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2012年(平成24年) 10月 18日(第4776号)





将来につながる水道づくりへ一丸/日水協第81回総会 旭川市で
 北の大地から発信される水道界の声―。日本水道協会の第81回総会が17日、旭川市の大雪アリーナを会場に開幕した。19日まで、全20題の会員提出問題の討議をはじめ、各議案の審議が行われている。水道界は今、東日本大震災の対応や老朽化する施設の更新、技術者不足、人口減少に伴う料金収入の減少など、多くの課題に直面している。これら課題解決への糸口を見つけるべく、ここ旭川に全国から産官学の関係者1700人が集まった。公益社団法人移行を来年4月に控え、現行体制では最後の総会となる。水道事業の持続へ向けた、さらに活発な議論に期待だ。
 17日午前の開会式。挨拶のため最初に登壇したのは開催地の西川将人・旭川市長。同市に大小あわせ120本の川が流れていることなどを例に、同市が水の恩恵を受けながら発展してきたことを紹介。また「昭和30~40年代に整備した上下水道の老朽化や維持・改修、耐震化などが課題だ」とし、全国的に共通する課題解決へ、総会の成果を期待した。
 続いて主催者を代表し、尾﨑勝・日水協専務理事が登壇、公益社団法人移行を控え、節目の年の総会であることを話した。さらに日水協が産官学の枠を越えて水道の発展に向け取り組んできたことを強調し、「今後も会員と一丸となって積極的な活動を展開していきたい」と決意を語った。

高知県内で合同防災訓練/情報伝達や応急給水など確認/日水協中国四国支部
 日本水道協会中国四国地方支部は9~12日の4日間、合同防災訓練を同協会高知県支部管内の5市(高知市・南国市・香南市・土佐市・須崎市)の各訓練会場で実施した。同地方支部として合同で大規模な訓練を実施したのは初めて。
 9日午前8時35分ごろ、同県沖の太平洋を震源とするマグニチュード9の巨大地震により、高知県内で最大震度7を記録、水道施設が被害を受け5市を中心に広範囲の断水発生を想定した。訓練では情報伝達や応援本部運営、応急給水などが行われ、同地方支部管内の132水道事業体(情報伝達のみ62事業体、現地参集70事業体)が参加した。

水循環基本法早期成立求め緊急要請
 稲場紀久雄・大阪経済大学名誉教授らは10日、水制度改革議員連盟の共同代表を務める中川秀直・衆議院議員に面会し、水循環基本法の成立を求める「緊急要請」を行った。同法案は、先の第180回通常国会での成立を目指していたが、上程に至らなかった。稲場教授らは中川議員のほか衆・参両院合わせて12議員の国会事務所を訪問し、理解を求めた。

国産ラセン管の検査一時停止期間満了も検査申請受け付けず
 不正行為にともない日本水道協会が3月30日から検査を一時停止していた国産ラセン管の停止期間が9月29日に期間満了となった。日水協は10日に開いた第87回検査事業委員会(委員長=田村聡志・東京都水道局建設部長)で同社に関する今後の対応について協議。9月24日に行ったフォローアップ審査に加え、今月24日にもさらに審査を行うこととしており、その後正副委員長が審査内容について確認し対応を決めることにした。その間、同社からの検査の申請は受け付けない。

華やか!水道展
 日本水道工業団体連合会主催の「旭川水道展」が日水協総会に併せ、大雪アリーナ隣接の特設会場で開催されている。99社・団体が出展。「耐震化・更新を実行し、続けよう水道の信頼を¥外字(8769)」をテーマに、最新の製品や技術が満載。総会参加者がブースを回り、官民の情報交換の場になっている。
 17日午前9時半、糸川正晃・厚生労働大臣政務官や三島保・旭川市水道事業管理者、ミス日本「水の天使」酒井美帆さんらによるテープカットで幕を開けた。視察した糸川政務官は「全般にレベルが高いことに加え、防災や管理のしやすさというコンセプトで技術が着実に進展していることを頼もしく思った」と印象を語った。

平成23年度優良施工業者決まる
 日本本下水道事業団の平成23年度優良施工業者が決まった。工事の品質向上に対する意識を高める目的で毎年選定しているもので、入札参加条件などの優遇措置が受けられる。選ばれたのは一般土木・建築工事業者55者、機械・電気設備工事業者19者。一般土木・建築工事の場合、施工難易度の高い工事への参入は特定JVによるものとしているが、優良施工業者は一定範囲内でJV工事に単独参入でき、上位等級工事に参入する機会も与えられる。機械・電気設備工事業者の場合、入札公告で求める施工実績の規模に関する条件が緩和される。また、下位等級の優良施工業者は一定範囲内で上位等級工事に参入する機会が与えられる。10月1日以降26年3月31日までに入札公告を開始した工事が対象。対象工事・業者は入札公告で明示する。

来年の「全国会議」は郡山市で
 公益法人への移行にともない来年度から開催されることになっている「全国会議」の開催地に、郡山市が内定した。16日午後、旭川市内のホテルで開かれた第182回常任理事会で了承された。総会で正式決定される。

日水協総会初日アラカルト
水道界への貢献に栄誉/厚労大臣表彰、日水協会長表彰
 今年の厚生労働大臣表彰は上水道関係で79人、日本水道協会会長表彰は功労賞9人、特別賞92人、有功賞7人、勤続賞653人が受賞した。厚労大臣表彰式では糸川正晃・厚生労働大臣政務官から、日水協会長表彰は尾﨑勝・日水協専務理事から表彰状が授与された。

菊地、堀内、丹保氏を推載/日水協名誉会員
 日水協第81回総会では、新たに▽菊地俊三氏(元日水協専務理事)▽堀内厚生氏(元名古屋市水道事業及び工業用水道事業管理者)▽丹保憲仁氏(元北海道大学総長)―の3氏が名誉会員に推戴された。

本紙展示ブースも盛況/開催地特別賞を決定/水の写真コンテスト
 本紙ブースでは「第54回水の写真コンテスト」の入選作品などを展示している。グランプリ・厚生労働大臣賞や旭川市水道事業管理者賞、近代水道創設125年を記念した横浜市水道局長賞、旭川市在住の方から応募いただいた作品8点、水道産業新聞社賞、特別賞5点の計17点。
 総会初日の17日には、旭川市在住の方からの8点から、三島保・旭川市水道事業管理者が「開催地特別賞」1点を選んだ。選ばれたのは蝦田敏之さんの作品「真夏日~癒しの水~」で、三島管理者は「8点の作品の中で最も色づかいが綺麗だった」と選定にあたってのポイントを説明した。



ピコプランクトン測定法確立へ/共同で実証実験に着手/新開発の生物粒子計数器を使用/国立保健医療科学院、川崎市上下水道局
国立保健医療科学院と川崎市上下水道局は、浄水中のピコプランクトン測定方法の確立を目的とした実証実験に着手した。浄水処理における障害生物であるピコプランクトンは、原水中では蛍光顕微鏡により測定することができるが、塩素注入後の浄水中では原水と同じように測定することができず、測定方法が確立していないのが現状。今回の実証実験では、国立保健医療科学院とリオン株式会社が共同開発した生物粒子計数器を用いて、同局長沢浄水場のろ過水中のピコプランクトンを測定する。浄水濁度のシビアな管理が求められる中、ピコプランクトンの測定方法が確立できれば、新たな対応を検討することが可能になるため、実証実験で得られる知見に期待が集まっている。

トータルソリューションを提供/耐震化・更新の需要に応える/積水化学工業
 積水化学工業は、これまでの製品単品販売から脱却して「調査・診断、計画・設計、製造・販売、施工・維持管理」までの水道トータルソリューションを提供することで、水道事業体のニーズに応える方針だ。
 同社では、ストック、耐震化、省エネ、LCC低減などの水道事業体のニーズに応える製品・システム・技術をワンストップで提供するため、全事業のバリューチェーン化を進めている。管路の耐震化や長寿命化に応える耐震型高性能ポリエチレン管「エスロハイパーJW」や圧力管用更生工法「ノーディパイプ」、調査・診断やアセットマネジメントに貢献する不断水内視鏡装置や自律型管内漏水検知システム「スマートボール・システム」、上水道情報管理システムなどを組み合わせるなどして、最適のシステムを提供していく。また、昨年6月に総合水事業会社の「水ing」と業務提携を結んだことにより浄水場から管路までの分野で包括受注体制を構築し、複合委託案件やPFI案件の取り込みを行っていくとしている。

異形管のトレーサビリティー開始へ/来年4月から全ての鉄管の製造履歴・出荷先を把握/ダクタイル鉄管の信頼性向上へ/日本鋳鉄管
 日本鋳鉄管は、ダクタイル鉄管の直管1本ごとの製造履歴・出荷先を把握する「トレーサビリティーシステム」の運用を平成22年11月から行っている。このほど同社が製造・販売する全ての異形管についても平成25年4月から運用を開始する。現在は運用開始に向けて、各製造ラインの設備工事などを進めている。
 平成25年度から同社が製造・販売するダクタイル鉄管の直管(φ75~900)、異形管のすべての製造履歴・出荷先を把握できることとなり、さらにダクタイル鉄管の信頼性向上につなげていく方針だ。
 同システムは、主要製造設備の制御盤から製造データを取得するとともに、ダクタイル鉄管1本ごとに個別の管理番号を記録することで、溶解・鋳造・塗装・検査などの各製造工程履歴から出荷先までを把握するもの。ロットで行っていた実績管理から一本毎のデータベースによる実績の一元管理を実現。同一製造条件で出荷先の検索ができ、万が一トラブルが発生した場合でも、納入先の特定が可能で、製造責任を果たすとともにリスクの低減化を図ることができる。
 直管については、希望する水道事業体に対し、納入日や納入先、管体の管理番号を表記したものを事業体に送付するサービスも行っているが、異形管についても行っていきたいとしている。

就任インタビュー 水みらい広島代表取締役社長 真鍋 孝利 氏
 水ingと広島県との共同出資会社「水みらい広島」は1日、事務所を広島市内に開設した。同社の資本金割合は水ing65%、広島県35%で、水道施設などの運転・維持管理、水道などに関するコンサルティング業務などを行うとしている。本紙では9月21日付で、同社代表取締役社長に就任した真鍋孝利氏に、抱負や決意などをうかがった。

優れた技術力の継承へ/若手経営者による討論会も/道管連第30回全道大会
 北海道管工事業協同組合連合会(道管連、花松真一会長)は9月28日、第30回全道大会を帯広市で開いた。道内の管工事企業および関係者が一堂に集い、さらなる発展に向けて「地域に根ざし社会に認められる組合を目指そう」「優れた技術力を継承し業界の地位向上に努めよう」「自らの防災組織を構築し我らで守るライフライン」のスローガンを採択した。また、大会終了後には初の試みとなる討論会を実施し、若手経営者5人が業界の将来を熱く語った。

料金徴収などの受託者募集/山口市
 山口市上下水道局は、上下水道事業料金徴収事務等委託について、公募型プロポーザル方式で受託事業者を選定する。委託業務内容は▽水道料金等徴収事務▽窓口事務▽水道メーター等検針事務などで、期間は平成25年6月1日~同30年5月31日までの5年間。
 参加申込事業者の募集期間は今月31日で、問い合わせは、同局上下水道総務課料金管理対策室(電話083―933―6697)まで。詳細は同市ホームページに掲載している。

25年度採用の新規職員募集/石狩東部広域水道企業団
 石狩東部広域水道企業団は、平成25年度採用予定の新規職員を募集している。応募締切は今月26日で、試験日は11月10日。
 募集する職種は経営・企画・人事・総務などの業務を行う大卒以上の事務職1人と、大卒以上で衛生工学または社会環境工学などの水道に関する学科の課程を専攻、あるいは水道事業に従事した経験を持つ技術職1人。応募資格は、事務職が昭和60年4月2日から平成3年4月1日までに生まれた者、技術職は昭和36年4月2日から42年4月1日に生まれた者。
 実施要領は同企業団ホームページを参照。問い合わせは同企業団総務課(電話0123―33―2191)まで。

WICC工法をPR/全国コンクリート水槽防食協会
 全国コンクリート水槽防食協会(渥美和裕会長)は、旭川水道展・大成機工のブースで同協会が扱うWICCビーバー工法をアピールしている。
 同工法は配水池をはじめ、高架水槽、ポンプ井、受水槽などで長年実績を伸ばしている。同工法は湿潤でも塗装できることが最大の特徴で、これまで全国の水道事業体から高い評価を受けている。