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2010年(平成22年) 11月 15日(第4614号)
戦略策定に向け検討開始/水分野の国際標準化
具体案の策定に向けて/下水協真の価値研究会
ソフトシール仕切弁の規格改正へ/日水協
粕谷水道課長らが教壇に/簡水協水道大学
来年1月にセミナーを開催/水環境学会
国際貢献へ「水」技術PR/大都市ネット東京で総会
3Dで管路位置を表示/埋設管マッピングシステム/ジオ・サーチ
公衆トイレの命名権/管清工業
大臣表彰に喜びの声/水道機工・鈴木氏、磯村豊水・遠藤氏
簡水協が「第三者委託」解説本を発刊
チーム一丸で更新/水道GLP/名古屋市
南米・チリ水企業大手を買収/丸紅ら
故・中川議員夫人が水フォーラムに寄付
戦略策定に向け検討開始/水分野の国際標準化
国土交通省、厚生労働省、経済産業省、環境省の4省は「水分野国際標準化戦略検討委員会」を設置、9日に連絡会議と水道部会、下水道部会の初会合を開いた。政府の知的財産戦略本部がまとめた知的財産推進計画2010や政府の新成長戦略において、わが国の優れた水関連技術が世界で活用されるように、水分野の国際標準化に向けた戦略をつくることが求められていることに対応したもの。今年度中に「水分野の国際標準化戦略」を策定する。水ビジネスの国際展開にもつながるこの取り組みにおいて、どのような戦略が示されるのか、関係者の関心は高い。
具体案の策定に向けて/下水協真の価値研究会
日本下水道協会は10月29日、第4回下水道の真の価値を国民各層に知ってもらう研究会(委員長=松本明子・東京都下水道局総務部広報サービス課長)を協会会議室で開き、下水道事業の広報活動の展望について議論した。
今回は、下水道関係者に参加者を限定しての開催となった。前回までにターゲット別に集約された意見から、具体的な広報案の策定に向けて、「ターゲットにストレートにボールを投げるのではなく、効果的な広報の媒体(コンテンツ)と主体を定める」ことを委員間で確認した。また、「待ちの姿勢からの脱却」のため、国民各層が発見し・理解し・学び・伝える過程を通して、自ら発信者となっていくための広報へ方向転換を図ることで合意した。
ソフトシール仕切弁の規格改正へ/日水協
日本水道協会はさきごろ、第26回水道施設に関する規格専門委員会(委員長=芦田裕志・東京都水道局建設部技術管理課長)を開き、水道用ソフトシール仕切弁(JWWA B 120)の規格改正について検討した。
この改正案は、2009年の改正の際に検討課題とされていた、耐塩素規定に適合する弁体ゴムを、ソフトシール仕切弁製作メーカーが開発したことを踏まえ(6月現在6社中5社が開発済み、内2社は製品化まで実施済み)、水道バルブ工業会が提案した。衛生常設調査委員会での検討結果と合わせて、新製品の衛生性を確認した上、12月20日開催予定の次回委員会で決定し、来年2月に開く予定の工務常設調査委員会に諮る。
粕谷水道課長らが教壇に/簡水協水道大学
全国簡易水道協議会は10月26~27日、東京永田町の全国町村会館で「第34回水道大学基礎講座」を開催した。都道府県や市町村の実務担当者を中心に、賛助会員も含めおよそ180人が参加。国や中小規模の水道事業体などが講演した。
この中で、厚生労働省の粕谷明博・水道課長は水道行政の課題と取り組みについて説明した。特に地域水道ビジョンの有効性を挙げ、アセットマネジメントの考え方を用いて具体的な財源の裏付けのある地域水道ビジョンの作成を要請。
地域分権についても、認可制度の変更への準備を求めた。また、補助金の一括交付金化にも触れ、詳細は今の段階では決まっていないことなどを説明した。最後は「一緒に悩みたい方は申し出てほしい」とエールを送った。
来年1月にセミナーを開催/水環境学会
日本水環境学会は、第56回セミナー「1,4―ジオキサンの環境基準項目への追加と処理技術開発の動向」を来年1月21日に開催する。
このセミナーは、2009年11月に1,4―ジオキサンが水質汚濁に係る環境基準項目に追加されたことを受け、追加の経緯や今後の水環境行政の方針とともに、1,4―ジオキサンの特性と水環境中での動態や処理技術の最新動向についての解説を行うもの。
国際貢献へ「水」技術PR/大都市ネット東京で総会
アジアの地域の大都市に対し東京都が、その上下水道の高い技術をアピールした。東京で開かれ9日閉会した「アジア大都市ネットワーク21」の第9回総会で行われた政策対話で、尾﨑勝・水道局長は各都市の代表者を前に都の上下水道をPRした。
水道では、パイプの計画的な取り替えや漏水発見調査機器の開発などにより3%の漏水率を実現したこと、下水道についても老朽管きょの更生や再生水を活用する技術を紹介。東京水道の高度な技術を生かして海外の水道施設の運営にビジネスベースで関与していくことや、下水道局が民間企業と共同開発した水面制御装置などを挙げ、「東京都は今まで以上に国際貢献していきたい」と方針を述べた。
3Dで管路位置を表示/埋設管マッピングシステム/ジオ・サーチ
上下水道の埋設管マッピング事業を展開しているジオ・サーチ(本社・東京、冨田洋社長)は複数の埋設管を3Dで連続検出できる「埋設管マッピングシステム」を開発、正確な管網や漏水調査での管路位置などのニーズに対して、これまでにない技術として高い評価を受けている。
同社は1989年に地中レーダを用いた空洞探査システムを開発して創業。阪神大震災でも多数の空洞発見と復興に寄与。2005年には3次元地中レーダ技術で埋設管マッピングシステムを実用化した。現在は埋設物エンジニアリング、陥没リスク診断、構造物内部診断、舗装構造診断の各サービスを手がけている。
公衆トイレの命名権/管清工業
管清工業はさきごろ、平成24年3月31日までの東京・渋谷区の公衆トイレ命名権(ネーミングライツ)を9カ所取得した。トイレには「どかんさんとせいこちゃんの学べるトイレ」と名付け、屋内には、水循環や下水道、トイレの役割を図解するパネルを設置した。
下水道関連の企業が、一定エリアの公衆トイレの命名権を取得したのは初めてのケース。同社の長谷川社長は「企業には、社会的貢献の一環として、利益を還元していくことが求められています。では、利益をどのように使うのか。当社は、下水道分野で仕事をさせていただいていますので、全く畑違いの分野で貢献するよりも、ステークホルダーの一員である利用者の皆さんに下水道について自然に考えてもらえる素地作りに貢献できないかと考えました。今回のネーミングライツについても、公衆トイレの快適な利用と地域環境の改善を図り施設を維持管理するとともに、渋谷区の公衆トイレというハードを利用して子どもたちを中心に一般の方々に、水循環や下水道、トイレの豆知識などを楽しく学ぶことができる環境を提供したいという思いから、その取得に至りました」と話す。
大臣表彰に喜びの声/水道機工・鈴木氏、磯村豊水・遠藤氏
平成22年度水道関係功労者厚生労働大臣表彰の表彰式が11日、厚労省で行われ、水道機工前会長の鈴木敏夫氏と磯村豊水機工の遠藤克明氏が外山千也・同省健康局長から表彰状と記念品を授与された。外山局長は、これまでの功績を讃えるとともに「水道は大事な分野なので、今後も尽力してほしい」と語った。
鈴木氏は「43年間、水道界に関わり、水道建設の時代に仕事を通して地方の人たちに喜ばれる場面が多くよい職業だった。業界を取り巻く環境は厳しいが、重要なインフラであることは変わりないので、今後も新たな技術開発を進めるとともに新興国などに日本の力を持っていき、海外の発展にも貢献してほしい」と受賞の喜びと水道界へのメッセージを述べた。
また遠藤氏は「水道には、13年間しか携わっていないが、社外の研究会や委員会活動を積極的に行ってきた。今回の受賞も一緒に委員会活動を行ってきた方々の代表だと思っている。若い人たちには、企業の枠を超えて水道界のために活動してほしい」とコメントした。
簡水協が「第三者委託」解説本を発刊
全国簡易水道協議会はこのほど、水道事業の第三者委託実施に向けた事務プロセスを解説した『わかりやすい第三者委託~実施までのプロセス~』=を発刊した。
委託実施に必要な要求水準書や契約書式などを、そのまま使える様式集として収録。簡水協ホームページから書類テンプレート(WORDデータ)を無料でダウンロードでき、自由に活用できる。第三者委託の実績がある北海道石狩市建設水道部の清野馨氏が執筆した。
チーム一丸で更新/水道GLP/名古屋市
名古屋市上下水道局が10月31日付で水道GLP認定を更新し11月8日、認定証授与式が日水協で行われた。石川憲一・同局技術本部施設部長、伊佐治知明・同局技術本本部施設部水質管理課長が出席、御園良彦・日水協専務理事から認定証を受け取った。
南米・チリ水企業大手を買収/丸紅ら
丸紅と産業革新機構は1日、チリ第3位の水事業会社、アグアス・ヌエバス(AN社)の株式を100%買収すると発表した。出資割合は両社50%ずつ。両社はAN社の事業を引き継ぎ、浄水場、下水処理場の運営・維持管理、料金徴収までの一貫した事業を手がける。今後は、日本の設計・調達・建設メーカーや水道事業体などの参画を念頭に取水から小売までの水事業を一貫して運営できる水事業コンソーシアム作りを進めていく。
故・中川議員夫人が水フォーラムに寄付
政治レベルで水の安全保障に熱心に取り組んでいたことで知られる故・中川昭一氏(元・衆議院議員)の夫人、郁子氏が「水の安全保障戦略機構」に寄付金を送った。8日、同機構の事務局を務める日本水フォーラムを訪れ、竹村公太朗・事務局長に故人の水に対する思いを伝えた。吉村和就・グローバルウォータ・ジャパン代表、山田正・中央大学教授を交えた懇談では、誰からともなく「中川先生が切り開いた水ビジネスへの道が定着しつつある今、『チーム水日本』として次の世代へ遺志を繋いでいく」との声が漏れた。