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2012年(平成24年) 10月 25日(第4778号)





4項目の水系リスク検討/処理能力を適正に評価/国交省
 国土交通省下水道部は23日、「第6回下水道における水系水質リスク検討会」(委員長=田中宏明・京都大学大学院教授)を同省会議室で開いた。検討会では環境省において環境基準化、一律排水基準化が検討されているノニルフェノール、4─t─オクチルフェノール、LAS、大腸菌などについてリスク検討を行う。現在、大腸菌群数は環境基準化されているが、大腸菌が環境基準化されると下水道にとって70年振りの改正につながるという。最終的にはこれらについて下水道の処理能力の適正な評価を行うことにしている。

従属細菌に新種の可能性/実地・モデル貯水槽で水質調査/厚労科研費による貯水槽研究/早川教授ら
 厚生労働科学研究費補助による「貯水槽水道における水の滞留や不適切な管理による水質の悪化とその対策に関する研究」の第3回委員会(委員長=早川哲夫・麻布大学教授)が11日、都内の会議室で開かれた。実地や試験的に設置したモデル貯水槽の調査や、細菌の遺伝子解析の結果を受け、補足調査や次年度の方針を話し合った。次回委員会は12月の予定。
 これまでの調査では、細菌の増殖と関係する重要な要素として、滞留時間と水温が挙がっている。実地調査では昨年度のアンケートや水質調査の対象となっていなかった学校や社会福祉施設で細菌の検出を行った。モデル貯水槽では、昨年行った冬季の調査に続き、夏季の時間経過にともなう水質の変化を調べた。
 報告によると、実地では7月から9月にかけての調査の結果、27件中3件で水質基準項目の一般細菌が基準値を超える値が検出された。槽内の水を交換し、更に11月まで継続して調査する。
 モデル貯水槽では、冬場は水温が低いために残留塩素の低下がみられなかったのに対し、夏場は日数の経過とともに、水温の上昇と残塩の低下による細菌数の増加がみられた。また遺伝子解析では、特定が困難な細菌があり新たな菌種の可能性があることが指摘された。

信頼性確保へ日水協に要望/給衛協
 全国給水衛生検査協会(奥村明雄会長)は5日、水質検査の信頼性確保に向けて日本水道協会に対して要望活動を行った。奥村会長が日本水道協会を訪ね、尾﨑勝・専務理事に要望書を手渡した。
 日水協が策定した特記仕様書や水質検査・管理業務等委託積算要領の水道事業体への周知徹底、最低価格調査制度の導入などを求めた。
 奥村会長は「価格競争が進み、検査料金の差が10倍にもなっている。検査の信頼性を確保するには、水道法施行規則に定めるコストを反映した適正な検査料金の設定が必要。今後も支援をお願いしたい」と要望内容への理解を求めた。

12月13日に貯水槽シンポジウム
 貯水槽水道の適切な管理に関するシンポジウムが12月13日に東京都港区の航空会館で開かれる。貯水槽水道の管理徹底を呼びかけるとともに「ランキング表示制度」に対する理解を深めるため、今回で6回目の開催。主催は全国給水衛生検査協会など。参加費は無料。

41都市が合流改善完了/平成23年度末現在/国交省調べ
 国土交通省下水道部はこのほど、平成23年度末現在の合流式下水道緊急改善事業の進捗状況を明らかにした。これによると、合流改善が義務づけられている191都市のうち、A評価(目標達成に向け順調な実施状況。事業の効率化により、目標達成の前倒しも可能)とされたのは、前年度から7都市増え97都市だった。

優れた研究を表彰/研発の口頭発表受賞者が決まる/下水協
 日本下水道協会はさきごろ、第49回下水道研究発表会口頭発表セッションの表彰式を行った。358編の発表の中から最優秀賞を受賞した東京都下水道局の中田友三氏に対し、花木啓祐・下水道研究発表会企画運営委員会委員長(東京大学大学院教授)から表彰状が授与された。
 最優秀賞は「汚泥焼却における温室効果ガス削減の取組」。都の東部スラッジプラントで高温焼却運転手法による温室効果ガスの大幅な削減に成功した事例を発表した。平成22年度の削減実績は対前年度比のN2O排出量約52%、CO2排出量約80.5%だったという。

健康のため水を飲もう/シンボルマーク・標語を募集
 厚生労働省が後援する「健康のため水を飲もう」推進委員会(委員長=武藤芳照・東京大学政策ビジョン研究センター教授)では、水分摂取不足による健康障害を未然に防ぐために、こまめな水分補給を習慣づける啓発運動を行っている。
 運動の一環として、毎年ポスターとチラシを作成し、全国の水道事業体での掲示や高野連の協力により夏の甲子園バックスクリーンボードでの上映などを行っており、今年で6年目を迎えた。委員会では運動をより多くの方々に知ってもらうため、運動に関するシンボルマークと標語を広く募集する。
 最優秀作品は、平成25年度運動ポスターに使用され、様々な場所で掲示される予定。詳細は、厚生労働省または水道産業新聞社「健康のため水を飲もう推進運動」HPを参照。

李博士が若手研究発表賞を受賞
 下水協は10日、平成24年度若手研究発表賞の表彰式を協会会議室で行った。受賞者は韓国人の李呟俶(イ・ヒョンスク)東京大学大学院博士で、受賞論文は「仮想的下水処理場における下水汚泥と厨芥の混合消化がエネルギー収支と水処理系にもたらす効果」(下水道協会誌平成23年9月号掲載)。この賞は協会誌に掲載された論文の中から優秀な若手を対象に表彰するもの。

“水道トライアングル”が完成/バックアップ機能を強化/基幹浄水場を送水管で連結/北九州市上下水道局
 北九州市上下水道局では、このほど新若戸道路水道連絡管、さらに更新事業となる穴生~二島連絡管が通水し、既設の東西連絡管との”水道トライアングル構想”が実現した。同構想は、基幹浄水場間の多系統化を図ったもので、事故対応機能の強化とともに常時活用による経済的な水運用も可能となった。
 北九州市の供給エリアは、西部地区と東部地区に分かれ、東部に井手浦浄水場、道原浄水場の2浄水場、西部に穴生浄水場、本城浄水場、畑浄水場の3浄水場がある。井手浦・穴生・本城浄水場の3浄水場は市内9割をカバーし、基幹浄水場と位置づけている。
 水道トライアングル構想では、基幹浄水場である穴生・本城・井手浦浄水場を送水管で連絡し、一つの浄水場が事故で送水不能になっても他の浄水場から応援する、浄水場間のバックアップ機能の強化を目指した。

たゆまぬ研鑽の成果が/震災関係など18件の発表/日水協東北地方支部技術事例発表会
 日本水道協会東北地方支部は10、11日の2日間、山形市のホテルメトロポリタン山形で第15回水道技術事例発表会を開催した。同発表会は東北地方支部内の水道事業体の技術系職員が、日頃携わっている業務での経験や独自の調査・研究に基づく発表を行うもの。今年は震災関係の発表を中心に18件の発表があった。また、2件の海外研修報告もあった。水道事業体の職員のほか、民間企業からの聴講もあり、2日間で約120人が参加した。

三菱樹脂の事業譲受で基盤強化/全事業をバリューチェーン化へ/積水化学工業
 積水化学工業は、環境・ライフラインカンパニーの事業戦略や三菱樹脂からの管材事業譲受後の生産体制などを明らかにした。事業譲受で事業基盤を強化するとともに、全事業をバリューチェーン化(VC)して包括受注体制を構築することで、2013年度には過去最高の営業利益150億円を狙う。
 三菱樹脂からの管材事業譲受けは、12月1日に行う。譲受の対象は、塩ビ管やガス用ポリエチレン管、給水用ポリブデン管などの事業(架橋ポリエチレン管事業は対象外)と、管材事業に関わる人員や資産、契約、知的財産権の一部。また三菱樹脂の完全子会社である三菱樹脂販売、菱樹商事の管材関連の人員、菱琵テクノの機械設備の一部、関係会社4社の株式も含まれる。

候補地の白紙撤回求める/水道原水の源流地など理由に/茨城県高萩市の最終処分場候補地問題
 茨城県高萩市は、東電福島第一原発事故により茨城県内で発生した指定廃棄物の最終処分場候補地に同市内の国有林が選ばれたのを受け、3日に市議会臨時会を開き、候補地の白紙撤回を求める意見書を全会一致で可決した。
 意見書では、候補地の国有林が市内全域に給水している上水道・工業用水道の取水口である花貫川の源流地域にあり、農業用水の水源でもあることから、生活、商業、工業、農業に及ぼす影響が多大であるとし、「いきなり候補地として指定されるのは甚だ遺憾であり、受け入れられるものではない」としている。

11月に管洗浄新工法で講演会/首都大・小泉教授ら講師に/アイスピグ研究会
 アイスピグ研究会(会長=大岡伸吉・東亜グラウト工業会長)は11月21日、東京都新宿区の京王プラザホテルで特別講演会・懇親会を開く。首都大学東京の小泉明・都市環境部特任教授が「最近における水道技術の動向」と題して講演するほか、アイスピグ管内洗浄工法の開発者である英国ブリストル大学機械工学部教授のジョゼッペ・L・クオリーニ工学博士が、同工法の特長や概要を解説する。

23年度事業報告を承認/相水協小委員会
 相模川・酒匂川水質協議会はこのほど、今年度の第1回小委員会を横浜市の横浜情報文化センターで開いた。平成23年度の事業報告や決算報告、会計監査報告を承認したほか、今年度の各部会の活動計画などについて意見を交換した。
 23年度の相模川水系における水質事故は23件で、そのうち油流出が11件と最多だった。また、酒匂川水系での水質事故は15件で、最多は車両事故の6件だった。放射性物質の測定については、どの浄水場の浄水からも放射性ヨウ素・放射性セシウムは検出されなかった。

大学と連携しライブや工作/神戸市水道局
 神戸市水道局は「サマーライブ2012・キッズエコ工作」を、同市水の科学博物館で開催した。神戸山手大学・神戸山手短期大学との連携協力事業で、ライブではコンサート・ダンス・紙芝居、工作ではペットボトルを使った植木鉢・貯金箱づくりなどが行われ、家族連れら約300人が参加した。

サウジの首都に支店を開設/水ing
 水ingは9月30日、サウジアラビア王国の首都リヤドに支店(一原一郎・支店長)を開設した。
 支店の主な業務は、水処理プラントの建設・保安・保全・保守業務、水質浄化施設(上下水、工水)、上水・下水管路の検査・測定・分析業務。

学生に下水道をPR/施設見学・意見交換を実施/横浜市環境創造局
 横浜市環境創造局は9月13日、下水道の日特別企画「ヨコハマ下水道を知ろう!2012夏」を開催した。大学生・大学院生8人が中部水再生センターを見学するとともに、同局職員、横浜水ビジネス協議会の会員企業の社員との意見交換を行った。この企画にはミス日本「水の天使」の酒井美帆さんも参加、学生とともに下水道の魅力などについて語り合った。

11月に新宿で水質研究発表会/日水協関東地方支部
 日本水道協会関東地方支部は11月27日、今年度の水質研究発表会を新宿明治安田生命ホール(東京都新宿区西新宿1―9―1、明治安田生命新宿ビル地下1階)で開催する。13編の発表や尾川毅・厚生労働省水道課水道水質管理官による講演を予定している。

11月28日から粉体工業展
 日本粉体工業技術協会は11月28~30日まで、東京ビッグサイトで「国際粉体工業展東京2012」を開く。協会ホームページ(http://www.appie.or.jp)に詳細。