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2013年(平成25年) 12月 26日(第4877号)





安全・安心の上下水道/インフラ老朽化対策に重点/平成26年度予算案
 平成26年度政府予算案が24日、閣議決定された。未来への投資と暮らしの安全・安心を推進するとして、インフラの老朽化対策が重点の一つに挙げられ、25年度補正予算と一体的に編成されたのが特徴的だ。上下水道はまさに暮らしの安全・安心を支える重要な施設。水道が耐震化をはじめとした「新水道ビジョン」の実現に向け前進すれば、下水道も老朽化対策などを重点的に進める方針。上下水道の「持続」に向けた取り組みが着実に進む予算案が編成されたと言えそうだ。

耐震化、震災復旧を加速/水道
 厚生労働省水道課が明らかにした平成26年度水道関係予算案によると、内閣府(沖縄)、国土交通省(北海道、離島・奄美、水資源機構)、復興庁計上分を含めた公共事業関係予算(水道施設整備費)は407億3000万円となった。概算要求時点の約720億円には及ばないが、25年度補正予算案ですでに460億9100万円を計上しており、これを合わせれば「市町村要望を満たす金額は確保できた」(同課)としている。
 15カ月予算と呼ばれた25年度予算額+24年度補正予算額と比べて18・5%の増。新水道ビジョンで掲げた強靱・安全・持続可能な水道の構築へ、施設の耐震化や老朽化対策などを強力に推し進めていく考えだ。

民間施設の整備に補助も/下水道
 国土交通省が明らかにした平成26年度の下水道関係予算案は、社会資本整備総合交付金9123億6200万円、防災・安全交付金1兆840億5700万円の内数。下水道事業費補助(国費)は7億2000万円、下水道事業調査費等(国費)は46億400万円となった。防災・安全交付金に関しては、昨今の安全、安心、強靭化、老朽化などに対する必要性の向上から、太田国交相が財務大臣へ大臣折衝し、前年度の1・04倍を確保した。これまでのインフラ公共事業関係予算の減少に歯止めがかかった格好。概算要求の内容がほぼ認められた。
 新規事項は1.民間活力イノベーション推進下水道事業の創設(下水道事業費補助) 2.下水道老朽管の緊急改築推進事業の拡充(防災・安全交付金) 3.下水道浸水被害軽減総合事業の拡充(同) 4.合流式下水道緊急改善事業の拡充(同) 5.下水道革新的技術実証事業【B―DASHプロジェクト】(下水道事業調査費)▽下水汚泥から水素を創出する創エネ技術の実証▽既存施設を活用した省エネ型水処理技術の実証▽ICTを活用した戦略的維持管理―が挙げられる。

工業用水道事業は17億3800万円計上
 平成26年度工業用水道事業関係予算案は経済産業省計上分16億400万円となった。このほか水資源機構事業費補助として国土交通省が1億3400万円を計上しており、総計は17億3800万円。
 なお、経産省は25年度補正予算案で「工業用水道強靱化事業」として12億円を計上している。事前防災・減災の考え方に基づき、工業用水道の強靱化及び安定供給の確保に向け工業用水道の更新・耐震化を行う。

摂取制限等を伴う給水継続の考え方議論/水質基準逐次改正検討会開く/厚労省
 厚生労働省で11日に開かれた第2回水質基準逐次改正検討会(座長=眞柄泰基・トキワ松学園理事長)では、水質基準の設定などに関する議題のほかに、「摂取制限等を伴う給水継続の考え方」についても議論された。
 昨年の利根川水系でのホルムアルデヒド前駆物質による水質事故や、福島第一原発事故の影響による放射性物質への対応など近年の教訓を踏まえ、突発的な水質事故などによる水質異常時の対応に関する考え方をまとめる。水道事業者が最善の措置を講じても一時的に浄水中の有害物質濃度が基準値を一定程度超過する場合に、利用者に対して水道水の直接飲用を控えるよう広報したり、煮沸勧告して給水を継続することを適切に判断できるようにするという。

「段階的高度処理」を実証/実験可能団体を募集/国交省
 国土交通省下水道部は、段階的高度処理実証実験の実施可能な地方公共団体を募集している。閉鎖性水域で窒素・リンの流入による富栄養化が進行し、赤潮や青潮が発生して魚類などへの影響が問題となっている中、早期水質改善のために既存施設を活用した高度処理の実施と既存施設を活用した運転方法などを検証。通常の下水処理施設の運転方法を工夫することで一定の窒素・リンの除去を目指す。
 応募期間は来年1月22日までで、応募資格は人口20万人未満の市町村。問い合わせは、各地方整備局等の下水道係まで。

大臣折衝で増額
 自民党の国土交通部会が20日に開かれ、出席した太田昭宏・国土交通大臣は財務大臣との大臣折衝前に意気込みを語り、万雷の拍手で送り出された。
 首都直下地震、南海トラフ地震、風水害・土砂災害などの大規模災害に備えた防災・減災対策が喫緊の課題となる中、高度成長期以降集中的に整備されたインフラの経年劣化が進んでいくことから老朽化対策も必要。公共事業関係費を確保し計画的な長寿命化対策等を進められるよう、直轄維持管理予算の充実・確保、地方公共団体の対策を支援する防災・安全交付金の前年度からの増額を要求した。折衝の結果、財務大臣より要求通り認められることとなった。

浸水対策の充実・強化へ/豪雨対策緊急プランを策定/75mm対策地区など設定/東京都下水道局
 東京都下水道局は17日、豪雨による浸水被害の軽減を目指して「豪雨対策下水道緊急プラン」を公表した。同局はこれまで「東京都豪雨対策基本方針」や「経営計画2013」に基づき、区部全域で1時間50mmの降雨に対応する下水道施設の整備を行ってきたが、局地的豪雨や台風により各地で浸水被害が生じていた。「豪雨対策下水道緊急プラン」では、今年浸水被害が発生した地域を対象に、1時間あたり75mmの降雨に対応できる施設の整備など、3つの取組方針を定めるとともに、それぞれの取組方針を基に事業を推進する「75mm対策地区」、「50mm拡充対策地区」、「小規模緊急対策地区」を設け、浸水対策の充実・強化を図る。

維持管理業務を包括委託/新河岸川上流水循環センターで/埼玉県下水道局
 埼玉県下水道局は、荒川右岸流域下水道新河岸川上流水循環センターの維持管理業務について、民間の創意工夫によりコスト縮減を図るため、包括的民間委託を実施する。履行期間は来年5月1日から平成29年2月28日までの2年10カ月。事業者の選定は一般競争入札で行うこととしており、入札説明書等は1月8日まで配布する。入札および開札は3月27日。契約締結は4月1日を予定している。
 業務内容は▽維持管理実施計画の策定および管理業務▽運転管理業務▽水質等試験業務▽し渣・沈砂等収集運搬・処分補助業務▽危機管理対応業務▽備品・消耗品の調達・管理業務▽薬品・燃料・水道・電気の調達・管理業務▽普及啓発活動▽適正な維持管理のために必要となるデータの整理▽苦情に対する一次対応▽保守点検業務(日常点検、定期点検)▽新宿ゲート保守点検業務▽修繕業務(定期修繕、小修繕)▽その他の業務(清掃、警備等)―。

工事事故防止へDVD制作/受注者の作業員教育を支援/東京都水道局
 東京都水道局はこのたび、同局の「水道工事事故防止アクションプラン」の中で示している、水道工事現場で繰り返し発生している工事事故13項目の事故原因と再発防止策を解説するDVDを制作した。受注者が工事に従事する作業員に対して行う安全教育を支援することが目的。
 DVDの上映時間は47分で、頻発事故13項目のうち、必要な項目を選択して視聴することができ、作業の合間など短い時間での活用が可能となっている。DVDでは、CGで事故を再現し、どのように事故が発生するのか実際に体験しなくても視覚的にイメージすることができる。

4部門17題の知見披露/松山市で水道事例発表会/日水協中国四国地方支部
 第13回日本水道協会中国四国地方支部水道事例発表会が3・4日、愛媛県松山市の東京第一ホテル松山で開催された。関係者ら延べ約130人が出席する中、4部門17題の知見が披露された。
 冒頭、平岡公明・同市公営企業管理者が「新水道ビジョンの推進には新発想が不可欠。中国四国地方の先進的事例を全国に発信しよう」とあいさつ。続いて▽事務部門1題▽計画・水源・浄水部門8題▽配水・給水部門4題▽水質部門4題―の発表・質疑応答が、2日間にわたり行われた。

技術力維持へ意見交換/事業の持続可能性確保を/大規模用水管理者会議
 全国大規模水道用水供給事業管理者会議がこのほど、三重県津市のアスト津で開催された。『業務委託におけるモニタリングの活用』など3点の会員提出議題について意見交換を行ったほか、福田宏之・厚生労働省水道課水道計画指導室長が『水道行政の当面の課題と平成26年度概算要求』をテーマに講演した。
 冒頭、小林潔・三重県企業庁長が「用水供給事業者が一堂に会するこの機会を最大限に活かし、各事業体が抱える課題について活発に情報交換を」とあいさつ。
 福田室長は「人口と水需要の減少に適応しながら水道システムの再構築を進めるには、各地域の事業体が一丸で対応する必要がある。地域の中核を担う大規模用水供給事業者が議論を重ねることは、水道事業の発展に有意義」と期待を寄せた。

暴力団排除へ対策協発足/施工者や警察などと連携/岡山市水道局
 岡山市水道局はこのほど、「岡山市水道局三野浄水場薬品沈でん池更新工事暴力団等排除対策協議会」の発足式などを行った。関係する企業や行政機関が連携・協力し、暴力団などの不当介入を排除することで、工事の適切な遂行を確保する。
 発足式には約40人が参加。酒井五津男・同市水道事業管理者の開会あいさつ、協議会規約の承認後、石井泉・前田建設工業中国支店長を会長に選出。石井会長は「企業の社会的責任と名誉にかけ、今回の工事から暴力を追放する」と決意表明した。続く研修会では、暴力団等排除関連のビデオ上映、岡山県警察本部刑事部による講演などが行われた。

アフリカ8カ国から研修生受入/横浜市水道局
 横浜市水道局は11月7日から11月29日まで、JICAおよび横浜ウォーターと連携して、JICAの地域別研修「アフリカ地域都市上水道技術者養成(英語圏)」を実施した。研修最終日の29日には、横浜市のJICA横浜国際センターで研修成果発表会を開き、アフリカの水道技術者が自国の水道事情や課題、研修で学んだこと、帰国後の行動計画などについてプレゼンテーションを行った。

新薬注システムを拡販/原水濁度急変にも対応/アルミニウムを評価指標に/日立製作所
 日立製作所は、2014年度より、アルミニウムを評価指標とする新たな凝集剤注入制御システムの販売体制を強化する。PAC(ポリ塩化アルミニウム)を凝集剤として使用する浄水場向けの同システムは、原水水質からPACの注入量を算出する従来からのFF(フィードフォワード)制御と、混和池出口のアルミニウム濃度を元にPACの注入量の補正値を算出するFB(フィードバック)制御を組み合せた新制御方式。豪雨などによる急激な濁度変化や季節変動に対しても、高い追従性を実現する。手動介入が少ない自動制御システムとして、熟練運転員が減少する水道事業体や第三者委託企業での採用なども期待される。

フィリピンに給水支援チーム派遣/モバイルシフォンタンク設置へ/日本原料
 日本原料(川崎市、齋藤安弘社長)は16日、台風30号「ヨランダ」の直撃で甚大な被害が発生したフィリピンを支援するため、緊急給水支援チーム「NIHON GENRYO WATER RESCUE」を派遣し、移動式砂ろ過浄水装置「モバイルシフォンタンク」を設置すると発表した。
 装置を設置するのは、セブ島ダーンバンタヤン町。河川の表流水を浄水処理して被災地に飲料水を供給する。現地で活動する支援チームは、齋藤社長をリーダーに、海外担当や技術・施工担当などのメンバーで編成し、装置の設置から試運転、トレーニングまで行う。19日から被災地に入った。

アクアソリューション本部創設/磯村豊水との統合で組織再編/JFEエンジニアリング
 JFEエンジニアリングは19日、2014年5月に予定している磯村豊水機工の上水プラント事業の統合に向けて、1月1日にアクアソリューション本部を立ち上げると発表した。プラントから管路までの上下水道全ての分野で最大のシナジー効果を発揮させながら事業展開していく体制を整え、国内PFIやDBO案件の受注を目指す。
 アクアソリューション本部は、都市環境本部のアクア事業部を吸収・再編し、企画部、営業部、プラント技術部、O&M部、海外プロジェクト部、水道管路技術部を置くとともに、磯村豊水機工との統合準備のために浄水プラント事業部を設置する。

山口・岡山で技術説明会/金縄厚労省課長補佐ら講演/ダク協中国四国支部
 日本ダクタイル鉄管協会中国四国支部(宮本晃支部長)はこのほど、技術説明会を山口市内(山口県商工会議所)で開催した。地震とアセットマネジメントの2講演が行われ、同県内の水道事業体やコンサルタント関係者ら約50人が参加した。

会長に佐藤専務・社長に山本常務/前澤給装工業
 前澤給装工業の尾崎武壽社長が20日付で退任し、同日付けで代表取締役会長に佐藤秀敏・専務取締役、代表取締役社長に山本晴紀・常務取締役が就任した。

GX形管をタイムカプセル/子どもたちの思い未来へ/阪神南ふれあいフェス
 阪神南ふれあいフェスティバル開催記念タイムカプセル設置式がさきごろ、兵庫県尼崎市の尼崎の森中央緑地湾岸線南広場で開催された。阪神南県民局管内3市(尼崎市・西宮市・芦屋市)の全小学校と養護学校小学部6年生のメッセージ、学校の写真などを納めたタイムカプセルを埋設する際、GX形ダクタイル鉄管が採用された。
 祭典会場がクボタ阪神工場に隣接しており、タイムカプセルの企画に対し、同社が同県担当者にGX形管の採用を提案した。