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2006年(平成18年)01月01日(第4205号)

新年号:社説<2006年を迎え>

甦る水美しい日本。人・すべての生命のために。
 人・すべての生命のために、美しい日本を末ながく世界に誇っていきたい。春夏秋冬、自然に恵まれた美しい日本を、われわれは守り育んでいかなければならない。
 日本列島は狭いうえに山が多くて平地が少なく、国土の67%が森林だが、世界を見わたしても気候風土としては長所の方が勝っていよう。日本ほど自然に恵まれた国はない。
 昨年12月には記録的な積雪に見舞われ、とくに豪雪地帯では苦労が多かったが、山岳地帯の膨大な積雪は平地にとって「水の蓄積」。これが日本の水事情をどれほど良くしてくれていることか。この国に住まうからには、常に、国民全体で苦労と喜びを分かち合っていかなければならない。
山といえば登山。ところが最近、大学や民間の山岳部がどんどん減っているという。原因の一つは世界最高峰チョモランマ(エベレスト)の初登頂がなされてしまったからだ。新記録への挑戦の夢が消えて、プロにとっては気持ちの張りがなくなった。
 その結果、登山の大衆化が始まった。『日本百名山』ではないけれど「50歳からの山歩き」とばかりに賑わっている。
 その道のプロたちによって頂点が究められれば、次には大衆化が始まるが、引き続きその道のプロによる“善導”が必要であることは、高齢者グループの登山事故を見ても明らかだ。
 国民皆水道に近づいた水道にも同じことが言えないか。普及促進という所期の目的が達成されて、水道の主役は一般市民に移った。
 だからといって、水道人は気持ちの張りをなくしてはなるまい。国民をリードしていく責任がある。「蛇口の水を飲もう」という呼びかけもその一つ。
 下水道は未だ普及率68%だと言ったところで、もう「普及率」の時代ではなくなっている。「全てプロにお任せ下さい」では、もうこれ以上進展しない。下水道も大衆化の時代に移っているのだ。「循環のみち・水のみち・資源のみち」なのだ。
ほとばしる清流の行方を考える。地球上の水は動植物の生態系を育みながら、水道に使われ、下水道できれいにされて、あとは大自然界の営みによって再び清流となって甦ってくる。
 水道も下水道も、水循環系のほんの一部分に関わっているに過ぎない。にも拘らず「水道・下水道あっての水循環」と考えがちではあるまいか。環境問題は生き方の問題なのだ。今や水道・下水道の「生き方」が問われている。
 「甦る水」は「人すべての生命のため」だけでなく、生態系、生きとし生けるものから、石や砂の類いにも必要なのだ。極言すれば、地球上のあらゆるものに目を向け、21世紀を謙虚に生きていくべきではあるまいか。

本号の内容

第1部
▽新春対談=下水道の多様性と新たな展開へ向けて
 北側国土交通大臣、松尾東洋大学学長
▽対談=水と健康
 武藤・東京大学教授、浅見・保健医療科学院水道工学部研究官
▽てい談=地球環境と21世紀の上下水道
 大垣・東京大学教授、山村・厚労省水道課長、藤木・国交省流域管理官
▽東西局長インタビュー
 東京都・前田下水道局長、名古屋市・山田上下水道局長、
 大阪府・芝池水道企業管理者 北九州市・南立建設局長
▽企業トップ新春訪問
 越智・中日本建設コンサルタント社長、石橋・前澤化成工業社長、佐藤・日本ジッコウ社長、榊原・日本ヘルス工業社長
▽進む上下水道の国際交流
▽木曽川を歩く
 名古屋市上下水道局
第2部
▽中島・厚労省健康局長、柴田・国交省都市・地域整備局長インタビュー
▽新春随想・親父の背中
▽新春挨拶
 各種団体 産業界より