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2011年(平成23年)  1月 20日(第4628号)





石飛博之 厚生労働省水道課長に聞く
 厚生労働省健康局水道課長に、7日付で石飛博之氏が就任した。キャリアの中で水道に携わるのは今回が3回目で、前回(水道計画指導室長)からは約4年半ぶりの“復帰”となる。水道ビジョンの2回目のフォローアップや国際展開、国内を見れば耐震化促進や広域化、官民連携など取り組むべき課題は多い中、「すべての水道関係者と連携し、一水道人として取り組んでいきたい」と話す。本紙では、石飛課長に就任にあたっての抱負などを聞いた。

中小水道の課題解決策など/水の安保機構基本戦略委
 水の安全保障戦略機構はさきごろ、第6回基本戦略委員会を東京都千代田区のアジア開発銀行研究所で開き、4人の話題提供者の発表を基に意見を交換した。今回の発表者とテーマは▽地下水と表流水を一体とした流域水管理の必要性(竹村公太郎・日本水フォーラム事務局長)▽流域管理と地球温暖化対策の関係で見落とされている視点(松井三郎・京都大学名誉教授)▽中小規模水道事業者が抱える課題とその対応方策(清野馨・石狩市建設水道部水道室参事)▽水関連施設の更新需要に対する民間資金投入(吉田正・新生銀行ソリューションアドバイザリー部長)―。

簡専水の外部精度管理調査2月18日に/給衛協
 全国給水衛生検査協会(奥村明雄会長)は2月18日に、「平成22年度簡易専用水道検査外部精度管理調査」を全国5支部に会場を設け開催する。厚生労働省水道課が後援している。昨年度は5支部合計で106機関(正会員97機関、非会員9機関)228人が参加した。
 参加費は給衛協会員が1万4000円、非会員は2万円。1機関参加は3人まで。参加申し込み締め切りは2月4日となっている。
 日程や申し込み方法など詳細は給衛協ホームページで。

100年先見据えて基本構想/東京都水道局
 東京都水道局は昨年末、首都東京にふさわしい水道施設の再構築に向けた基本構想の策定を睨んで、学識者、有識者を委員とする「将来の首都東京にふさわしい水道施設の再構築を考える会」を設置した。
 同局ではこれまで、主に高度経済成長期に急増した需要に応じて、水源や施設の整備を行ってきた。しかし、水源の脆弱性や水道事業運営による環境負荷など現在抱えている課題のほか、気候変動の拡大など将来的に水道事業への影響が懸念される要因などを考慮すると、今後の水源や施設の整備にあたっては「将来起こりうるリスクに十分対応できる」ことが重要な要件となる。

図上訓練を実施/大阪市水道局
 大阪市水道局は17日、咲洲庁舎8階で震災総合訓練を実施した。ロールプレイング方式の図上型訓練を中心に災害対応能力の向上、地震発生直後の初動体制の実効性などを確認した。
 震災訓練は17日午前9時に東南海・南海地震が同時発生し、大阪市域で震度6弱を観測したとの想定で行った。参加者には事前に被害概要を知らせない実践型の訓練で、2倍速の時間経過で進めた。さらに今回は営業所・水道工事センターなど現地対策部門も設置し、災害対策本部との連携訓練などを拡充させた。

民間企業が最新技術プレゼン/札幌市水道局
 札幌市水道局は12日、同局本庁舎で水道技術研修会を開催した。民間企業や団体6社が技術や知見を紹介した。この研修は技術情報を効率的に取得するために、水道技術に関する有益な情報を持っている団体やメーカーに同局でプレゼンテーションをしてもらい、職員の資質向上を図ることを目的に平成18年度から行っており、今年で5回目となる。約100人が参加。同局職員だけでなく、札幌市水道サービス協会、札幌広域圏組合事業体(石狩市、北広島市、恵庭市、江別市、千歳市)、小樽市水道局、石狩東部広域水道企業団の職員も多数参加した。近隣事業体との広域的な取り組みのひとつの事例といえる。

エキスパートに新たに12人認定/東京都水道局
 東京都水道局はさきごろ、都庁第二本庁舎で平成22年度水道技術エキスパート認定式を行い、今年度新たにエキスパートに認定された12名の職員に尾﨑勝・水道局長が認定書を手渡した。
 「東京水道技術エキスパート制度」は水道技術の確実な継承を目指して平成20年7月に運用を開始した。同制度は高い技術を持つ経験豊富な職員をエキスパートとして認定し、幅広く活動することによって、効果的に技術の継承を進めるもの。エキスパート認定者は氏名や所属、技術面での専門性等を登録したデータベースを職員に公開した上で、職員に対する指導や助言をする。また、経験・ノウハウといった暗黙知を職員が活用できるように形式知化をする他、各種検討会へアドバイザーとして参加する。

コンサル業務で総合評価/新潟市水道局
 新潟市水道局は、12月1日から同局発注の設計・調査などの建設コンサルタント業務の入札に総合評価方式を導入した。業務の品質確保が目的。工事については、市全体で総合評価方式を導入しているが、建設コンサルタント業務では、水道事業が先行して取り組んでいる。この総合評価方式では、業務内容等に応じて簡易型4方式と標準型の5方式に区分する。簡易型は技術的な工夫の必要な業務、標準型は技術的な工夫の余地の大きい業務に適用する。

脱ボトル水の「水Do!」
 認定NPO法人・FoE Japan(=フレンズ・オブ・ジ・アース・ジャパン)が昨年6月から展開している“水Do!(スイ・ドゥ)キャンペーン”の水道界における注目度が高まっている。
 このキャンペーンは、ペットボトルなどの使い捨て容器に入った飲料ではなく、水道水を選ぶことで、CO2、ゴミ、社会的コストの削減を呼びかけるもので、1.自治体の率先した行動を広げる(→水の域産域消 2.街のオアシスを増やす(→水飲み場、給水スポット) 3.市民への普及啓発(→使い捨て容器入り飲料に頼らないライフスタイルの提案)―を3本柱に活動を展開している。

寒波で水道管凍結/長崎県は自衛隊に派遣要請
 記録的な寒波の影響により全国各地で水道管の凍結・破裂が相次いでいる。長崎県対馬市では陸上自衛隊が応急給水を実施するなどの深刻な状況が続いている。
 長崎県は17日、県内20の観測所のうち、11カ所において氷点下を記録した。
 対馬市では給水管の凍結や破裂が、16日から18日までに市中心部の厳原町地区で約260件発生。漏水による配水池の水位が低下したため、17日は午後6時半から9時、18日は午前1時から7時と午後1時から5時、19日は午後10時から午前6時まで給水を停止、約3600世帯を対象に時間給水を実施している。
 美津島町地区においても約11時間の給水停止を行うとともに、長崎県は18日に陸上自衛隊の災害派遣を要請した。

広域化で経営基盤を確保/浄水技術研究会・第9回講演会
 浄水技術研究会(会長=森田豊治・イー・ジー・エス代表取締役)はさきごろ、東京都千代田区の自動車会館で“更新喚起”をテーマに第9回講演会を開いた。官学民から4人のスピーカーが登壇し、持続可能な水道サービスの実現に向けた施策・手法を紹介。人口減少や老朽化施設の増大していく中、今後どのようにして財政基盤を確保し、施設更新に繋げていくかについて情報共有する場となった。

インフラビジネスで提携/日揮・日本IBM
 日揮と日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)は、上下水道、交通、エネルギーなど都市インフラ分野でのビジネス開発で提携する。デリー・ムンバイ間産業大動脈構想の中で、日揮が主導するマハシュトラ州での都市開発プロジェクトには日本IBMも参画しており、「この協業関係をさらに発展させる」(両社)とともに、日本国内やアジア、中東、アフリカなどでも類似の案件を協力して手がけていく。

事業・商慣習の改善へ/鋼管協会賀詞交歓会
 日本水道鋼管協会は5日、東京都千代田区のアーバンネット大手町ビルで平成23年新年賀詞交歓会を開いた。
 冒頭、会長会社を代表して殿岡茂樹・JFEエンジニアリング取締役専務エネルギー本部長は「大径管は、農業用水関連プロジェクトの終息や補助金の削減により事業量が減少し、事業量の確保が課題。一方、小径管は減少していた住宅着工件数が緩やかに回復してきた」と現状を分析した。また今後については「水道では、補助金制度が一括交付金制度になるが、住民が水道施設の耐震化に対して期待が集まれば配分も増やすことが可能。後ろ向きに考えるのでなく、発展させていくんだという気持ちをもち、事業や商慣習の改善に取り組み、社会変化に迅速に対応していくことが必要だ」と訴えた。

時代に沿った方向性を/九州WC賀詞交歓会
 九州ウォータークラブは7日、福岡市中央区のヒルトン福岡シーホークで新春賀詞交歓会を開催し、会員ら約100人が出席した。
 最初に同クラブの内堀彌太郎会長が「新年を迎え、我が国の政治や経済など色々なことが頭をよぎる。本クラブとは直接影響は無いというものの、時代が変化していく中、我々も新たな方向性を打ち出すことが必要だ。会員の皆様の意見を聞きながら、方針を打ち出したい」とあいさつした。

大阪支店を移転/大成機工
 大成機工は17日より大阪支店を現在の大阪駅前第三ビル27階から19階に移転した。新事務所の住所などは以下の通り。
 ▽住所=〒530―0001 大阪市北区梅田1―1―3―1900 (大阪駅前第三ビル19階)▽電話=06―6344―1144(従来通り)▽FAX=06―6344―7942(同)

名古屋営業支店を移転/森田鉄工所
 森田鉄工所は、名古屋営業支店を移転し、5日から業務を開始した。
 新住所は次のとおり。
 〒466―0854名古屋市昭和区広路通1―12、電話052―856―0423、FAX052―893―9776

人工降雨実験を実施/フジワラ産業
 水環境装置メーカーであり、防災関連設備・機器なども幅広く手掛けるフジワラ産業(本社=大阪市、藤原充弘社長)は、大阪市西成区の同社大阪工場で「人工の雨雲発生装置」による降雨実験を行った。いずれも6~9時間半後に少量の降雨が確認されており、同社では「実験は成功した」としている。今後は、装置の更なる大型化を図って実験を続け実用化を目指す方針で、パートナーとなる企業を募っている。
 装置は、底に水を張ったタンクの上部に工事用排風機(能力260立方m/分)を設置した構造。タンク内で気化する湿度80~90%の空気に上空で凝結核となる塩分や煙を混入させ排風機で上空へと送り出す仕組み。現在多くの公的機関や研究機関が行っている人工降雨実験の弱点は「雲がなければ雨を降らせることが出来ない」(藤原社長)ことだが、同社の考案した装置はその弱点を克服する可能性を秘めたもの。山の上で薪などを焚き雲を発生させる古代からの雨乞い儀式「千駄だき」にヒントを得て着想した。

俺たちの下水道ラップCDプレゼント/管路協
 日本下水道管路管理業協会は、公益社団法人移行を記念してオリジナルソング「俺たちの下水道ラップ」を制作し、先着200人にCD=をプレゼントする。応募方法は、住所、氏名、電話番号を記入して同協会CD応募係にFAX(03―3865―3463)で。応募締め切りは1月31日。
 同曲は、都市の地下に張り巡らされた下水道を機能させるため24時間働く人たちをラップで歌ったもので、ラッパー上鈴木伯周・崇浩兄弟がラップ指導、岩崎太整氏が音楽を担当している。

就任インタビュー/日本水工設計社長 國本博信氏
コンサルの仕事質が変化
 昨年11月、プロパー社員として初めて日本水工設計の社長に就任した。電気分野が専門の電気設計技術者であり、長年、上下水道施設設計の実務を担当してきた。上下水道コンサルタントの社長としては異例の経歴と言える。
 「電気分野が専門で社長になるというのは、水コンではおそらく私が初めてだと思います。会長に就任した堂々前社長と協力し、行政に関する見識などを吸収しながらしっかり舵取りしていきたい」と語る口調は、静かな中にも確かな熱意を感じさせる。
 先ごろ発表された上下水道予算案では、都道府県分が一括交付金化されるなど、先行きに不透明感が漂っている。いずれにしろ、公共事業の抑制傾向は続いており、上下水道分野をメインフィールドに活躍する企業にとっても、経営環境は厳しい。そうした中でコンサルが生き残るためには何がポイントになるのか。國本氏は次のように話す。
 「コンサルが担う仕事の質が変わってきています。頭を使わなければならない案件が非常に増えているということですね。単なる設計請け負いのような仕事は確実に減少しています。技術力がこれまで以上にシビアに求められるようになっていると言えるでしょう」
 同社は以前から、技術開発にも多額の投資をしてきた。
 「ソフトウェアなどのツールとマンパワーを合わせた、総合的な技術力をいかにユーザーにご理解いただくかが何よりも重要です。質の変化を先取りして適応できるか否かが、これからのコンサルの命運を左右すると考えています」