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2010年(平成22年)  1月  4日(第4542号)






下水道補助を一括交付金化/政府予算案
 政府の平成22年度予算案が12月25日、閣議決定された。国土交通省については、これまでの個別事業の補助金を原則廃止し、地方自治体にとって自由度の高い「社会資本整備交付金」(仮称)を創設することを打ち出した。下水道事業も補助金の大半が同交付金に統合された。今後は、自治体ごとに策定する計画に基づき交付金が交付され、事業が実施されることになるが、計画の内容によっては、下水道の整備が従来計画通りに進まない可能性もあり、下水道関係者の間からは混乱を懸念する声も出ている。

耐震化、格差是正に重点/水道関係予算案
 平成22年度水道関係予算案は、公共・非公共事業費の合計で対前年度比76.9%の737億7400万円となった。“事業仕分け”では、公共事業費を概算要求から10~20%の縮減するとの評価が下されていたが、下限の10%程度の縮減でとどまった格好。仕分けでは、料金格差の是正や耐震化の重要性は認められており、それを踏まえて国庫補助制度が見直されているのがポイントだ。なお、国交省で公共事業に係る補助金の事務費が全廃されることから、水道の国庫補助の事務費についても同様に、廃止となる可能性がある。

海外展開トップセールス/前原国交相新年抱負
 前原誠司・国土交通大臣が建設専門紙の新春インタビューに応じ、「今年は“有言実行”。大臣になってから打ち出した政策をいかに実現していくかに重きを置きたい」と新年の抱負を語った=写真。
 前原大臣は人口減少や莫大な国の借金などの影響で公共投資は抑制基調にならざるを得ないと述べながら、ゼネコンの海外進出への支援を表明した。下水道整備の仕組みを新幹線や高速鉄道などとともに例に挙げ「ODAとどう結び付けていくかや、今まであまりしてこなかった政府によるトップセールスも考えていかなければならない」と強調した。

社説/「存続」と「持続」への正念場/新年にあたり
 「政治主導」を掲げる民主党政権のもと、政策決定の仕組みは大きく変わり、政治経済も大きく変貌しようとしている。しかしながら日本列島には今、不況の風が吹き荒れ、国、地方ともに財政状況はさらに厳しさを増した。公共事業費削減の歯止めもかかっていない。上下水道界にとっても厳しい年明けとなった。
 その象徴ともいえるのが昨年11月の行政刷新会議による「事業仕分け」だ。水道事業は格差是正や耐震化補助の必要性は認めつつも補助金のあり方を改善し、「10~20%予算要求の縮減を行う」との結論が下された。下水道事業の仕分けでは、国から地方自治体に財源を移した上で「実施は各自治体の判断に任せる」という判定が示された。
 我々が新政権に期待したのは、公共事業を十把一絡げに否定するのではなく、公共事業の中で、国民が求めている真に必要な事業は何なのかを選別する姿勢だった。しかしながら現状では、その期待は裏切られたと言わざるを得ない。とりわけこの評価の中で、どうしても納得できないのは、下水道と合併式浄化槽が同列に扱われたことだ。これについては本紙でも機会あるごとに触れてきた。
 そもそも民主党が衆院選前に発表した「政策集」には、「下水道に偏重した汚水処理対策を正す」とあり、「下水道から浄化槽へ」の方向転換が垣間見られた。しかしこれは、下水道と合併式浄化槽の機能と役割を正しく理解していない結果だ。
 下水道の役割は、単に生活排水を処理するだけではなく、水循環の健全化と浸水を防除する役割を担う。最近では温暖化対策や下水道のもつ資源利用にも寄与している
 今、下水道関係者が求められているのは、新政権に、下水道が存在し健全に機能することにより、現在の都市の衛生や安全が保たれていることを、正しく理解してもらう努力だろう。そのためにも関係者は、経済性の比較も含め、合併式浄化槽との比較議論をきっちりとすべきだ。下水道は「持続」どころではなく「存続」の危機に立たされていることを肝に銘じたい。
 一方、水道事業の「持続」が、今ほど危惧されている時はない。特に中小規模水道の現状は深刻だ。人不足と財源不足の中、浄水場や送配水管の老朽化が加速度的に進んでいる。その結果として各地で水道管の破裂事故が多発している。この危機感を共有し、必要な対策を講じなければならない。
 「持続」への大きなファクターとなるのが、「広域化」と「公民連携」、そして厚労省が推奨しているアセットマネジメントだ。このうちアセットは、全ての水道施設について中長期的な視点から更新需要を的確に把握したうえで、施設の健全度を維持しながら、なおかつ財源の裏付けのある更新計画を策定し、実行していくための大きなツールとなる。「持続」のためにも、地域水道ビジョンの中にアセットの成果を盛り込み、議会や住民との対話に結びつける視点が求められる。
 ところが最近、水道料金の「値下げ」のニュースが多いのが気になる。首長が、選挙時の公約を実現するために上下水道料金を値下げするというケースも目立つ。充分な議論もないままに、政治的な判断による安易な料金値下げは避けたい。
 今年の十二支は「寅」。誤った認識や「政治的圧力」に対しては、時には牙をむくような雄々しさも発揮したい。

高度浄水処理施設が順調に稼動/奈良県水道局桜井浄水場
 奈良県水道局桜井浄水場で昨年7月から稼動している高度浄水処理施設が、順調に稼動している。生物処理(ろ材はアンスラサイト)と、粉末活性炭+凝集沈澱・急速砂ろ過処理の併用で、マンガン・アンモニア性窒素や消毒副生成物前駆物質(有機物)を除去しており、このような浄水フローは全国でも珍しい。水質の安全性向上とともに、前塩素処理の不要に伴うコスト削減などにもつながっている。生物接触ろ過施設の設計は(株)日水コン、機械設備はアタカ大機(株)が担当し、総事業費は約35億円となっている。

現場の品質管理と地元企業の育成へ/横浜市水道局
 横浜市水道局は、口径75ミリの配水管の管路更新事業量が増大することを睨み、安全・円滑に工事を行うことができる請負企業の育成などを目的に、局独自の「耐震継手接合技術講習会」を開催した。同局は75ミリ以上を配水管として位置づけ、原則として全てNS形ダクタイル鉄管等の耐震管を採用している。75ミリ以下の工事は、管工事の工種に発注するが、この工種は給水装置工事を行う企業が登録しており、耐震管を施工する資格を有している企業が少なかった。そこで同局は、日本ダクタイル鉄管協会と連携してNS管の接合・解体の実技や座学を試験的に実施して受講者に耐震管の施工を認め、現場の品質管理の向上と地元企業の育成をめざす。

新たに4人を認定/東京都水道局スーパー配管工
 東京都水道局は12月21日、第4回「スーパー配管工」認定式を都庁で開き、新たにスーパー配管工に認定された4人に尾﨑勝・水道局長が認定証と認定バッジ、認定メダルを手渡した。これでスーパー配管工は合計43名となった。

ろ過タンクを浸漬型MF膜に改良/登米市水道事業所
 宮城県の登米市水道事業所は12月21日、錦織水系浄水場のろ過設備を浸漬型外圧式MF膜処理設備に改良する工事を公告した。浄水処理量は、440立方m/日の2系列で、合計880立方m/日。
 工事について同事業所は「圧力タンク式ろ過池(880立方m/日)を撤去し、同じ場所に浸漬型MF膜処理設備や付属設備を整備する」としている。
 入札方式は、制限付一般競争入札。入札書の受付期間は1月6~13日まで、開札は1月15日となっている。

米子で中国ブロック研究会/水道技術研究センター
 水道技術研究センター・中国ブロック研究会がこのほど、米子市の弓ヶ浜荘で開催された。
 研究会は第Ⅰ部(第7回水道技術者支援研究会)で3講演、第Ⅱ部(第24回地域水道講習会)で4講演が行われ、関係者ら約80名が出席した。

2県担当者に漏水防止講習/広島市水道サービス公社
 広島市水道サービス公社はこのほど、第2回漏水防止講習会を同市水道局水道技術研修センターで開催した。今回は広島・山口県内の水道事業者から昨年を上回る15名が受講し、座学や実地研修に取り組んだ。
 講習会は漏水防止作業の基礎を習得するもので、広島県内3事業体、山口県内6事業体が参加。座学では漏水防止の基本的考え方や実態などの紹介とともに、調査方法の机上模擬などが行われた。

二酸化炭素を6割削減/水団連・首都圏水循環検討委
 日本水道工業団体連合会は「第3回首都圏水循環検討委員会」(委員長=大垣眞一郎・国立環境研究所理事長)を開き、低炭素社会に寄与する首都圏水循環システムのシミュレーション結果を明らかにした。人口減少分に加え、取水地点や浄水場の上流化など水道システムを変更することで、2050年までに二酸化炭素総排出量を約64%削減できるとしている。

中圧ランプが国内初採用/月島機械
 月島機械は21日、安部日鋼工業と特定建設工事共同企業体を設立し、岐阜市より雄総水源地紫外線処理施設建設工事を受注したと発表した。同工事は、水道施設に中圧紫外線ランプを導入する国内初の事例。同社は米カルゴンカーボンより技術導入した紫外線消毒装置「センチネル600型」を1台納入するが、処理流量は3万9200立方m/日で、装置1台あたりの処理量としては国内最大規模となる。なお、入札は総合評価落札方式の一般競争入札で、落札価格は4億950万円だった。
 同社のセンチネル・シリーズは、流量・紫外線透過率の変動に応じて紫外線照射量を自動制御できるのが大きな特徴で、効率的かつ経済的な運転を実現する。紫外線照射量の常時監視も可能だ。また、ランプ長が短く、ランプ本数も少ないため維持管理も容易。さらに装置がコンパクトなため、設置面積の省スペース化にも貢献する。

10月東京で管工機材展/東管協組
 東京都管工事工業協同組合の管工機材設備総合展実行委員会(岩野隆一委員長)は、10月20日から22日までの3日間、都立産業貿易センター浜松町館で開催する第42回管工機材設備総合展のテーマの一般公募を開始した。
 テーマの体裁は20字以内(前回は快適な住まいと自然の共生を、前々回は人に優しさ 環境に配慮 住まいの祭典)。

耐震・管更生に注目が/JSTT
 日本非開削技術協会(JSTT、松井大悟会長)は東京都港区の発明会館で第20回非開削技術研究発表会を開いた。7セッションで23編の最新知見が披露され、参加者は熱心に聴講した。台湾やシンガポールでの非開削技術の展開や、耐震性強化技術、地下探査技術、管更生技術などに注目が集まった。

ライフラインに関わる原点を忘れずに/前澤工業社長・松原 正
 謹んで新春の御祝詞を申し上げます。また昨年中は格別なるお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。
 世界経済の混乱、国内の政権交代など歴史的な出来事が続き、業界を取り巻く環境は、大きく様変わりしているように見える昨今でございます。
 上下水道界にとっても、これまでの歩みを否応なく振り返らざるを得ない一年でございました。しかし、このような時こそ、ライフライン、社会資本に関わるものとして、その原点を忘れてはならないと思い直しております。

取付管調査の推進を/東管協組
 東京都管工事工業協同組合の木村昌民理事長は12月24日、同組合で記者会見し、平成21年を振り返ると共に、平成22年の抱負などを述べた。
 木村理事長は平成22年について「まず、5月の通常総代会で役員改選を行い、第32期がスタートしました。21年で特筆すべきことは、3月に都議会自民党上下水道政策研究会が設立され、変化に対応した安定的な組織運営基盤を確保するためには行政、議会との連携強化が必要だ。研究会を通じて政策提言などを行っていきたい。また、事業運営面では、新規事業である下水道局から共同受注した取付管調査業務がある。一昨年は23区のうち6区で実施、22年度は12区で実施を予定している。また、直結切替見積サービス事業も順調に推移しており、本年は見積後の成約率が大幅に向上した。組合としてはこの事業の継続実施を要望していきたい」と各種事業を振り返る。