメントを実施し、来年4月に省令改正してカドミウムの基準値を強化する方針だ。
 カドミウムの水質基準は、昨年7月に内閣府の食品安全委員会から耐用週間摂取量7μg/kg体重/週という食品健康影響評価結果が厚労大臣宛てに通知されたことを受けて12月の厚生科学審議会生活環境水道部会で基準値強化の方向性が示されていた。今回の逐次改正検討会で明かされたカドミウム検出状況のデータ(平成16~18年度)によると、約5,400カ所の測定地点で新評価値の33%超過して検出されたのは毎年180件程度、50%超過が17年度に1件あり、評価値を超えた地点は無かった。

水道局長に尾﨑氏/下水道局長に松田氏/東京都局長級人事異動を発表
 東京都は26日、7月16日付局長級人事異動を発表した。水道局長には尾﨑勝・同局技監が、下水道局長には松田二郎・東京オリンピック・パラリンピック招致本部次長がそれぞれ就任する。
 尾﨑氏は、金町浄水管理事務所技術課長、建設部設計第一課長、経営計画部計画課長、朝霞浄水管理事務所長、総務部企画担当参事、浄水部長などを歴任。松田氏は、労働経済局総務部総務課長、総務局参事、知事本部参事、産業労働局産業政策担当部長、知事本部秘書部長、知事本局企画調整部長、教育庁次長などを歴任している。
 また、水道局次長に小山隆・同局総務部長、多摩水道改革推進本部長に増子敦・浄水部長が就任。下水道局技監に小川健一・同局計画調整部長、流域下水道本部長に山本洋一・総務局理事(特別区人事・厚生事務組合派遣)が就任する。
 東岡創示・水道局長と鈴木孝三・多摩水道改革推進本部長、今里伸一郎・下水道局長、中村益美・同局技監は退職し、新田洋平・流域下水道本部長は会計管理局長に転出する。

日本パビリオン舞台に交流/シンガポール国際水週間が閉幕
 シンガポール国際水週間が26日に閉幕した。期間中の23日には、会場内の日本パビリオンで、日本大使館主催のレセプションが開催された。メタウォーターや大成機工、東レなどの出展企業の担当者をはじめ、シンガポールに営業所などを置く日本企業関係者、日本からの参加者など約200名が出席し、日本企業と関係が深い各国関係者との交流も行われた。
 開会に先立ち、主催者を代表して山中シンガポール駐日大使より「日本の水に関する技術を生かして国際貢献をしてほしい」と挨拶し、続いて、来賓を代表して上総国土交通省水資源部長が挨拶した。また、藤原水道技術研究センター理事長(日本水フォーラム理事)が、日本水フォーラム会長である森元総理からのメッセージを代読した。

調査基準価格を改定/JS
 日本下水道事業団(JS)は、入札時に低入札調査と特別重点調査を実施する基準となる調査基準価格を改定した。7月1日以降に公告する工事から適用する。
 低入札調査を実施する調査基準価格については、各工種の額の合計額に満たない場合とし、その額が予定価格の10分の7に満たない場合は10分の7、10分の9を超える場合は10分の9とする。

下水道展09東京
年に1度のお楽しみ
さあ、皆さんご一緒に

 「下水道展09東京」(7月28~31日・東京ビッグサイト)が1カ月後に迫った。通常のブース展示の他に、特別講演会やテクニカルツアーなど内容盛りだくさん。下水道界最大のイベントに胸の高鳴りが抑えきれない。
 ▼特別講演会 29日に「下水道事業における技術開発の現状~膜処理技術と地球温暖化~」をテーマに国交省下水道部の石井宏幸・下水道技術開発官が、30日には「下水道事業における地球温暖化防止計画」について東京都の東郷展・技術開発担当部長が講演する。
 ▼出展者プレゼンテーション 29~30日まで、会場内に特設されたプレゼンテーションルームで、企業・団体が熱のこもった特別PRを行う。3日間で24のプレゼンが予定されている。
 ▼テクニカルツアー 29、30日の両日に実施。東京都の三河島水再生センターと砂町水再生センターを視察する。1日2班、定員は各班40人の計160人。日本下水道協会正会員を参加対象者にしている。
 各イベントの詳細や参加申し込みは下水道展ホームページの専用フォームで。

下水道の可能性で活発な議論/自民党特別委
 自民党の下水道対策特別委員会(委員長=竹本直一・衆院議員)が23日、党本部で開かれた。竹本委員長が挨拶の中で、下水道が取り組むべき課題を挙げた後、国交省下水道部が最近の下水道をめぐる状況について説明した。出席した国会議員による活発な質疑応答が行われた。
 松井下水道部長は、下水汚泥のバイオマス活用やリン回収など、資源・エネルギー循環の形成に向けた取り組みを紹介。また、GCUSの設置をはじめとした国際協力活動の推進に向けた取り組みを紹介し、膜処理技術など日本の技術が国際貢献に期待できることなどを話した。

改築更新で国と意見交換/施設協
 日本下水道施設業協会(会長=幡掛大輔・クボタ会長)は23日、国土交通省下水道部を訪れ「改築・更新事業の適切な実施」など4項目について意見を交換した。現場状況に応じて必要とされる仮設設備や工法について、国は「積算計上は必要」との認識を示し、足場や仮電源など具体例の作成状況を説明した。
松井部長(中央)らと意見交換

安芸市に「やくも水神」納入/小松電機産業
 小松電機産業(本社・島根県松江市、小松昭夫社長)は、上下水道計測・制御・監視システム「やくも水神」を高知県安芸市に一括納入した。上下水道施設をインターネット(FOMA網)経由で、パソコンや携帯電話での遠隔管理ができる装置。中央監視装置や大規模な職員体制を置かず、24時間監視が可能で、装置のコンパクト化や維持管理の広域化、維持経費の削減などに貢献している。
 同社は「やくも水神」による施設管理として、水道では▽水道施設管理システム(「マスター水神」)▽水道施設監視制御装置(「パッケージ水神」)、下水道では▽マンホールポンプ制御盤▽下水道施設監視制御装置(「パッケージ水神」)を全国自治体に提案。
 その他、既存制御盤への後付管理として、▽多目的管理(コントローラーユニット)▽ゲート管理制御▽水位・流量観測▽消・融雪施設管理制御▽カメラ監視などの各システムも揃えている。

監視部分だけの交換で
現場作業は約半日で完了

排水消毒に注目集まる/21世紀水倶楽部
 NPO法人21世紀水倶楽部は、「排水の消毒」をテーマにしたシンポジウムを下水道新技術推進機構の会議室で開いた。下水処理水の消毒技術の最新動向や、自治体での取り組みが披露された。
 日本下水道事業団の橋本敏一・総括主任研究員は塩素、紫外線、オゾンのそれぞれの特徴を比較しながら解説し、中小規模施設では紫外線、大規模ではオゾン消毒の導入が増えてきていることを説明。「要求されるリスク低減に応じた消毒技術や処理システムの選択が重要」とまとめた。東京都下水道局の代田吉岳・新技術企画担当係長は、都の処理場で雨天時下水の消毒として臭素剤を使っていることを紹介。名古屋市上下水道局の河合利泰・水質管理課長は再生水の衛生学的調査の結果を報告した。

町村最大のMF膜ろ過/和歌山県串本町
 和歌山県串本町が平成19年から整備を進めてきた新古田浄水場が完成した。従来、既存浄水場の急速ろ過で古座川の河川水を浄水処理してきた。しかし、施設の老朽化とともに、病原性微生物による水質汚染リスク、河川の高濁度などに対応するため、高度浄水施設整備事業として、浄水場の新設に取り組んできた。
 浄水方式は旭化成ケミカルズ製の精密ろ過膜(MF膜)、計画浄水量は町村水道の膜ろ過最大となる1万4,740立方m/日で、前処理装置に高速繊維ろ過方式を併設。機械設備工事は扶桑建設工業が行い、総事業費は約20億2,000万円となっている。

逆流防止へ取組み推進/給水システム協会・総会
 給水システム協会(会長=岩原徹・日邦バルブ会長)は16日、第22回通常総会を開き、21年度事業計画などを審議し承認した。
 21年度は、給水工事技術振興財団に係る事業として「給水装置に係る逆流防止の安全性に関する調査研究」(3ヶ年計画)の「直結給水と逆流防止設置基準」改訂に取り組む。また「給水用ポリエチレン二層管接合用金属継手」の離脱防止性能向上への取り組みを行ない、規格化への準備を進める。水道事業体の要請に応じて講習会などに委員や講師を派遣する。

新理事長に木村彰男氏/水道バルブ工業会・総会
 水道バルブ工業会は11日、第50回定期総会を開き21年度事業計画などを審議し承認した。また役員改選により新理事長に木村彰男氏(クボタ・バルブ事業ユニット長)を選任した。
 21年度は、工業会会員のバルブ耐用年数の実績調査に基づき、工業会としての標準的な耐用年数(目安)を設定し、顧客に対して説明できる資料を作成する。また維持管理、点検要領を中心とした講習会を継続し、バルブの重要性をPRする。
 木村新理事長は「現在は、産業構造、時代の節目ではないか。ヴィスコンティ監督の“山猫”という映画に“変わらずに生き残るには自ら変わらなければならない”という台詞がある。今後、工業会の活動を通じて私自らが変わり、工業会が変わりそして会員、賛助会員の企業の皆様が変わらず生き残れるために微力ながら尽力して参りたい」と抱負を語った。

潜在需要掘起しを/パイプリバ協・総会
 日本パイプリバース協会の平成21年度(第34回)定時総会が1日、広島市内で開催され、工法普及に向けた21年度事業などを決定した。
 総会の冒頭矢野裕史会長が「会長就任以来危機感ではなく期待感、ピンチをチャンスにする努力をイメージしたメッセージを伝え、自分にもプレッシャーをかけてきた。しかしながら、昨年までの厳しい実績を考えると、現状を打破する術について会員相互で建設的な意見を出し合い、眠っている需要を掘り起こさなければならない。引き続き協力をお願いしたい」などと挨拶。

中学校で応急給水栓設置実演/岡山市水道局
 岡山市水道局は17日、応急給水栓の説明および実演を同市立足守中学校で行った。同市では災害発生時の対応策として、市内小・中学校の受水槽に応急給水栓の設置を3年計画で順次進めている。
 今回は同局職員や教員、地域住民ら約30名が参加。中学校からの要請で実施し、まず、応急給水栓の設置目的や手順などの説明が行われた。
 受水槽に消火栓ホースを接続し、給水スタンド(光明製作所製)へ通水する実演では、地域住民らが接続を体験する一方、給水スタンドの組み立ての容易さなどに感嘆の声が上がっていた。

協会名を変更/PSI協会
 NPO法人ポリシリカ鉄凝集剤普及協会は、協会名を「ポリシリカ鉄協会」に変更した。またFAX番号を(03―3426―5379)に変更した。

宮崎徹会長が再任される/強プラ管協・総会
 強化プラスチック複合管協会は19日、第37回定期総会を開き、21年度事業計画などを審議し承認した。役員改選で宮崎徹会長(栗本化成工業)を再任し、新事務局長に藤本英二氏(事務長)が就任。小池一雄・事務局長は顧問に就任した。
 21年度は、雨水排水や農業用水など各分野への広報活動を推進し、需要の拡大を目指す。また薄肉管用パイプインパイプ工法歩掛かりの策定への対応なども行なう。

審査証明技術(新規)一覧/下水道機構
1.ポリエチレン・コンパクトパイプ工法(エフアールピーサポートサービス、奥村組土木興業、大幸道路管理、藤野興業、三菱樹脂
2.PML工法(エフアールピーサポートサービス、奥村組土木興業、大幸道路管理、藤野興業、タキロンエンジニアリング 
3.ALPS工法(共立工業、七八、ミヤプラント)
4.人孔内固定TVカメラ調査システム(デイ・エス・デイ、ビー・ネット・コム、新栄工業)
5.反応タンク用低速攪拌機(クボタ)
6.BBミキサー(JFEエンジニアリング)
7.省エネ型縦軸撹拌機(メタウォーター)
8.槽上設置型テーパーインペラ式低動力撹拌機(住友重機械エンバイロメント)
9.スカム除去装置(週一君・日一君)(宇都宮工業)
10.SPR―PE工法(東京都下水道サービス、積水化学工業、足立建設工業)
11.ノーディパイプ工法(東京都下水道サービス、積水化学工業、足立建設工業)
12.PPSライニング工法(積水化学工業)
13.GR工法(仮称)(積水化学工業)
14.パルテム・フレップ工法(芦森工業、芦森エンジニアリング)
15.ワンダーM(マンホール)(湘南合成樹脂製作所)
16.RNジョイント(シバタ工業)
17.Kノッチ汚泥かき寄せ機(クボタ)
18.超微細気泡散気装置(JFEファインバブラー)(JFEエンジニアリング)
19.超微細気泡型散気装置(高密度対応型)(メタウォーター、神鋼環境ソリューション、岩尾磁器工業)
20.表面固化式汚泥乾燥装置(JFEエンジニアリング)○21ユニット型汚泥分解吸着装置(ロッシュ、住友大阪セメント)