上下水道界の一年を振り返る
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うち続く公共事業費削減の中で、上下水道事業をめぐる環境は依然として厳しい状況が続いている。しかしながら水道界では、レビューに基づき「水道ビジョン」が改訂され、実現へ向けての取り組みが積極的に進められている。4月からは耐震性改善運動もスタートした。下水道事業でも、下水道ビジョン2100に掲げられた「循環のみち」実現へ向けての取り組みが進められている。ライフラインとしての上下水道の機能と信頼性の持続へ向けての議論や、産業界の国際展開をめぐる議論も活発に行われた上下水道界の1年を振り返った。1.は1面掲載の本省を中心としたニュース2.は地方ニュース3.は産業界ニュース
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横須賀市水道給水開始100周年
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横須賀市水道が12月25日で給水開始100周年を迎える。フランス人技師ヴェルニーの指導の下建設された軍港水道を発祥とする同市水道はこの間、関東大震災や戦災を乗り越え、現在では42万市民の生活を支える重要なライフラインとなっている。また、技術・経営両面においてさまざまな先進的取組を展開してきた。本紙では、給水開始100周年を迎える同市水道の歴史を振り返り、今後を展望する特集を企画。蒲谷亮一・市長からのメッセージをはじめ、林功二・水道事業管理者のインタビュー、金井愼司・施設部長と金井保雄・業務部長、同市上下水道局の次代を担う職員による座談会、同市水道と縁が深い小泉明・首都大学東京大学院教授による関連施設視察の同行ルポなどを掲載した。
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PSI環境フォーラム
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特定非営利活動法人ポリシリカ鉄凝集剤普及協会(略称=PSI協会、磯村欽三会長)は11月26日、名古屋市南区の日本ガイシフォーラムでPSI環境フォーラム(後援=日本水道協会、日本水道工業団体連合会、水道技術研究センター、協力=水道産業新聞社ほか)を開いた。5回目となる今回は「P・S・愛(アイ)・地球環境ソリューション~水・食料・資源問題とPSI~」がテーマ。第1部では北見工業大学の海老江邦雄・名誉教授をコーディネーターにPSIの導入事例を報告。第2部ではグローバル・ウォータ・ジャパンの吉村和就・代表と東北大学大学院の伊藤豊彰・准教授、石巻専修大学の髙崎みつる・教授がそれぞれ講演し、第3部では第2部の講師陣に厚生労働省の粕谷明博・水道課長を交えてのパネルディスカッションが行われた。ここでは同フォーラムの概要を掲載する。
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水道事業の管路整備特集
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水道事業にとって管路整備の質量のレベルがその事業内容に大きく影響してくることに論を待たない。とりわけ、近年は大規模更新を控え、いかにそれを前向きに受け止めて安定的で持続性の高い水道システムを構築するか真価が問われる時でもある。本紙恒例の水道管路特集では、我が国の水道事業をリードする6大都市(東京都・横浜市・名古屋市・京都市・大阪市・神戸市)の管路整備の最新動向にスポットを当て、現在整備・計画中の幹線管路や送配水システムの再構築に向けた取り組みについて紹介した。さらに、特別企画として、水道管路分野に関する学界の新旧のリーダー、小出崇・新潟大学名誉教授と小泉明・首都大学東京教授の対談と新潟市水道局における管路更新の最新動向の技術レポートを掲載した。
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No.333=旭川市
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北海道の主要水道事業体として、厳しい経営環境下においても、中長期を見据えた的確な事業運営を展開している旭川市水道局。同市版地域水道ビジョンを基に管路更新や施設の耐震化、水質管理の徹底、人材育成・技術継承などに取り組んでいる。今回は、山本博・同市水道事業管理者と、同市出身の学識者である伊藤雅喜・国立保健医療科学院水道工学部水道計画室長に対談をお願いした。
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御園専務対談シリーズ4 佐賀市
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佐賀市の水道事業は近年の大規模合併により、広大な給水区域を有する実質的な広域水道へと大きな変貌を遂げた。その一方で料金体系の同一化に象徴される諸課題克服に前向きに取り組んでいる。そんな水道事業の変革期にある佐賀市の秀島市長は同市の元・水道事業管理者だ。御園専務理事とは、水道事業の適正な人員配置や民間委託の範囲など水道経営の〝旬な話題〟で意気投合し、懇談は大いに盛り上がった。
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簡易水道整備促進全国大会
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「第53回簡易水道整備促進全国大会」が11月28日、東京千代田区平河町の砂防会館別館・シェーンバッハ・サボーで開催される。全国から市町村長をはじめ関係者およそ800人が一堂に詰めかけ、来年度予算の確保に向けて気勢を上げる。簡易水道事業は国庫補助制度の見直しによって統合が推し進められている。一方で今なお344万人にもおよぶ人々が水道から取り残されており、簡易水道が担う使命は無くならない。また、施設の老朽化や災害対策、水質問題など抱える課題は山積で、市町村にとっては国の支援は不可欠だ。井口一郎・全国簡易水道協議会会長(新潟県南魚沼市長)は「皆がひとつになれば強い力になる」と関係者に呼びかける。さあ、予算確保へ向け一致団結を!
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№332=北九州市
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北九州市は北部九州の中核都市としての役割を果たすべく緊急連絡管事業など水の安定供給を目指した諸施策を展開する。さらに隣接事業体との水道統合や国際貢献などで先進的な諸事業で全国的にも注目を集めている。そこで今回は吉田俊幸水道事業管理者と前水道事業管理者である北九州上下水道協会の森一政理事長に現状や課題、今後の方向性について語って頂いた。
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日水協関東地方支部水質研究発表会
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平成20年度日本水道協会関東地方支部水質研究発表会が26日、東京都新宿区の新宿明治安田生命ホールで開催される。今回は滝村朗・厚生労働省水道課水道水質管理官の講演や13編の論文発表が予定されており、関係者の注目を集めている。昨年に引き続き本紙では、同発表会に合わせ特集号を企画、関東地方を代表する水系単位の組織である利根川・荒川水系水道事業者連絡協議会の佐藤親房氏(東京都水道局水質センター所長)と相模川・酒匂川水系水質協議会の高橋照章氏(横浜市水道局理事・浄水部長)の対談、発表論文の要旨を掲載した。
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御園専務と市長シリーズ・奈良市
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東京都下水道局の清瀬水再生センター汚泥ガス化炉事業が注目を集めている。同事業は下水汚泥を熱分解・ガス化して発電に利用する国内初の事例であり、下水道システムにおける温室効果ガス排出量の大幅な削減効果が期待され、下水汚泥活用の新たな可能性を提示していると言っても過言ではない。本特集では、中村益美・東京都下水道局技監に同局の温室効果ガス削減の取り組みを聞いたほか、高相恒人・同局流域下水道本部技術部長と、DBOで実施される同事業を受託したメタウォーターの坪井徹・エンジニアリング本部長に、下水汚泥ガス化の意義・効果などについて対談してもらった。
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日水協中部地方支部研究発表会
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日本水道協会中部地方支部の第33回研究発表会が11・12日の両日、福井市で開催される。同発表会は中部地方の水道人が多数結集し、日頃の研究成果を披露する場として盛り上がりを見せる恒例の重要行事である。本紙特集号では、開催地の福井市水道を村尾敬治・企業管理者のインタビューで紹介するとともに、発表の聞きどころを田中浩二・名古屋市上下水道局技術本部管路部配水課長にご寄稿頂いた。
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全国水の俳句大会10周年
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大阪府都市整備部下水道室が平成11年から実施している『大阪府下水道全国“水”の俳句大会』が10周年を迎えた。下水道の役割や水環境保全の大切さを俳句を通してPRするというユニークな試みとして平成11年にスタートし、現在ではNPO法人水フォーラム21との共催で実施し、全国的な人気イベントとなっている。そこで、10周年を機に同俳句大会の意義やこれからの方向性などを関係者の方々に語って頂いた。
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No.331=大崎市
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大崎市は平成18年3月に1市6町が合併して誕生した。その中核である旧古川市の水道は明治17年創設と国内でも有数の歴史を誇る。水道を創設するまでには壮絶なドラマがあったようだ。今回の拠点都市シリーズは、大崎市の水道の歴史、良好な水質の確保、簡易水道の統合などについて、同市の佐々木一彦・水道部長と、石巻専修大学の高崎みつる教授とで語り合っていただいた。
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省令改正で強化される地震対策Ⅱ
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今月から施行された改正省令は、施設の耐震化が水道事業者の責任と使命の下に速やかに実施されるべきであることを強く示唆するものとして注目される。その背景には、管路の耐震化をはじめとする地震対策が総体的には遅々として進んでいない現状がある。前号に続く、本紙シリーズ特集第2弾では、滝沢東大教授と田口日水協工務部長にお話を伺い、併せて地震対策を積極的に進めている全国の事業体の取り組みを紹介した。
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日本水道協会第77回総会特集
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【第1部】
▽1面 ニュース面
▽2~4面 石原会長メッセージ、松原名古屋市長メッセージ、座談会・名古屋水道と日本の水道の将来(滝沢智東京大学大学院教授・御園良彦日水協専務理事・山田雅雄名古屋市副市長・西部啓一名古屋市上下水道局長)
▽5面 日水協中部地方支部の活動と関連行事
▽6~7面 目で見る名古屋水道
▽8面 愛知県内の水道
▽9~14面 中部地方主要水道事業体の取り組み ▽15面 名刺広告
▽16面 全面広告(日本水道協会)
【第2部】
▽17面 上田博三厚生労働省健康局長、粕谷明博水道課長
▽18~19面 座談会・水道の安全と安心をサポートする日本水道協会の第三者認証制度 ▽20~24面 「話題を追って」 自民党・水の安全保障に関する特命委員会=竹村公太郎・日本水フォーラム事務局長インタビューほか(20面)、大阪府・大阪市水道統合案の検証進む(21面)、貯水槽水道のランキング=早川哲夫麻布大教授インタビューほか(22面)、「地方公営企業等金融機構」が業務開始(23面)、健康のために水を飲もう委(24面) ▽25~26面 アンケート・日水協都府県支部の活動
▽27面 シリーズ特集・省令改正で強化される水道事業の地震対策1
▽28面 全面広告(清水合金製作所、清水工業)
【第3部】
▽29面 鳩山邦夫・総務大臣、井上宜也公営企業経営企画室長 ▽30面 御園良彦日水協専務理事インタビュー ▽31~35面 日本水道協会の活動 ▽36~41面 総会表彰喜びの声 ▽42面 日本管更生工業会特集 ▽43面 特別企画・管路更新耐震化対談など
▽全面広告(ベルテクノ)
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下水道研究会議総会
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一般都市の下水道部局長で組織されている「下水道研究会議」の平成20年度分科会・総会が10月30日、31日に豊中市で開催される。下水道研究会議は昭和42年から、一般都市の下水道事業が抱えている隘路について意見を交換し、下水道事業の発展に貢献してきている。そこで本紙では、総会開催にあわせて豊中市の下水道事業を紹介すると共に、下水道研究会議代表幹事の金井愼司・横須賀市上下水道局施設部長の原稿を掲載した。
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第50回工水協通常総会
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日本工業用水協会は昭和33年の発足以来、今年で50周年を迎えた。この半世紀、高度経済成長を経て近年に至るまで、日本の産業・経済の発展を支えてきたことは言うまでもない。そうした中開催される「第50回通常総会」(10月28日、東京港区・虎ノ門パストラル)。全国的に需要が伸び悩み、施設の老朽化など課題も多い工業用水道事業だが、社会基盤としての役割は無くなることはないだろう。本特集号では、総会開催地・東京都の工業用水道の現状について原稿を執筆していただいた。
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第40回管工機材・設備総合展
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来たる10月22~24日の3日間の日程で東京都管工事業協同組合の主催により、「第40回管工機材・設備総合展」が開催される。水道事業における給水システムと下水道事業における排水システムはそれぞれ両事業のエンドユーザーである都民に最も近い位置にあることから、その重要性は都民サービスという観点からも極めて高いものであることは改めて強調するまでもない。このため、東京都水道局・下水道局では、その重要性を踏まえて、ハード・ソフト両面で多様な施策を展開している。本紙では、「管工機材・設備総合展」の開催に合わせて特集号を企画。特集では、給水装置、排水設備を所管する東京都水道局・下水道局の幹部インタビューを実施し、今回の両局の展示内容も紹介した。
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八戸圏域水道企業団の地震対策
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去る7月24日未明に発生した岩手沿岸北部地震では、岩手県洋野町で震度6強を記録したのをはじめ、八戸市でも震度6弱~5弱と強い揺れの直撃を受けた。しかし、同市を核とする広域水道である八戸圏域水道企業団の給水区域の被害は揺れの大きさからすれば極めて軽微なものだった。これは、管路の耐震化やループ化、あるいは管路情報システムの構築など、地震対策に関して前向きで充実した同企業団の諸施策が奏功したことは疑うべくもない。本紙では、地震対策の強化・充実を盛り込んだ改正省令が施行されたこの10月に、地震対策の模範的な事例として同企業団の取り組みを改めて検証する特集号を企画した。
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日水協東北地方支部技術発表会
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日本水道協会東北地方支部の水道技術事例発表会が今月16、17日の両日、盛岡市で開催される。支部管内の水道事業体や所属する水道技術者のさらなる技術力向上などを目的に毎年行われており、今年で12回目。その内容と成果は全国の水道関係者から注目を集めている。今年の本紙同発表会特集では、開催地盛岡市の白根敬介・水道事業管理者にインタビューしたのをはじめ、支部長都市である仙台市水道局の江戸哲・給水部長と今回の発表会で特別講演を行う伊藤歩・岩手大学大学院准教授に原稿を執筆していただいた。
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配水用ポリエチレン管の整備動向
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いよいよ今月から管路など水道施設の耐震性能基準を盛り込んだ改正省令が施行された。これは、水道事業体が然るべき投資を怠ることなく、老朽管や脆弱材質の管を適確に更新していくことで水道システムの安定性の向上を目指すべきことが使命として明確化されたことを意味する。そのためには、事業を進める積極姿勢を強めることに加え、耐震性や施工性といった管路としてのポテンシャルの高い管材料を選定することが不可欠となる。本紙では、新たな管材料として注目度が高まっている配水用ポリエチレン管特集を企画。同じく今月末に開催される日水協全国総会が中部地方支部長都市・名古屋市で開催されることを踏まえ、東海地方における配水用ポリエチレン管の整備動向を紹介。さらに大都市における配水用ポリエチレン管の採用動向を整理してみた。
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創設40周年田布施・平生水道企業団
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山口県の田布施・平生水道企業団は昭和43年4月の創設以来、今年で40周年を迎えた。同企業団は田布施町と平生町の2町で構成し、現在は第3次拡張変更事業を推進している。また、平成16年度から浄水場等運転・維持管理の包括委託を実施するなど、経営の効率化に努めている。そこで、本紙では同企業団の取り組みを紹介した。
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No.330=尼崎市
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兵庫県尼崎市の上水道事業は大正7年10月の給水開始以来、今年で90周年を迎えた。現在のところ経営は比較的安定しており、「尼崎市水道事業中期経営計画」の策定に取り組む一方、水需要の減少や工業用水の上水利用などの課題を抱えている。そこで、本紙では村山保夫・同市水道事業管理者、同市公営企業審議会の会長を務める佐々木弘・神戸大学名誉教授(放送大学客員教授)に、これらの内容を中心に語り合っていただいた。
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日水協水道管理技士制度
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維持管理時代の人材と技術力確保を目的として、平成16年度にスタートした日本水道協会の『水道施設管理技士制度』は創設から5年を迎え、浄水・管路部門合わせて1万7千人が登録されている。平成16年度の登録者については今年、更新時期を迎える。制度の創設に尽力した眞柄・北大教授にインタビューするとともに、水道事業体にとっての制度の意義を尾﨑・東京都水道局技監に、維持管理受託企業にとっての意義を根本・O&M研究会技術委員長に聞いた。
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水道耐震キャンペーン第2弾
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厚生労働省と日本水道協会など関係3団体は4月から、「水道施設・管路耐震性改善運動」をスタートさせた。本紙キャンペーン特集の第2回では、水道の地震対策に積極的に取り組む川越市、戸田市、横須賀市、岡山市をとり上げ、現状と方向をルポした。
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New Epochの成果
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水道技術研究センターは、平成17年度から19年度の3カ年計画で「管路施設の機能診断・評価に関する研究」(New Epoch)を実施した。この研究は、1.老朽管路における水質劣化とその防止策等に関する研究2.管路の老朽度診断技術に関する研究をテーマにしたもの。研究の成果を広く普及させることを目的に「New Epoch最終成果報告会」が9月に東京(19日)と大阪(22日)で開催される。そこで本紙では報告会の開催にあわせて、New Epochの研究成果を紹介した。
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名古屋水道の技術力と今後の展望
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名古屋市上下水道局が我が国の水道事業体の中でも屈指の高い技術力を背景に前向きな事業展開を図っていることは論を待たない。本紙では、日本水道協会全国総会を来月に控えた名古屋水道の技術力にスポットを当てた技術特集を企画。同局の技術系部長と武蔵工大の長岡教授により、同市水道の技術動向について語り合ったいただいた。
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改訂・水道ビジョン
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厚生労働省は7月11日、「水道ビジョン」を改訂し全国に通知した。改訂水道ビジョンでは、目標の達成状況が十分でないものについては、施策・方策の追加・見直しを行うとともに、目標内容の明確化のため、新たに「レビューに基づく水道施策の重点取組み項目」として、1.水道の運営基盤の強化 2.安心・快適な給水の確保 3.災害対策の充実 4.環境・エネルギー対策の強化 5.水道分野の国際貢献―の5項目をあげた。粕谷水道課長に改訂水道ビジョンのポイントを紹介していただくとともに、「頑張る町村」として滝沢村(岩手県)、松前町(愛媛県)をルポした。さらに都道府県では唯一の福島県の地域水道ビジョンを紹介。国際貢献では横浜市、北九州市の取り組みを紹介した。
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国交省下水道部新体制が船出
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松井正樹・下水道部長のもと新たな船出を迎えた国土交通省下水道部。下水道事業は公共事業費の削減により激しい荒波を受ける状況が続いているが、「循環のみち」をコンパスとして浸水対策、地震対策、地球温暖化対策など下水道に期待されている多様な役割を果たすべく、全国の下水道事業者が全力で大海原を航海している。このような中、就任した松井部長には下水道事業のさらなる発展に向け、頼れるキャプテンとなることが期待されている。そこで本紙では幹部職員に直撃インタビューを実施、下水道事業の方向性を紹介した。
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水道事業における地震対策
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厚生労働省が7月11日に公表した水道ビジョンの改訂版では、今後、水道事業者が重点的に取り組むべき施策の1つとして「災害対策の充実」があげられ、基幹管路や、浄水場・配水池などの基幹施設の耐震化率については、引き続き100%を目指すこととなった。しかしながら平成18年度末現在の耐震化率は浄水場13%、配水池23%、管路12%と極めて低く、早期の対策が喫緊の課題となっている。このため厚生労働省と日本水道協会など関係団体はこの4月より「水道施設・管路耐震性改善運動」をスタートさせた。地震対策の促進へ向け、大都市での取り組みにスポットを当てた。
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中核市における水道整備の方向
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「水道ビジョン」の実現を目指し、将来にわたり安全で良質な水道水の安定的な供給を確保するには、水質、水量、水圧のレベルアップのほか、老朽化した施設の更新・機能アップ、地震対策等を確実に進めていく必要があります。中核市の中から12都市をピックアップし、「安全でおいしい水の安定供給へ向けての取り組みと方向」について紹介していただいた。
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No.329=長岡市
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平成16年の新潟県中越大震災、平成19年の中越沖地震と相次いで大規模震災の被害を受けた。被災地としての経験を最大限に生かし、日本一災害に強い都市づくりを進める長岡市水道局。合併により市面積は3倍に拡大した。分散する施設の統廃合や管網の耐震化、老朽化施設の更新など課題は山積している。進むべき方向として昨年から水道ビジョンの策定に着手した。今回は樋口康夫・同市水道局長と、横浜市水道局の水道技術管理者を務め、同市の管路耐震化などをサポートした篠武夫・日本ダクタイル鉄管協会関東支部長に対談をお願いした。
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広島市水道創設110年
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広島市の水道事業は明治31年8月、全国5番目の近代水道として創設され、今年で110周年を迎えた。同市は昭和20年8月に原爆が投下され、水道施設も壊滅的な被害を受けたが、非番の職員がポンプを復旧して給水したことなどにより、創設から不断水を続けている。現在は「広島市水道事業中期経営計画」(平成18~21年度)に基づく施策をはじめ、水道創設100周年記念の「水源涵養モデル事業」などを推進している。本紙では同市のこれらの取り組みなどを紹介した。
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水道の塩素酸対策
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今年4月から水道水質基準が改正され、塩素酸が新たに基準に加わった。これにより、水道事業体にとっては主要な消毒剤である次亜塩素酸ナトリウムの購入方法や保管の方法について、さらなる充実が求められることになった。この改正を前にして日本水道協会は今年1月に水道用次亜塩素酸ナトリウムの規格を改訂し、高品質の次亜塩素酸ナトリウムの購入と、適確な保管に向けた方向性を打ち出している。本紙では、今回の水道水質基準改正に対応した次亜塩素酸ナトリウムの購入・管理のあり方をテーマとする座談会特集を企画した。
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日水協・関東管理者協議会
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日本水道協会の関東地方支部では、毎年夏のこの時期に「水道事業管理者協議会」を開催、関東地方の水道事業のトップが一堂に会して活発な意見・情報交換がなされている。今年は今月21日に東京都内で開催される同協議会の本紙恒例特集では、支部長都市である横浜市の齋藤義孝・水道事業管理者と元東京都公営企業管理者・水道局長で前日本水道協会専務理事の赤川正和氏による対談を企画、水道事業管理者のあるべき姿や事業体運営のあり方などを語り合っていただいた。
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e―WatereⅡプロ紹介
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水道技術研究センターが平成17年度から19年度まで実施したe-WaterⅡプロジェクト。各種の原水条件に応じた最適浄水処理プロセスの選定指針の作成が主な目的。研究の成果を広く普及させることを目的に「e-WaterⅡ最終成果報告会」が東京(8月20日)、大阪(8月26日)で開催される。そこで本紙ではプロジェクトの詳しい内容を紹介した。
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座談会・進めるべき地震対策の方向性
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近年、我が国における地震活動が活発になってきており、、今年も6月に岩手・宮城内陸地震、7月に岩手沿岸北部地震と大規模地震が相次いで発生している。今年10月からは改正された『水道施設の技術的基準を定める省令』も施行され、水道事業体における地震対策の一層の充実が期待される。本紙では、新潟県中越沖地震からおよそ1年が経過したことを踏まえ、2004年新潟県中越地震、2007年新潟県中越沖地震と近年大規模地震が頻発傾向にある新潟県の主要事業体トップの方々と首都大学東京の小泉教授とで語り合っていただくことで、地震対策の進むべき方向性を探った。
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給水装置の安全性の向上へ
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厚生労働省が平成16年に公表した水道ビジョンでは、給水安全度の向上を施策目標として取り上げ、安心・快適な給水を確保するための方策として「給水管・給水装置の事故率をゼロにする」との目標を掲げた。需要者と最も密着した給水管・給水用具の安全性と信頼性を向上させるためには、官民をはじめ水道界が一体となって取り組む必要がある。住民と最もかかわりの深い給水装置にスポットを当て、「給水管・給水用具の安全性・信頼性の向上」へ向けての取り組みと方向を探った。
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給水開始80周年迎えた四日市市
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四日市市の水道事業は昭和3年7月、民間企業の給水施設を買収しスタートして以来、今年で80周年を迎えた。同局では近年、持続可能な水道を目指し、料金体系の見直し、有収率の向上、一部業務の民間委託を進めるとともに、地域水道ビジョンの策定作業などに取組んでいる。そこで、本紙では塚田博・上下水道事業管理者のインタビュー、原稿『四日市市水道の事業概要』、また『事業トピックス』として小水力発電事業について紹介する。
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国内最大級ステンレス配水池竣工
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徳島県松茂町発注によるステンレス配水池がこのほど完成した。この工事は大成建設が受注し、配水池部分はベルテクノ技研(本社岐阜市)が施工したもので、現在のところステンレス配水池としては、国内最大容量となる。同配水池は高耐震性を確保するため、内部補強構造の設計を従来方式とは一新した特別仕様で、地震動レベル2、施設重要度ランクAに対応している。そこで松茂町の水道事業概要とともに、新設配水池の特徴を紹介することとした。同時に滝沢智・東京大学大学院教授に、ステンレス製大規模配水池についてのご意見を伺った。
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南九州・水道事業の地震対策
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地震大国である我が国では、今年も岩手・宮城内陸地震が発生し、水道施設に甚大な被害を及ぼしている。本紙は大規模地震が“いつでも、どこでも起こり得る”ことを前提に水道事業の地震対策のさらなる進展を願ってキャンペーンシリーズ企画を発行している。第8弾となる今回は南九州地域を取り上げ、危惧される日向灘沖地震の概要や、その対策について、宮崎大学の原田隆典教授にインタビューするとともに、宮崎市、延岡市、小林市の取り組みを紹介する。
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No.328=浜松市
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静岡県浜松市は平成17年7月、12市町村が合併し、給水区域が拡大するとともに、多数の簡易水道事業や飲料水供給施設を有している。現在は「浜松市上水道事業基本計画」(平成18~36年度)に基づき、各種施策を展開している。併せて課題を早めに解決し、負担を先送りしないことが事業の責務としている。本紙では鈴木俊廣・同市水道事業及び下水道事業管理者、同市出身の野崎健太郎・椙山女学園大学教育学部准教授に、これらの内容を中心に語り合っていただいた。
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改訂「水道ビジョン」重点取組事項
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施策目標の達成状況や水道をとりまく環境の変化について平成19年度に水道ビジョンフォローアップ検討会によるレビューを行った結果、新たな課題として顕在化してきているものや、各施策目標の中でその達成は必ずしも容易ではないと考えられるものがあった。本章では、同検討会でのレビューにおいて、追加的に重点を置いて取り組むべきとされたものを明らかにし、目標の達成状況が十分でないものについては、その状況を示すとともに、同検討会において、目標の達成に向け今後、水道関係者が一体となって重点的に取り組むべきとされた項目(重点取組項目)を示す。
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注目を集める漏水防止対策
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厚生労働省が平成16年6月に公表した水道ビジョンでは、「環境・エネルギー対策」の中で有効率の向上を掲げ、「大規模事業体98%」「中小規模水道事業体95%」の目標が打ち出されている。気候変動による地球温暖化が進み、水が貴重な資源であることが再認識される中で、漏水防止対策が大きな注目を集めている。漏水防止に向けてのポイントと最新技術、先進都市での対応にスポットを当てた。
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日本銅センターシリーズ6
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銅の耐震性、抗菌性、衛生生が近年認識されてきている。去る5月仙台市で開かれた日本水道協会全国水道研究発表会では「従属栄養細菌によるバイオフィルム形成に及ぼす銅管の影響」をテーマに発表した北里環境科学センターのグループが注目された。本紙ではこの研究テーマについてインタビューすると共に、アメリカ環境保護庁が今年4月に「銅及び銅合金の公衆衛生における殺菌力を表示する」ことを認可したという画期的な出来事を紹介する。
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日水協中部地方支部総会
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第86回日本水道協会中部地方支部総会が7月31日、8月1日の両日、富山県支部の高岡市で開催される。中部地方の水道関係者が一同に会する本総会では、諸課題の解決に向け活発な議論が期待される。そこで本紙では、松原武久・中部地方支部長(名古屋市長)ならびに、橘慶一郎・高岡市長のあいさつ、嶋耐司・水道事業管理者のインタビューや事業概要などを紹介する。
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東京都水道局・ナノろ過膜技術
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東京都水道局では、北海道大学の研究グループと共同でナノろ過膜技術の浄水処理への適用に向けた研究に取り組んでおり、さきごろ、同局主催の「大学委託研究報告会」においてその研究成果が報告された。臭素酸等の副生成物の問題などオゾン・活性炭処理をベースとする高度浄水処理システムの課題が指摘されている昨今、ナノろ過膜は〝ポスト高度浄水処理〟の基軸になるものとしてそのポテンシャルが水道関係者に注目されている。本紙では、次代を担うツールとして期待されるナノろ過膜にスポットを当てた技術特集を企画。同局の尾﨑技監と委託研究を実施した北海道大学の松井教授、国立保健医療科学院の伊藤室長による鼎談を実施したのをはじめ、同局の委託研究で使用されたナノろ過膜の製造メーカーである東レの技術原稿を掲載した。
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日水協関西地方支部総会
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第77回日本水道協会関西地方支部総会が25日、和歌山市内で開催される。同市は紀の川をはじめ美しい海・山に囲まれた「水と緑と歴史のまち」である。また、同市の水道事業は大正14月に給水開始し、現在は第4期拡張事業に基づき、各種施策を推進している。そこで、開催地である同市の取り組みを紹介した。
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松江市水道通水90周年記念座談会
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松江市の水道事業は大正7年6月の給水開始以来、今年で90周年を迎えた。これを記念して数々のイベントを開催されている。7月19日には同市水道通水90周年記念講演会がくにびきメッセで開催されるほか、JR松江駅前に「水」のモニュメントの竣工も予定されている。そこで、本紙では小川正幸・同市水道事業管理者、同市水道局幹部職員4名にご登場いただき、「21世紀の中小規模の水道はどうあるべきか」をテーマに、同市水道の取り組みなどを中心に語り合っていただいた。
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水道技術センター・新プロ
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水道技術研究センターはe-WaterⅡ、New Epochに続く産官学が参画する次期プロジェクトを平成20年度から実施する。浄水分野については「浄水技術研究推進委員会」で、管路分野については「管路研究委員会」を設置し、1.管路の機能劣化予測の検討2.持込研究3.事故ハザードマップ研究4.管路のLCA研究5.住民に対する事業・更新PRの手法をめぐり研究を進める方針となっている。持続可能な水道サービスの実現へ向け、水道技術センターの次期プロジェクトへの期待は極めて大きい。そこで本紙では、次期プロジェクトのスタートを機に、浄水と管路の次期プロジェクトを紹介する特集を企画した。
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日水協・中四国地方支部総会
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第77回日本水道協会中国四国地方支部総会が22日、岡山市内で開催される。同市は日本3名園の1つである後楽園などがあり、これらの豊かな自然を大切にしながら、来年4月からの政令指定都市への移行を目指している。また、同市の水道事業は明治38年7月に給水開始し、平成17年で100周年を迎えている。現在は「岡山市水道事業総合基本計画(アクアプラン2007)」に基づき、各種施策を推進している。そこで、開催地である同市の取り組みを紹介した。
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日水協・北海道地方支部総会
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第79回日本水道協会北海道地方支部総会が17日、十勝地方の中心・拠点として発展し、都市と農村が共生する田園都市である帯広市で開催される。道内の水道事業体が一堂に会するこの総会では、諸課題の解決に向け活発な議論が期待されている。本紙恒例の北海道地方支部総会特集では、山本雅雄・帯広市公営企業管理者のインタビューをはじめ、上田文雄・日水協北海道地方支部長(札幌市長)、砂川敏文・帯広市長からのメッセージを掲載した。
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札幌水道特集
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札幌市水道局は、全国の事業体の中でも多様な分野で前向きな事業展開が目立つが、そうした事業の着実な執行を支えているのが同局の保有する高い技術力だ。本紙恒例の札幌水道特集の今年の企画では、同局が現在推進している施策について技術動向を中心に紹介。水道技術管理者の相馬給水部長に主要施策の内容をうかがったのをはじめ、技術トピックスを掲載した。
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日水協関東地方支部総会
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第76回日本水道協会関東地方支部総会が15日、神奈川県支部長都市の川崎市の担当で開催される。今年も水道事業が抱える課題の解決に向けた活発な議論が期待されている。本紙では総会に合わせた特集を企画、中田宏・日水協関東地方支部長(横浜市長)、開催担当である阿部孝夫・日水協神奈川県支部長(川崎市長)からのメッセージをはじめ、粟冠和美・川崎市水道事業管理者のインタビュー、神奈川県内主要事業体課長による座談会、水道水を飲むことの大切さを語り合う鼎談を掲載した。
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水道事業も注目するSPR工法
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さきごろ東京都水道局の金町浄水場においてSPR工法を用いた放流渠の更生工事が実施された。これは、水道事業の現場において下水管更生技術が導入されたという点で注目度は高いものと言える。本紙では、下水管更生技術の中でも、とりわけ、耐震性をはじめ多くのメリットを持つSPR工法の特集を企画、東京都水道局の尾技監にお話を伺ったのをはじめ、金町浄水場現場取材レポート、中西日本SPR工法協会専務理事のインタビューを掲載した。
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