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2011年(平成23年)  1月  6日(第4626号)





過塩素酸の評価値を設定/厚生科学審議会生活環境水道部会
 厚生労働省は12月21日、第9回厚生科学審議会生活環境水道部会(部会長=大垣眞一郎・国立環境研究所理事長)を同省会議室で開き、水質検査の信頼性確保に関する今後の取り組みや水質基準の見直し、水道行政の最近の動向などについて審議した。要検討項目に位置づけられている過塩素酸については、その評価値を25μg/Lとし、引き続き知見を集積することになった。知見を踏まえて、水質管理目標設定項目への格上げについて検討することも視野に入れている。また、水質検査の信頼性確保に向けては、水道事業者や登録検査機関、国が今後実施する具体的取り組みを示した。

水道課長に石飛博之氏
 厚生労働省健康局水道課長に、7日付で環境省水・大気環境局総務課長の石飛博之氏が就任する。水道分野には約4年半ぶりの復帰となる。
 石飛氏は昭和56年4月、環境庁に採用され企画調整局環境管理課に配属。その後、厚生省水道環境部水道整備課技術係長、同課課長補佐、横浜市環境保全局調整部担当課長、環境庁地球環境局地球温暖化対策課調整官、厚生労働省健康局水道課水道計画指導室長、環境省総合環境政策局環境経済課長などを歴任。昭和33年生まれ52歳。京大工学部卒。福岡県出身。

「水管理・防災局」を設置/国交省23年度組織再編
 国土交通省は、平成23年度に省内組織の再編を行う。中でも注目すべきは、都市・地域整備局下水道部、河川局、土地・水資源局水資源部の3部局を統合し「水管理・防災局」(仮称)を設置することだ。「できるだけダムにたよらない治水」への政策転換、流域全体の一体的・総合的管理を推進するため、水関連行政を一元化する。設置時期については検討中。
 下水道部は、「水管理・防災局(仮称)下水道部」として引き続き下水道企画課、下水道事業課、流域管理官の2課1官となる予定。また、下水道企画課に下水道技術開発官を格上げした課長級ポスト「下水道国際・技術調整官」と「官民連携推進係長」、「国際技術企画係長」が設置されることになった。

4分野統合で自由度向上/国交省
 国土交通省は、社会資本整備総合交付金を抜本的に見直し、平成23年度予算から適用する。また、同交付金の一部が内閣府に創設される「地域自主戦略交付金」(仮称)に移行する。
 地域自主戦略交付金に移行するのは、年度間、地域間の変動・偏在が小さい事業で移行額は3760億円。これに伴い、社会資本整備総合交付金は、政策目的達成のため計画的に実施すべき事業に重点化する。また、現行の4分野を統合し、より柔軟な予算流用を可能にすることで、地方の自由度・使い勝手のさらなる向上を図る。予算額は1兆7500億円。
 23年度の社会資本整備総合交付金の配分を受けるためには、各自治体で社会資本総合整備計画を策定する必要がある。なお、23年度から「下水道水環境保全効果向上支援制度」が、社会資本整備総合交付金の効果促進事業として実施できるようになる。

23年度地方債計画を公表/総務省
 総務省は12月24日、平成23年度地方債計画を公表した。公営企業債では、水道事業が3674億円(対前年度比3.9%増)、工業用水道事業が221億円(同5.2%減)、下水道事業が1兆1659億円(同6.7%減)となった。同省では「地方公共団体が、必要性の高い分野への重点的な投資を行えるよう、所要の資金確保を図った」としている。

宮岡正氏が死去/クボタ元専務
 元・久保田鉄工所(現・クボタ)専務取締役の宮岡正氏が昨年12月25日、死去した。88歳。
 宮岡氏は、京都帝国大学工学部卒業後、昭和26年に久保田鉄工所入社。パイプ技術研究所長、鉄管研究部長、鉄管事業部長等を歴任し、常務取締役を経て昭和62年に専務取締役。長く同社の技術・研究部門で活躍し、我が国水道事業の主力管種であるダクタイル鉄管開発に尽力した。

認可時との差は10%まで
 第9回厚生科学審議会生活環境水道部会では、水道行政の最近の動向について粕谷明博・水道課長から説明があった。
 このうち、地方分権改革推進計画への対応方針(案)では、厚生労働大臣の認可を要しない「軽微変更の範囲の拡大」として、水道施設の整備を伴わない変更のうち、給水区域の拡張、給水人口または給水量の増加について▽変更後の給水区域が他の水道事業の給水区域と重複するもの▽変更後の給水人口と認可給水人口との差が認可給水人口の10分の1を超えるもの▽変更後の給水量と認可給水量との差が認可給水量の10分の1を超えるもの―のいずれにも該当しない場合を軽微な変更とする方針が示された。「10分の1」の部分は現在「100分の1」とされている。

地域再生基盤強化交付金が"復活"
 内閣府の平成23年度予算案では、概算要求時に計上されていなかった地域再生基盤強化交付金が、政府内で調整された結果、“復活”することになった。予算額は620億円。地域再生計画に基づき、道路、汚水処理施設、港湾の3分野で、省庁の所管を越えて一体的に整備する事業に対して配分されるもので、下水道関連への配分額については、配分時に明確になる。

簡水統合や水源拡充など整備事業変更へ/高松市水道局
 高松市水道局はこのほど、「高松市水道施設整備事業基本計画」の変更案を明らかにした。計画給水人口などの見直しとともに、簡易水道の上水道統合、自己水源の拡充を実施。また、「水道施設耐震化計画」を策定し、浄水場・管路の耐震化率向上、地震による断水範囲の低減などを図ることとしている。総事業費は約547億円を見込んでおり、今後は国の事業認可を経て、平成23年度から20年間の事業を予定している。

電発・月島グループに優先交渉権/大阪市建設局
 大阪市建設局は平野下水処理場で実施する汚泥固形燃料化事業の優先交渉権者を電発・月島グループ(代表企業が電源開発、構成員は月島機械、バイオコールプラントサービス)に決定した。同事業は事業者が平野下水処理場内に炭化燃料化設備を整備し、設備の所有権を大阪市に移転した上で維持管理・運営を行うBTO方式。提案価格は168億9127万8800円だった。
 大阪市は市全体の汚泥処理を平野下水処理場、舞洲スラッジセンターの2カ所の拠点に集約する汚泥集約処理事業を推進している。平野下水処理場においては汚泥焼却炉が稼動後29年を経過し、改築更新が必要となっていた。

御園専務が年頭挨拶/日水協
 日本水道協会の御園良彦・専務理事は4日、同協会会議室で職員を前に年頭挨拶を行い、水道界の課題克服を睨んだ協会の役割を強調した。
 御園専務は、老朽化対策や耐震化など国内の課題について、「広域化とアウトソーシングは避けては通れぬ針路であり、この流れがしっかりと拡がることに期待している」と語る一方で、海外水ビジネスに関しては、「日本企業のビジネスチャンスに繋がりそうな情報提供や事業展開のためのサポートなど協会の役割は大きい。若手を中心に語学力向上へ研鑽してほしい」と激励した。さらに、公益法人と支部組織を維持する方向性が固まりつつある法人改革については、「今年の全国総会でしっかりと固めたい」と意欲を語りつつ、「変革の時代を生き残るのは、強い弱いではなく、何よりも変化への順応。常に感度の良いアンテナを張り、我々が何をなすべきか考え続けていくことが重要」と職員を鼓舞した。

3都市合同防災訓練を実施/仙台市で
 仙台市、山形市、郡山市の東北地方3都市は12月21日、合同防災訓練を仙台市で実施した。災害時の相互応援活動を円滑に実施することを目的にしており、この日は応援隊の受け入れや応急給水を行った。被災事業体からの応援要請に速やかに対応できる体制を平常時から準備できているか確認し、事業体間で情報交換した。

クレジット収納業務をヤフーに
 川崎市上下水道局は水道料金等のクレジットカード収納業務委託の受託適格者をヤフーに選定した。委託期間は、平成24年3月末までで23年度はシステムの試験・調査を行う。内容の変更等がなければ、単年度で契約更新する。
 同局は、現在構築中の「水道料金等徴収オンラインシステム」にクレジット決済機能を盛り込み、このシステムが本格稼働する平成25年5月を目標に水道料金・下水道使用料のクレジット決済を導入し、利用者の利便性の向上を図るとしている。

2月4日にWTI研修報告会
 日本水道協会の国際交流基金による「イギリス研修(WTI)」の修了者で構成するWTI研修交流会(会長=秋葉有一・千葉県水道局技術部長)は2月4日に名古屋市のアイリス愛知で第15回総会と報告会・研修会を開催する。研修会終了後には、交流・親睦を深めるための意見交換会も開く。会員でなくても参加できる。

エコパイプロール工法を発表/名古屋上下水道総合サービス
 名古屋上下水道総合サービス(愛称=NAWS)はこのほど、道路下に埋設された古い給水取付管を引き抜くと同時に、新管に置き換える『エコパイプロール工法』が技術的に確立し、実用化に向けた検証段階に入ったと発表した。21日には施工現場見学会を開催した。
 同工法は、名古屋市上下水道局と共同開発したもので、同局の給水区域内で既に258件の施工実績を持つ。対象管種はφ13~25の軟質ポリエチレン管で、最大引抜延長10m(フィールドテスト実績)。
 掘削面積が大幅に削減されることで、工事中の通行規制を最小限に抑えられるほか、従来の開削工法と比べ、施工コストや環境負荷の軽減などで有利となる。

ハンドフォード改良培地を販売/関東化学
 関東化学(本社、東京都中央区)は、国内での販売が危ぶまれていた「ハンドフォード改良培地」を海外OEMの形で1月6日から発売する。
 ハンドフォード改良培地は、日本独自の処方による培地で、上水道原水中のクリプトスポリジウム汚染指標としての嫌気性芽胞菌(主にウエルシュ菌Clostridium perfringens)の検出に利用され、他の方法より検査が容易であることなどから、自ら水質検査を実施する水道事業体のほとんどが採用しており、嫌気性芽胞菌の実質的な標準検査方法となっていた。
 しかし培地に必要な抗生物質が数年前から製造中止され、昨年秋にはその抗生物質の在庫も切れたため、国内における市販品の供給が難しいとされて、嫌気性芽胞菌の検査体制に混乱がでることも予想されていた。

中国で合弁会社設立へ
 三菱レイヨンは、北京碧水源科技股?有限公司(オリジン社)と、下排水処理用中空糸膜の製造・販売、膜エレメント加工・販売の合弁会社設立を目的とする覚書を締結した。出資比率は三菱レ51%、オ社49%の予定。

時流・月島機械代表取締役専務 大石直行氏
 昨年5月、中期経営計画を発表した月島機械。上下水の排水・汚泥処理分野で市場をリードする同社グループは、環境・エネルギー技術の拡販や海外水ビジネスへの参入により、平成24年度までの3年間で営業利益を倍増させるという目標を打ち出した。これを達成すべく、早くも同11月にはJFEエンジニアリングとの海外事業における提携を発表、国内上下水道分野でも注目の案件を相次いで受注している。水環境事業を管掌する大石直行・代表取締役専務に今年の展望を聞いた。