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2014年(平成26年)  5月 15日(第4908号)





持続可能な工水事業に向け/「基準料金制」廃止へ/雑用水規制の緩和も/経産省・工業用水道政策小委
 経済産業省は13日、産業構造審議会地域経済産業分科会の第5回工業用水道政策小委員会(委員長=小泉明・首都大学東京特任教授)を開いた。工業用水道事業を取り巻く環境を踏まえ課題を整理し、今後の工業用水道政策の方向性について議論。「持続可能な工業用水道事業に向けた環境整備」「産業構造や企業立地ニーズの変化への柔軟な対応」「強靭性を兼ね備えたインフラ整備」を方向性として挙げ、基準料金制の廃止や雑用水規制の緩和をはじめとした規制緩和などによる経営改善への環境整備や、事業統合・広域化、上水道との連携・施設供用化、工業用水道の海外展開などの施策を今後、展開していくことが示された。

日本水道協会顧問 赤川正和氏に聞く
総会特別講演の論点と水道事業管理者への思い
 来月24日に開催予定の日本水道協会総会では、同協会顧問の赤川正和氏が特別講演を行う。財務・労務・営業部門をはじめとする水道経営全般での豊富な実務経験を糧に東京都水道局長としてリーダーシップを発揮し、さらに日水協専務理事時代には全国の水道事業の課題克服に尽力した赤川氏の見識がこれからの変革の時代において“水道事業経営のヒント”になるものと期待される。本紙では、講演に臨む赤川氏に総会開催の意義と併せてお話を伺った。

最新技術が満載 下水道展'14大阪へGO!/7月22日から4日間/インテックス大阪で
 「下水道展’14大阪」が7月22日(火)から25日(金)まで大阪市のインテックス大阪で開催される。「日本発!くらしを支える底力」をテーマに下水道関連企業の最新技術・製品が出展され、来場者が優れた技術に触れる絶好の機会となっている。また、市民への下水道のPRを下水道広報プラットホーム(GKP)と開催市の大阪市が共同で企画している。下水道の最新技術展示と市民への下水道PRが相まって、今年も下水道界の一大イベントは盛り上がりを見せる。

第3回地域懇談会を広島で/新水道ビジョンを推進/厚労省
 厚生労働省水道課は、新水道ビジョン推進の一環として各地で実施している「新水道ビジョン推進のための地域懇談会」の第3回を、6月30日に広島市の広島国際会議場で開催する。発展的広域化や住民との連携など、先進事例の情報を共有することなどを通して新ビジョンの取り組みを広める狙いがある。第1回は昨年11月に盛岡市で、第2回は今年2月に福岡市で開いた。今回は中国・四国地域が対象。
 参加は事前の登録が必要のため、▽名前(ふりがな)▽連絡先電話・FAX番号▽勤務先・所属団体▽回答先メールアドレス―を記載した上で、Eメールsuidou_vision@nissuicon.co.jpかFAX03―5323―6483まで申し込む。6月6日必着。問い合わせは、電話03―5323―6256(担当:日水コン・榊原、三迫、安藤、安食)まで。

11月9日に技術検定/JS
 日本下水道事業団(JS)は7日、今年度に実施する「下水道技術検定」と「下水道管理技術認定試験」の内容を発表した。試験の実施日は11月9日で、全国11都市で行われる。検定・試験手数料は、第1種技術検定が1万2000円、第2種・第3種技術検定及び認定試験が9000円となっている。
 申し込み用紙は、今月30日からJS研修センター研修企画課などで配布する。JSのホームページからもダウンロードできる。6月30日から7月23日までに、研修センター研修企画課に簡易書留郵便で申し込む。問い合わせは、JS研修センター研修企画課(電話048―421―2076)まで。

バイパス水管のシールド発進/貯留機能、耐震性備え/地震時に飲料水3414立方m確保/堺市上下水道局
 堺市上下水道局は4月8日、堺市南区の岩室配水場で耐震性を有し、貯留機能を備えた岩室陶器バイパス送水管布設工事(第一工区)のシールドマシン発進式を行った。施工は三井住友建設・紙谷工務店・導建設の共同企業体が行い、平成29年3月の完成を目指して工事を進める。
 
同局の岩室配水場から陶器配水場間には既設の幹線管があるが、昭和41年布設の非耐震管で、送・配水を兼ねるなど水運用の管理面に課題があった。そこで、耐震性の確保と送水、配水機能の分離、さらに貯留機能を備えた送水管として、新たに岩室陶器バイパス送水管の整備に着手した。
 岩室配水場から陶器配水場への送水管(φ1000、US形ダクタイル鋳鉄管)のバイパスルートをシールド工法(泥土圧式、外径φ1930mm)で布設し、第一工区は岩室配水場から応急給水施設を設置する登美丘南小学校までで、延長は2745・91mになる。

簡水協ブロック会議
公共工事作業員確保へ支援を/財務規定適用は実情に応じて/東北・北海道ブロック会議
 全国簡易水道協議会東北・北海道ブロック会議が8日、福島市内のホテルで開かれ、各道県から提案された8議案について採択し、今月30日に高知市で開催される全国簡易水道大会に提案することになった。また、議事終了後には厚生労働省と総務省から行政説明が行われた。次回開催県は宮城県に決まった。
 提案された8議案のうち、北海道簡易水道等環境整備協議会が提案した「地方公営企業法の適用に関する考え方について」では、総務省の研究会で簡易水道事業に財務規定等を適用することが必要とされたことについて、行政サービスと一体的に運営しているため企業性が低く、独立採算による運営にはなじまないなどと指摘。一律にすべての簡易水道事業を適用対象とするのではなく、事業の規模や地域の実情に応じて選択可能にするなどの弾力的運用ができる制度の構築を求めた。

人口減少見据えた事業運営を/提出議案3題を全国大会へ/関東甲信越ブロック大会
 平成26年度全国簡易水道協議会関東甲信越ブロック簡易水道大会が1日、高崎市のホテルメトロポリタン高崎で開かれた。約50人が出席するなか、会員提出議案3題などについて審議した。次回開催地は新潟県。
 会員提出議案は1.簡易水道事業統合計画の変更による簡易水道等施設整備費補助対象の措置について 2.水道施設及び配水管等の老朽化対策、耐震化への財源措置の拡充について 3.基幹的施設等の更新・改良事業に係る国庫補助制度の拡充・強化について―。審議の結果、すべての議案を全国簡易水道大会に提出することを決めた。

都への臨時分水を継続/協定書調印式を開く/東京都水道局、神奈川県企業庁、川崎市上下水道局
 東京都水道局、神奈川県企業庁、川崎市上下水道局は4月22日、都庁で「東京都への臨時分水に関する協定書」の調印式を開いた。吉田永・東京都水道局長、渋谷敏裕・神奈川県企業庁企業局長、飛彈良一・川崎市上下水道事業管理者が協定書を取り交わした。同協定は、東京都が川崎市の相模川水系割当水量から日量最大23万立方mの原水の分水を受けるもの。当初は昭和30年から同50年までの20年間の協定を取り交わしていたが、それ以降も分水を継続するため、毎年、協定を結んでいる。

強靭・持続支える負担を/22の提出問題で積極討議/日水協神奈川県支部総会
 日本水道協会神奈川県支部は4月25日、メルパルク横浜で平成26年度総会を開催した。県内の水道事業トップをはじめとする関係者40人が出席した同総会では審議した会員提出問題が22題にも達するなど、山積する諸課題の克服に向けて積極姿勢の目立つ会合となった。

寝屋川市で第51回総会/大阪府下水道協会
 大阪府下水道協会は8日、寝屋川市民会館で第51回総会を開催し、会員提出問題などを検討した。
 冒頭、開催地の馬場好弘・寝屋川市長、会長の阪口伸六・高石市長があいさつし、続いて予・決算を審議。会員提出問題については、▽下水道事業における社会資本整備総合交付金の要望額確保、制度改善及び事務費の交付金対象復活▽下水道浸水被害軽減総合事業の交付対象事業の要件緩和及び国費率の拡充▽起債条件の改善及び既往債の借換条件の緩和と繰り出し基準の明確化―を検討し、すべてを関西地方下水道協会に提出することを決定した。次期開催地は高石市。

保守点検の高度化・効率化へ/ビッグデータ分析とウェアラブル端末活用/技術・ノウハウの継承にも活用/会津若松市で実証実験/メタウォーター、富士通
 メタウォーターと富士通は12日、富士通の技術であるビッグデータ分析とウェアラブルデバイス(体に装着して利用する端末)を活用した設備保守点検業務の実証実験を5月後半から福島県会津若松市の滝沢浄水場で開始すると発表した。実証実験では保守点検業務の高度化・効率化や、水質予測による薬剤投入の最適化と薬剤コストの削減、熟練作業員の技術伝承などで実用性を検証する。実施期間は、2014年12月末までで、同浄水場のほか、数カ所で実証を行っていきたいとしている。全国の水道事業体では、給水収益の減少による財政難や技術職員の減少などの課題があり、効率的な保守点検や技術・ノウハウの継承が求められている。今回の実証で、水道事業の持続に向けた効率的な維持管理手法や技術伝承方法の構築につながるものと期待される。

東北最大級の膜ろ過施設整備/滝沢浄水場更新工事がスタート/メタグループ、会津若松アクアパートナー
 メタウォーターを代表企業とするグループと特別目的会社「会津若松アクアパートナー(株)」が福島県会津若松市から受注した「会津若松市滝沢浄水場更新整備等事業」の安全祈願祭を12日、同浄水場地内で行った。室井照平・会津若松市長をはじめ事業者選定委員会委員長を務めた小泉明・首都大学東京特任教授など多数の関係者が出席した。
 同事業は更新する滝沢浄水場の設計・建設と、更新浄水場と既存浄水場の運転管理を行うもので、整備手法は同市ではじめてとなるDBO方式で実施する。更新については原水水質の変動にも強いセラミック膜を採用することで、浄水処理の安定性を確保する。施設能力は2万7000立方m/日で、完成すると東北地方で最大の膜ろ過浄水場となる。全体の事業期間は平成45年3月までの19年間。今後4年間で施設の設計・施工を行う予定。今年度は設計と既存施設の解体を行い、来年度から新浄水場の本体工事に着手する。

PIP工法設計基準を制定/巻込鋼管にも適用可能/日本水道鋼管協会
 日本水道鋼管協会は、既設老朽管内に新設の鋼管を配管して更新するパイプ・イン・パイプ工法(PIP工法)の技術資料として「パイプ・イン・パイプ工法設計基準」(WSP078―2014)を制定した。同基準では、挿入する水道用鋼管として、普通鋼管と巻き込み鋼管が適用可能なものとして取りまとめ、PIP工法の設計手法や設計に関する資料も盛り込み、技術資料を充実させている。
 PIP工法は、老朽管の前後に立坑を築造して新管を送り込みながら既設管内で接合し、既設管と新設管の間に充填剤を注入して管路を更新する工法で、適用口径はφ800以上となっている。同工法は、鋼管の優れた加工性により既設管の曲り部などにも容易に施工でき、既設管に近い通水断面の確保が可能で、布設替えを行った場合と同等の優れた耐震性能を発揮するという特長がある。また、非開削工法のため、特に市街地では、用地問題や交通障害の軽減が図れるほか、掘削土が少なく環境に優しい老朽管の更新・耐震化を促進させる工法として多くの実績がある。

支部長にオリジナル設計の菅社長/調達問題や品質確保が重点課題/水コン協関東
 全国上下水道コンサルタント協会関東支部(支部長=野村喜一・日水コン社長)は9日、東京都渋谷区のけんぽプラザで第4回通常全体協議会を開いた。平成26年度事業計画などを決めたほか、役員の改選を行い、新支部長に菅伸彦・オリジナル設計社長を選任した。
 26年度は1.良質なインフラを次世代に残すため、老朽化対策や事前防災・減災対策を中心とした上下水道事業費の確保を関係者に要望する 2.良質な成果品の提供を維持するため、低価格入札問題への実効性のある対策、業務成績評定の実施、技術力重視の選定等の導入を関係者に要望する 3.発注者の多様な要望に応えるコンサルタントの育成・確保を図るため、人材育成に取り組む―の3つを基本方針として事業を展開する。また、引き続き調達問題とコンサルタントの成果の品質確保を重点課題と位置づけ、発注者への要望活動に反映する。さらに、発注者の要望に応え続けるために、人材育成の施策にも取り組む。

伸長分野に経営資源を集中/環境、インフラ、防災分野など/日立造船新中計
 日立造船は9日、2014年度を初年度とする3カ年の新中期経営計画「Hitz VisionⅡ」を策定したと発表した。
 新中計では、社会的要請が高まっている「環境・グリーンエネルギー分野」と「社会インフラ整備と防災分野」などの伸長分野に経営資源を集中して、収益力の強化や事業規模の拡大を図る。最終年度には、2013年度の売上高3334億円、営業利益78億円を大きく上回る売上高4000億円、営業利益230億円を目標に掲げた。