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2014年(平成26年)  3月  3日(第4892号)






管路・浄水 研究成果に期待/課題解決へ産・学・官が英知結集/水道技術研究センター
 水道技術研究センターが行う管路・浄水両分野の研究が着々と進んでいる。管路分野では、次世代の水道管路構築を目指した「Pipe Starsプロジェクト」が3カ年の最終年度で大詰め段階を迎えた。維持管理レベルの評価手法を示すほか「維持管理マニュアル作成の手引き」を作成。ICTを活用した管路情報の利用促進に関する研究なども進めた。浄水分野でも共同研究や厚生労働科学研究費補助金による研究が着実に進行中。施設の老朽化や多様化する水質問題への対応をはじめとして水道界が抱える課題の解決へ向け、同センターが担う産・学・官の研究成果に期待がかかる。

維持管理レベルの評価手法示す/管路技術委員会
 3カ年の共同研究が最終年度を迎える次世代の水道管路に関する研究「Pipe Starsプロジェクト」の研究結果を説明した。健全な水道管路の維持管理を研究する第1研究委員会は、▽維持管理レベルにおける評価手法▽維持管理効果における定量化の研究▽予防保全型維持管理の重要性と効果の検証―を研究。「維持管理マニュアル作成の手引き」も作成した。
 プロジェクトの最終委員会は3月24日に開催し、6月を目途に最終報告書を発刊する予定。また、東京・大阪をはじめ8都市で成果報告会を開き、全国へ研究成果をPRしていく。

小規模水道の再構築を支援/浄水技術委員会
 事務局が共同研究J―Stepの活動報告や厚生労働科学研究費補助金による研究などを説明。特別研究事業の報告で、平成26年度から2カ年実施する「小規模水道事業及び施設の再構築に関する調査」の内容が明らかになった。これは25年度の自主研究事業「中小規模水道事業及び施設の再構築に関する調査」の継続事業で、簡易水道事業に代表される小規模水道を支援していく。

御園氏の功績・人柄を偲ぶ
 昨年末に亡くなった御園良彦・前東京都市開発(株)代表取締役社長の「お別れの会」が2月28日、東京・新宿のヒルトン東京で開催された。東京都水道局長、日本水道協会専務理事を歴任するなど、長年水道界で活躍してきた同氏の人望・人脈を象徴するように産官学の水道関係者約600人が出席し、故人の功績・人柄を偲んだ。

9000円で実施の機関も/34条検査/厚労省・アンケート調査
 厚生労働省水道課が、簡易専用水道の法定検査を行ういわゆる34条登録検査機関に対して実施したアンケート調査で、業務規程に記載している検査価格の半値で検査を実施している機関があることが分かった。
 同課が毎年34条機関に行っているアンケートに、初めて実勢価格を問う項目を加えた。実勢価格は、各機関が行う検査の最頻の価格を聞いた。平成24年度に登録実績のあった122機関が対象。業務規程に記載の標準的な価格は1万7000円~8000円が多かったが、実勢価格9000円で検査を行っていた機関もあった。
 登録制度に移行後34条検査の低価格化が進んでいる、との業界団体の意見を踏まえ調査した。検査データの捏造が起きるなどした20条検査と同様に検査の信頼性低下を招く恐れがあるとの指摘もある。同課水道水質管理室の担当者は「著しい検査価格の低下は適正な検査の実施に支障が出る恐れがある」と話した。

経営改善ガイドライン案を議論/下水協
 日本下水道協会は2月27日、第4回下水道経営サポート検討会(座長=滝沢智・東京大学大学院教授)を開いた。前回に引き続き、下水道経営改善ガイドライン(案)の内容について議論。経営指標の選定や経営自己診断など「現状分析・課題把握のための経営指標」について活発な意見を交した。自己診断に応じた経営改善施策の採用、収入改善施策、支出抑制施策などの「下水道の経営改善施策」についても話し合った。委員からは「使い方だけでなく目的も記載した方が良い」「用語集も作った方がいいのでは」などの意見が出た。

「健全な水循環確保を」/水循環基本法で答弁/太田国交相
 2月26日開かれた衆議院予算委員会第八分科会で、水循環に関する施策を総合的・一体的に推進するための水循環基本法について質疑応答があった。超党派の議員でつくる水制度改革議員連盟の事務局長を務める中川俊直・衆院議員の質問に太田昭宏・国土交通大臣が答えた。
 昨年の通常国会で成立しなかった同法案の重要性を訴えた中川議員に対し太田大臣は「水資源の確保や環境保全の観点から、水の適正な利用を通じて健全な水循環を確保することは重要。法案について超党派で議論され、成立寸前で廃案になったことは承知している。引き続き関心を持って議論を見守っていきたい」と述べた。
 中川議員は、同法が複数の省庁にまたがる水行政を内閣総理大臣直轄の水循環政策本部に一元化して水を守り育んでいく施策に向けて歩み出す契機になることなどを説明。「これからの時代、日本の素晴らしい資源は水だ」と、2020年東京五輪の話題を絡め、世界に冠たる水を守る水制度改革の必要性を訴えた。

全国初の太陽光・バイオガス同時発電/共同事業で建設費抑制/年間合計1300世帯分を売電/神戸市垂水処理場
 神戸市とエナジーバンクジャパン(大阪ガス100%出資)の共同事業「こうべWエコ発電プロジェクト」が完成し、5日から供用開始する。同市垂水処理場の施設上部空間に設置した太陽光発電(発電規模約2000kW)と、下水道資源のバイオガス発電(発電規模350kW)を、全国で初めて同時に稼働させ、より安定した電力確保、再生可能エネルギーの創出による温室効果ガスの削減などに貢献する。同市が空間と資源を提供し、企業が建設費を賄う「共同事業方式」も含め、大きな関心を集めそうだ。

ダク耐震管の報告など/研究発表会を開催/富山県水道協会日水協富山県支部
 富山県水道協会と日本水道協会富山県支部は2月13日、富山市の富山県市町村会館で「第40回富山県水道事業研究発表会」を開き、5件の発表を行った。水道事業体や関係機関、企業などの職員が日常業務の中で得た研究成果を発表することで、知識・技術の向上を図ることが目的。会場には約70人が集まった。
 発表のタイトルと発表者は▽「中田配水場1・2号配水池耐震補強工事について」(大江賢郎氏・高岡市水道局)▽「経年耐震管調査事例と鎖構造管路の特徴」(斉藤実氏・日本ダクタイル鉄管協会)▽「管内カメラを使用した管内調査」(酒井大介氏・大成機工)▽「専用水道における水質基準超過(塩素酸)事例について」(中田理恵氏・富山県中部厚生センター)▽「上関配水場電気設備更新工事について」(上蓑憲男氏・高岡市水道局)―。

既存施設の運用工夫で水質向上/新たな浄水処理の実験必要/浄水技術検討の報告書、評価書/神奈川県内(企)
 神奈川県内広域水道企業団は2月26日、独自に定めた水質目標の達成に向けて、浄水技術対策を検討する「浄水技術検討委員会」(委員長=伊藤雅喜・国立保健医療科学院生活環境研究部上席主任研究官)の最終会合を、同企業団本庁舎会議室で開いた。約1年半にわたり同企業団が行ってきた実験・検討結果をまとめた報告書案と、それに対する同委員会の評価・提言を示した評価書案について審議し、内容はおおむね了承された。また、議事終了後には、伊藤委員長から林秀樹・同企業団副企業長に評価書が手渡された。報告書では、新たな施設整備をしなくても現有施設の運用を工夫することにより、浄水水質が向上することが示され、評価書においても評価されている。一方で、薬品使用量が増加する課題が出てくることから、報告書・評価書ともに粒状活性炭などのこれまで同企業団では導入していない新たな浄水処理方法の実験の必要性も指摘している。

"更新とあわせ耐震化を"/小泉首都大教授の講演など/横手市上下水道部管路耐震化プロ会議
 横手市上下水道部は2月14日、市内のホテルで管路耐震化プロジェクト第22回会議を開催した。県内の自治体や民間企業などから約100人の水道関係者が参加した。会議では、小泉明・首都大学東京都市環境学部特任教授が「次世代の水道システム実現に向けた提言」と題して基調講演を行った。また、大川耕司・栗本鐵工所エンジニアリング部東部設計グループ担当課長が「弁栓類の保守点検業務」について事例紹介した。
 講演で小泉教授は、水道技術研究センターで12年間にわたり行われてきた水道管路に関する産官学共同研究の成果を説明したほか、管路更新における新たな優先度の考え方や合理的水運用など東京都と行っている連携研究について紹介した。最後に「単に古い順に更新するのではなく、きちんと見定めてしっかり更新していく。しかも更新と合わせて耐震化していくことが大切」と強調した。

グローバルな課題に対応を/総会、報告会・研修会開く/WTI研修交流会
 日本水道協会の国際交流基金によるWTI研修(今年度から国際研修「イギリス水道事業研修」)の修了者で組織する「WTI研修交流会」は2月7日、第18回総会と報告会・研修会を日本水道会館で開催した。総会では来年度の新役員や事業計画を決め、3年にわたり会長を務めた秋葉有一氏(東京ガス・エンジニアリング、元千葉県水道局)に代わり、今川重信氏(福山市管工事共同組合、元福山市水道局)が会長を務めることになった。
 秋葉会長は冒頭あいさつで「ますますグローバルな課題に対応できる研修であってほしい」と日水協の国際研修に期待を寄せ、来賓として出席した尾﨑勝・理事長は「横の連携で情報共有されていることが心強い。成果を日水協に発信してほしい」と同交流会にエールを送った。

来館者20万人を達成/くす玉開きや記念品贈呈/岡山市水道記念館で式典
 岡山市水道記念館の来館者が、2月20日で20万人に達した。昭和60年7月の開館以来、28年7カ月での快挙。同館は同市水道通水80周年を記念し、三野浄水場内の旧送水ポンプ室を改造しており、水の役割や大切さなどを学ぶ体験型施設となっている。赤レンガ造りの外観は通水開始時のままで、平成17年2月に国の登録有形文化財に登録されている。

水の写真コンテスト作品展を開催中/横浜・京急百貨店で12日まで
 本紙では、横浜市水道局と共同して、第55回「水の写真コンテスト」で上位入選した作品19点や、横浜市民から本コンテストに寄せられた作品の一部を展示する写真展を、横浜市港南区の京急百貨店で2月27日から今月12日まで開催している。(株)京急百貨店の協力を得て毎年開催されているもので、今年で4回目を迎えた。

水道水の安全・おいしさPR/東京都水道局がブース出展/東京マラソンEXPO
 東京都水道局は2月20日から22日の3日間、東京ビッグサイトで開かれた東京マラソンEXPO2014にブースを出展した。水道利用者に水道水の安全性とおいしさをPRするため、パネル展示やアンケートなどを行った。東京マラソンEXPO2014は、2月23日に行われた東京マラソン2014に先立ち、参加ランナーの受付のほか、スポーツ・健康関連企業やコース沿道の自治体などがイベントやブースの出展を行うもの。同局のブースには、3日間で約1万人が来場した。

世界規模のエネルギー・環境企業に発展へ/英国水道や活性炭会社買収/Wエコや水上太陽光の発電も/太陽光とバイオガスを同時に発電/大阪ガスグループ
 大阪ガスは長期的な視点で、グループ事業構造の変革に挑戦するため、2020年(平成32年)を見据えた『長期経営ビジョン』と、中期経営計画『Field of Dreams 2020』(同21~25年度)を、2009年度(同21年度)に策定し、現在推進している。
 『長期経営ビジョン』では、質の高い経営を実践しながら、「国内エネルギーサービス事業」「海外エネルギーバリューチェーン事業」「環境・非エネルギー事業」を3本柱とし、グローバルなエネルギー・環境企業グループへの発展を目指している。
 大阪ガスグループの大阪ガスUK社は昨年9月、住友商事が株式100%を保有する英国の水道事業会社(Sutton and East Surrey Water plc、以下「SESW」)の株式50%を取得。日本の都市ガス事業者として、初めて海外水道事業に参画した。

維持管理から長寿命化計画策定まで/管路の包括的管理業務で/大阪・河内長野市から受託へ/積水化学、管清工業、日水コン、都市技術センター、藤野興業
 積水化学工業を代表企業とする共同企業体が、大阪府河内長野市の下水道管路施設包括管理業務の優先交渉事業者に選ばれた。これまでの下水道管路の包括的民間委託は管路の巡視点検、清掃、簡易修繕、緊急対応などの維持管理業務の包括化が主体となっていたが、今回はこれらの業務に加え、管路の詳細調査とそれに基づく長寿命化計画策定業務を合わせた国内初めての業務となる。3月中に業務委託契約を締結し、4月から業務を開始する予定だ。実施期間は、2016年3月末までの2年間。共同企業体は、積水化学工業、管清工業、日水コン、都市技術センター、藤野興業の5者で構成している。管路の包括的民間委託の新たな形として今後の動向に注目が集まる。

水質計の保守点検で協業/クラウドで安価なリモート監視実現へ/メタウォーター、堀場製作所
 メタウォーターと堀場製作所は2月28日、水質計測器の保守点検クラウドサービス分野で協業すると発表した。堀場製作所の水質計用の小規模無線ネットワークシステム「H1―LinK」をメタウォーターの「ウォータービジネスクラウド(WBC)」に組み込む。プラント内の複雑な配線工事が不要なH1―LinKを利用して広域監視サービスに情報を集約することで、上下水プラントの現場稼働状況を安価で簡単にリモート監視できるようにする。無線化することで配線工事が不要となることからコストの低減を図れることに加え、点検業務の効率化により業務量を3割程度減らせるという。
 同サービスは今夏から開始する予定。今後、H1―LinKをWBCに適用させるためのカスタマイズ作業を進めていくとしている。

維持管理性が向上/水ingのフレームフロキュレータが受賞/日本工業用水協会研究発表会
 日本工業用水協会の第49回研究発表会が2月27日、28日に東京市ヶ谷の自治労第1会館で開かれ、水ingの「緩速攪拌装置フレームフロキュレータの水道施設への適用」が日刊工業新聞社賞を受賞した。フレームフロキュレータは従来の横型フロキュレータが定期的な水中軸受や軸の交換を必要としていたのに対し、攪拌翼をフレーム構造としたことで水中軸受がなくなり維持管理性、施工性が向上した技術。さらに攪拌が均一にできるので水質の向上が期待できる。

日水協検査工場に登録/東亜機械工業本社工場
 東亜機械工業(本社・下関市、中村忠生社長)の本社工場がこのほど、日本水道協会の検査工場に登録された。2月12日には同協会大阪支所で登録通知書と標示板が交付された。
 同社は立坑用鋼製ケーシング(φ1500~5000)および、岸壁に設置する防舷材の2事業を柱に展開している。水道用鋼管については従来、鋼板のロール、溶接工程まで行い、他社に納入していた。本社工場に無溶剤型の塗装機械設備を新たに導入したことで、最終工程までを自社生産で行う体制が整った。

社長に狩野副社長が昇格/JFEエンジニアリング
 JFEエンジニアリングは2月26日、狩野久宣代表取締役副社長が4月1日付で代表取締役社長に昇格する人事を発表した。岸本純幸代表取締役社長は同日付で取締役相談役になる。

水力やバイオマス発電などを紹介/おおさか市民環境大学2014講座
 おおさか市民環境大学2014が2月19日、大阪市立環境学習センター(生き生き地球館)で開催された。青木豊明・関西外国語大学教授の講座「再生可能エネルギーの現況」では、同氏が滋賀県大津市で取り組むマイクロ水力発電(日最大10kW)や、バイオマス発電事例として横浜市北部汚泥資源化センターなどを紹介し、「今後は波力や海流、潮汐力の活用検討を」とまとめた。